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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

渡米後、算数の苦手意識がでてきました。どのように克服すればいいでしょうか?

1年前に日本から来ました。現在小学6年生になる息子は、日本では算数はできる方だったのですが、こちらに来てから、だんだんできなくなってしまいました。日本人は算数ができると言われているため、本人も周りからのプレッシャーもあり、苦手意識がすっかりできてしまいました。どうしたらよいでしょう?

松本輝彦(INFOE代表)

日本の学校との進度差が原因
現地校の勉強内容を日本語で予習

日本人は
算数がよくできる?


 「ABCも分からないのに、うちの子供が学校へ行けたのは算数のおかげです」。渡米直後の適応の期間を振り返って、多くの父母はこう言います。実際、「日本人の子供は算数がよくできる」、という現地校の先生の賛辞をよく聞き、「日本の算数教育の成功の秘密を知りたい」と、現地校の算数の先生たちのミーティングに招かれたことも何度かありました。

 しかし、この私の経験も10年以上も前の話になってしまいました。最近は「韓国人の子供は算数がよくできる」とよく聞きます。変わってしまいました。日本人の子供の算数の成績が他の人種の群を抜いて優秀でなくなったことは残念ですが、追い抜いていった人たちを褒めることにしましょう。

英語力のいらない
計算問題ができない


 ところが、そんな悠長なことを言っていられない状況が、最近、現れ始めました。現地校の算数の勉強が分からない、あるいは授業についていけないという、渡米間もない日本人の子供が出てき始めたのです。優秀どころではなく、現地校のお荷物にもなりかねないケースすら見られるようになってきました。

 英語で書かれた文章題の意味が読み取れなくて、問題が答えられない子供はこれまでもたくさんいましたし、それは英語力不足で仕方がないことです。しかし、ここで問題になっているのは、文章題ではなくて、計算問題なのです。それも複雑なものではなく、基本的な計算ができない子供が増えているのです。

学習内容改定による
日米の進度差が原因


 その原因を探るために、補習校で使っている日本の教科書と、同じ学年で使うアメリカの教科書の内容を比べてみました。結果は、明らかでした。日本の教科書より、現地校の教科書の方が、扱う内容が進んでいたのです。

 私が個人的に指導しているRちゃんは、小学校6年生の夏休みにアメリカに来ましたが、現地校6年生の11月には一次方程式の勉強に入りました。その内容は日本の教科書だと、中学1年生の夏頃に学習するものです。現地校の算数が半年から1年分進み方が早くなっています。

 この差は、日本の学校の算数の進み方が、徐々に遅くなってきたことの結果です。現在の学習内容を決めた2002年の改定では、各学年の算数・数学の内容の3分の1が、次の学年以降に回されました。これが現地校の算数との進度の差を決定的にしたのです。

進度は州・学校区
学校で違う


 アメリカの教育は多様性に富んでいます。算数のカリキュラムや進度は、州・学校区によって大きく異なります。また、クラスによっても差があります。

 1度、お子さんの現地校の算数の教科書を見てください。もしあれば、補習校で使っている教科書と比べてみてください。そして、お子さんに現地校の算数のクラスの様子や、適応に苦労していないかどうか、聞いてみてください。お子さんの算数の能力ではなく、日米の学習する内容の進度にギャップが生じているかどうかを知るのが目的です。

現地校の
勉強内容の予習を


 もし、お子さんの補習校の学習進度が遅れているならば、現地校で学習している単元の計算問題だけでもできるように指導してやる必要があります。現地校の勉強内容を日本語で予習させてください。基本的な内容だけで十分です。

 もし、指導してもらえる適当な人がいない場合は、お父さんとお母さんががんばるしかありません。昔を思い出して、我が子の先生になるのです。指導のための教材は、様々な物があります。現地校でわからない、日本語で未学習の部分が載っている日本の教科書や問題集を、補習校や友人の子供から借りて使うこともできます。

 何も自信を持てるものがなく、「現地校へ行きたくない」という言葉を子供から聞かないためにも、ここで述べた対策を使って、お子さんをサポートしてみてください。それでよくならなければ、別の理由でしょう。再度ご相談ください。