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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

帰国子女受入校とはどのようなものですか?

日本の私立には、「帰国子女受入校」というのがあるそうですが、具体的にどのような生徒を受け入れ、どんな指導をしているのでしょうか?

松本輝彦(INFOE代表)

帰国子女受入校に基準はない
受け入れ条件や指導体制も様々

公立学校では
指定校制度を撤廃


 「帰国子女受入校」というのは、「『うちの学校では帰国子女を受け入れますよ』と言っている学校」のことだと思ってください。どんな学校が帰国子女受入校かというルールはありません。
 2000年度まで、文部省が「帰国子女教育受入推進地域」「帰国子女教育研究協力校」などを、帰国子女教育推進のために指定していましたが、省庁再編を機に解消されました。そして、文部科学省となって、帰国子女教育に外国人児童生徒教育や国際理解教育を加えて「帰国・外国人児童生徒と共に進める教育の国際化推進地域事業」が始まり、2003年度までに33地域が指定されています。

 この「帰国子女」から「国際理解」への方向変換は、「日本国内の帰国子女受け入れ体制が大幅に改善された」という認識の下、日本国内の外国人児童生徒の増加と国際化の対応をするためのものでした。そのため、「帰国子女教育は終わった」という教育関係者の声が聞かれます。
 その官の姿勢の変化は、ただちに公立学校の帰国子女受け入れの変化になって現れました。かつて帰国子女受入校であった公立の学校に「帰国子女の受け入れはどうなってますか?」と問い合わせると、たとえその学校に100人の帰国子女がいたとしても、「うちの学校では、もう帰国子女教育は行っていません」という公式見解が返ってきます。

自称「受入校」の私立
少数だが国立大付属でも


 このような公立の学校の方向と反対に、「帰国子女受入校」と自称する私立の高校や大学の数が著しく増えてきています。それぞれの学校の「国際化」のために、異文化生活経験のある帰国子女への注目が高まっているのが、主な理由です。
 もう1つの理由は、少子化に伴う在籍児童生徒数の減少を、帰国子女で補おうとする意図です。帰国子女受入校の大半を占める私立の学校は、少子化と教育多様化のうねりの中、サバイバルをかけて他校との差別化を図るために、非常に多様性に富んだ様々なプログラムや教育の選択肢を用意しています。

 また、一部の国立大学の付属学校には「帰国子女教育学級」が設置されていたり、「普通学級への混合受入方式の帰国子女受け入れ」をしている学校があります。小学校4年以上、中学校が中心で、募集定員は各学年15名と多くはありませんが、児童生徒の状況に応じた指導が特徴です。高校も2校あります。

 これらの帰国子女受入校は、帰国子女の多い首都圏・関西に集中しています。受入校のまったくない県もあるなど、地方都市では選択の幅が大変狭くなります。

受け入れ体制は千差万別

 帰国子女の受け入れは、私立学校が中心だと説明してきました。多様な私立学校の教育ですので、「具体的な受け入れ」については、まさに千差万別です。
 受け入れ後の教育についてみると「帰国後の適応は、他の生徒の中へ入れるのが1番」と、何の特別な教育も行わない学校から、「日本語ができなくても引き受けますよ」と、英語ですべての授業が受けられる学校まであります。 英語の対応を見ても、帰国生向けのクラスなどまったくなく他の子どもと同じ時間数だけ授業をする学校や、英語のイマージョンクラスで英語で様々な科目の授業を行う学校まであります。
 これらの受け入れ後の指導の違いは、もちろん学校の教育方針とも関わっています。例えば、帰国後の適応教育に力を入れている学校では、国語や社会などのクラスから生徒を取り出して個別指導を行います。有名大学への進学を目指す高校では、大学入試は帰国子女入試で受験できませんので、国内の生徒と同じ教育を行います。

 教育方針だけではなく、受け入れの条件や受験資格は海外での滞在年数と滞在時の学齢、帰国後の年数などで決まり、学校によって大きく違います。その差が大きいので、その詳細をここで紹介するのは困難です。各学校のホームページ等で情報を入手して、確認してください。