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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

日本の高校でIBが受けられる? どんな内容で、いつから開始?

今後5年間に200高校で受講可能。日本語IBの実施も準備中

松本輝彦(INFOE代表)

IB教育

国際バカロレア(IB)とは、国際バカロレア機構(IBO、本部・スイス)が主催する、世界中のインターナショナルスクールでの「国際教育」を目指した独自のカリキュラムです。その教育理念や指導・評価の方法はユニークで、知識の習得だけでなく、討論を通じた問題解決力の育成を重視するのが特徴です。また、学習内容の理解を論文で示すことが、学習活動の中心として生徒に要求されます。アメリカの公立学校のカリキュラムや、日本の学習指導要領の内容とは大きく異なります。

IBには、小・中・高校の3段階のプログラムがあります。その中の高校2、3年(11・12年)段階のディプロマ・プログラム(IBDP)では、認定校の所定の科目を受講した生徒は、英語・フランス語・スペイン語で実施される最終試験の成績に応じて、世界中のトップレベルの約2千の大学に出願できます。

200高校でIB教育

「『国際バカロレア(IB)』の国内認定校の拡大を目指すことを決めた。今後5年間で、認定校と、新たにIBに準じた教育を行う高校を計200校にする計画で、海外で学ぶ日本人学生を増やし、グローバル化に対応する人材を育成する狙いがある」(3月21日付・読売新聞)と文部科学省は発表しており、IB教育は日本で今後拡大して行きそうです。日本の教育のグローバル化・国際化が、日本の教育力向上や今後の社会の成長に必要不可欠だという日本政府・文部科学省の危機感が見てとれます。しかし、日本でのIBDP最終試験は英語での受験が一般的で、日本語では出題されません。そのため、ディプロマを取得するためには、高校の高いレベルの英語による学習が必要になります。IBカリキュラムの特徴的な指導に加えて、日本の高校生が英語での最終試験に合格できるよう英語力を向上するには、革新的な英語教育法の導入が必要となるでしょう。

目標の200校は公立高校が中心となると思われますので、IBDPの実施にあたっては、初期段階では相当数のネイティブIB教員の確保が欠かせません。また、指導要領からの除外などの制度上の取り扱い、そして多額の財政的援助なしには実施不可能です。一方、IBDPにチャレンジした高校3年生が海外の大学ではなく、日本の大学進学を望んだ場合は?日本の大学への受け入れは?など、5年で解決しなければならない問題が山積みしています。

IBを日本語で

続いて、「IBDPが、日本語でも習得できる見通しとなった」との文部科学省の発表が報道されました(6月19日付・読売新聞)。この報道によると、IBDPに向けての学習と最終試験が日本語で実施されることになるとのこと。これにより、‘本の高校教育の内容が大きく変化、∪こΔ梁膤悗悗凌奮悗容易に、F本の大学入試も大きく変化、などが今後考えられます。

海外の大学に進学するには国ごとに異なる統一試験などを受ける必要がありますが、IBDPを取得すれば世界の大学の入学選考を受けられるようになります。日本語であってもIBDPを取得し、英語などの外国語能力が高い生徒には、海外留学のチャンスが広がることになります。さらに、世界のトップレベルの大学の入学基準になっているIBDPが、日本の大学の入学審査で活用されることも十分予想されます。知識だけではなくさまざまな学習スキルを身に付けてIBDPを取得した受験生は、AO入試で大学が求める学生でもあり、人気の高い国立大学ですらIB生の獲得に努力することになるでしょう。

文部科学省はこのプログラムの早期実施に向けて、すでに調査・研究を始めているところです。日本の高校での実施までには、少なくとも2、3年はかかります。その間に、IB教材の日本語化、指導要領とIBカリキュラムの調整、実施高校の選定、指導教員の養成など、多くのハードルを飛び越えなければなりません。

(2012年12月1日号掲載)