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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

夏休み中、新学期にむけて、どう備えればいいでしょうか?

2年生と5年生の子供の母親です。3カ月近くある夏休みの間、7月中の土曜日の補習校と、1週間程度の家族旅行を除いては、何の予定もありません。9月からの学校の勉強に役立つことで、自宅で何かさせておくことはありますか?

松本輝彦(INFOE代表)

自宅でもできる勉強は工夫次第
親子で取り組める環境作りが必須

長い夏休みの指導は
毎日少しずつこつこつと


 長い現地校の夏休みの過ごし方は、お母さんにとって頭の痛いことです。これまで紹介したサマーキャンプなど、日頃できない活動を、お子さんにさせてあげてください。しかし、それも夏休み中毎日とはいきません。今回は、お母さんが自宅で毎日できる指導を紹介します。

◉読み聞かせ

 1番簡単なのは、お母さんが日本語の本の読み聞かせをすることです。お子さん2人と一緒にソファに座って、子供の好きな本を感情豊かに読んであげてください。1日の決まった時間に、決まった場所で。30分でOKです。

 読み聞かせの目的の第1は、文章に書かれた日本語に触れさせることです。家で日本語を話していても、それは話し言葉です。将来、お子さんが日本語で読み書きができるようにするためには、書かれた日本語をしっかり聞かせ、話し言葉と違った言葉の使い方や表現に馴染ませることが必要です。自分が文章を書く時に、聞き覚えた表現が基礎となります。

 読み聞かせる本は、子供に選ばせてください。最初は、子供が昔読んだ童話でも、興味のあるサッカーの本でも、漫画『日本の歴史』の巻末の解説でも、何でも、お子さんが興味を持つものでスタートします。その後、「お母さん、この本が読みたいなー」と、うまく誘導して、お母さんが読み聞かせてあげたい本を子供に選ばせるのは、お母さんの腕です。 

◉読書

 お母さんも一緒に、読書はいかがですか?「本を読みなさい」と言うのではなく「さあ、読書の時間よ。いらっしゃい」と、お母さんも自分の本を持って、一緒に、30分から始めましょう。

 子供が読む本は、読み聞かせと同じように、子供自身に選ばせてください。「英語力の向上のために」と英語の本を強要しないでください。夏休みの読書の目的は、お子さんに読書習慣を獲得させることで、読書好きの子供に変えることができれば最高です。

 読書の習慣化は、現地校の勉強の基本スキルです。9歳ぐらいまでに読書力や読書の習慣をしっかり身につけていないと、高学年になって学習についていけません。たとえば、現地校5年生の社会の教科書は500ページ程あります。年間の授業日数は180日程ですから、毎日3ページを読まないと読み終えることはできません。このようにページ数の多い教科書を各教科の授業で使います。これは、児童生徒が「読めばわかる」ように、丁寧な記述や解説を目指して、教科書が作られているからです。自分で勉強することができるようになっているのです。

 お子さんが英語の本を積極的に読んでくれれば、ありがたいことです。しかし、日本語での読書でも構いません。お子さんにとって第1言語である日本語の読書力が身につけば、英語の読書力も必ず向上します。

◉書き写し

 日本語の文章を、毎日原稿用紙1枚、書き写しするだけです。ねらいは、読み聞かせと同じです。書かれた日本語に、より積極的に触れさせることです。子供の興味のある文章なら何でもOKです。英語でもOKです。

 書き写しは、根気のいる、子供が「何で」と思う作業です。これを続けてもらうには仕掛けがいります。お父さんが参加すると成功します。原稿用紙を買い求める必要はありません。お父さんがワープロでレターサイズの用紙に20×20の表と名前と日付の欄を作り、その用紙をたくさんコピーします。このお父さん製の原稿用紙を3リングバインダーに綴じて、準備完了です。この用紙1枚に、毎日好きな本の書き写しをさせます。縦書きでも横書きでも、子供の自由です。バインダーはリビングルームに置いておき、お父さんは毎日「今日は書いたかな」とのぞいて、用紙の隅に「Very Good」とひと言書きます。こんな単純な仕掛けでも、子供はがんばります。

 額にでも入れたいようなすばらしい書き写し1回で終わるより、読むのが大変な字でも100枚の原稿用紙を埋める方が「お母さんの勝ち」です。「きれいに書きなさい」と文句を言うより、「お母さんでも読めるように、丁寧に書いてね」とアドバイスした方が、「お母さんの勝ち」につながります。



 ここで紹介した活動の成功の秘訣は「継続は力なり」です。 子供だけではなく、お母さん自身にも根気が必要です。そのためにも、お母さんも「お子さんと一緒に」作業して、環境を作るのを忘れないようにしてください。