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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

夏休みが子どもの進路を決める

「バイリンガル子育ての秘訣」船津 徹(TLC for Kids代表)

もうすぐ子どもたちが待ちに待った夏休みです。アメリカの学校は、一般的に、6月初旬から8月下旬まで3カ月近い夏休みがあります。日本で夏休みといえば、子どもたちが思いっきり外で遊ぶ時。しかし、アメリカの学校に通うバイリンガルの子どもにとっての夏休みは、弱点を克服したり、普段できない活動に取り組む時です。

毎年、夏休みになると多くの日本人が里帰りします。もちろん、日本に住む祖父母や親戚と過ごすことは、子どもの日本語発達やアイデンティティ形成に重要な影響を持ちます。しかし、特にすることもなく、だらだら毎日を過ごしてしまうと、アメリカで新学年が始まった時にツケが回ってくるので注意しましょう。気持ちがゆるみ、生活が不規則になり、英語力が錆びつき、現地校へスムーズに適応できなくなってしまうのです。

アメリカで学校教育を受ける子どもにとって、夏休みは将来を左右すると言っても過言ではありません。幼稚園から高校まで13年間のうち、夏休みが36カ月(3年間)もあるのです。この3年間を遊んで過ごすか、自分の能力を向上させるために過ごすかによって、子どもの進路選択に大きな「差」が生じることは容易に想像できると思います。

英語力を低下させない配慮をする

アメリカでは夏休みに宿題や課題が出ることはありません。従って、休み中に子どもがどう学習活動に取り組むかは、100%家庭に任されています。夏休みまでの9カ月間、コツコツがんばって向上させてきた英語力と学力が、夏休みに入って落ち込んでしまうことのないように、毎日少しでいいですから、英語の読書やワークブックに取り組む時間を作りましょう。

日本に帰省する場合は、現地校が始まる1カ月前にはアメリカに戻り、生活リズムを整えておくことが大切です。気持ちを英語モードに切り替え、学習面の準備をすることによって、スムーズに新しい学年を迎えることができます。バイリンガルの子どもは英語力でハンディがありますから、学年のスタートでつまずくと、ますます学習遅れが目立つようになります。夏休み明けに良いスタートダッシュが切れるように、夏休み後半の過ごし方には特に配慮してください。

英語力が弱い子どもの場合、帰省はできるだけ短期間に抑えましょう。子どもがアメリカの学校に通っている間は、英語力の強化を第一に考えてあげてください。現地校に通う子どもは英語への苦手意識から「自分は勉強ができない」と思い込みがちです。英語力を早期に向上させることが現地校適応には不可欠であり、それを実現できる最適期が夏休みです。英語ができるようになれば、自信が回復し、学校の授業にもついていけるようになります。

自信を持って新学年を迎えるには

新学年が始まると、先生、クラスメート、授業の進め方など、子どもを取り巻く環境が一変します。特に、キンダーガーテン、小学1年、ミドルスクールに上がる子どもは、大きな変化と直面するので、心理不安定に陥りがちです。子どもの学校適応を促すコツは、夏休みだからと油断せず、睡眠、食事、遊び、勉強など、毎日の生活リズムを一定に保つことです。生活リズムの乱れは必ず心理不安を悪化させるので注意してください。

また、アメリカのサマープログラムに参加させて、子どもが好きなこと、得意なことに取り組ませてあげましょう。スポーツ、音楽、演劇、キャンプなど、アメリカにはあらゆるプログラムがありますから、これらを利用しない手はありません。サマープログラムに参加することで、新しい友だちと出会えるだけでなく、自分の得意分野に磨きをかけることができます。そんな夏休みの経験が、子どもを一回り大きく、たくましく成長させてくれます。自信が大きく育つほど、現地校への適応は円滑に行なわれます。

学齢期を通して計画を立てる

夏休みの過ごし方は、長期的な視野で計画を立てることが大切です。例えば、小学校低学年は英語力強化、小学校高学年から中学はスポーツなど課外活動の強化、高校ではボランティアやインターンなどの社会参加、というように、学校生活を通して夏休みをどう過ごすのか、大まかな計画を立てておくのです。子どもの現地校生活をより充実したものにするために、そして、子どもの自信を大きく育てるために、アメリカの長い夏休みを有効に活用してください。

(2014年5月1日号掲載)