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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

Five Paragraph Essayとは何でしょうか?

小学校6年生の子供を持つ母親です。まだ渡米半年で、子供は現地校へ通っています。授業で、「Five Paragraph Essay」という文章の書き方があると聞いたのですが、どういうものなのでしょうか? 今からでもついて行けるでしょうか?

松本輝彦(INFOE代表)

最も大切な基礎スキルの1つ
習得にはトレーニングあるのみ

帰国子女受入校が求める
アカデミックスキル


 ご質問いただいた「Five Paragraph Essay(5段落エッセイ)」は、アメリカの教育の最も大切な基礎スキルです。日本の帰国子女受入校が最も求めているアカデミックスキルでもあり、帰国子女としてのお子さんの宝になります。

 Five Paragraph Essayとは自分の意見を発表するための文章の書き方で、アメリカの学校では4・5年生でその基礎をしっかり学びます。

 6年生のクラスでは、これまでのトレーニングを受けてきたものとして指導されます。日本語でFive Paragraph Essayの形と成り立ちをしっかり理解・身につけて、練習を十分させてください。

5段落で構成
まず型にはめる訓練から


 文章の形式は、序論(Introduction)・本論(Main body)・結論(Conclusion)からなる3段法ですが、本論をさらに3段落に分け、全部で5段落になることからFive Paragraph Essayと呼ばれます。構成は別表に示したように簡単です。各段落の役割をはっきりさせ、形をしっかり習得することから、本格的な「書き」(Writing)が始まります。

 最初は内容よりも、テニスの入門者にラケットの振り方を教えるように、徹底して型にはめるトレーニングをします。本格的には4年生からですが、型だけのトレーニングは2年生頃、各段落1文ずつ、計5つの文の「Five Line Essay」として始められます。

高校卒業まで続く訓練
大学入学にも必須


 Five Paragraph Essayのトレーニングは、アメリカの教育のねらいをよく表しており、かつ日本の教育には見られないものです。このエッセイは、相手を説得・納得させるために書くもので、内容的には「Persuasive Essay」に分類されます。自分の主張がないと書けませんし、書く必要もありません。まず、自分の意見をしっかり持ち、それを相手に伝えるために書くものです。まさに、この国の「民主主義を守る国民教育」の目的に合致するのです。

 そのトレーニングは高校卒業まで続きます。大学入学にあたり、しっかりしたFive Paragraph Essayを書けることが、「書き」の最低限の能力として要求されます。2005年から始まった新しいSAT(大学進学適正テスト)にも、Essayが加えられ、その重要さが再認識されています。

 前にも述べましたがトレーニングは、5段落の形式・構造を、子供たちに叩き込むことから始まります。その構成の単純さゆえに、誰でもできる、誰にもやらせるものとなっているのです。まさに、「書く」というアカデミックなスキルと、自分の意見を最も効果的に伝える形式という意味で、Five Paragraph Essayを書くトレーニングは重要なのです。

日本ではなじみのない方法
とにかくトレーニングを


 日本から来た子供たちにとってこのエッセイのトレーニングは大きなハードルです。英語力の問題に加えて、日本の学校でスキルトレーニングを受けたことがないからです。型にはまった文章の書き方など学んだことがありません。

 さらに、自分の主張を相手に伝えるための文章など書いたことがないのです。Essayの日本語訳は「随筆」ですが、情感豊かな文章を表す日本の随筆とはまったく異なります。伝統的にも、文化的にもなじみのない文章なのです。

 Five Paragraph Essayは、アメリカの教育で最も重要なスキルです。しっかり理解し、確実に学んでほしいものです。その方法は、繰り返しのトレーニングしかありません。