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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

日米の大学におけるメリットとデメリットは何ですか?

高校2年生の息子がアメリカの大学に残ることを希望しています。来年には仕事の関係で帰国する予定なので、日本の大学へ進学させることも考えています。日米の大学のメリットとデメリットを教えてください。

松本輝彦(INFOE代表)

日米の大学の特徴を理解し
子供の目標と性格で決める

「メリットとデメリット」は何を基準に判断するかによって大きく異なります。
ここでは、かつて日米の大学で学び、現在日本の大学でクラスを担当している私自身の経験を基に、考えてみましょう。

私の体験

 まず私自身の大学での体験談をいくつか紹介します。
〇笋アメリカの大学で学んでいた時、教授の都合でクラスが休講になりました。すると、働きながら学ぶ受講生の1人が「授業料を返してほしい」と教授に詰め寄りました。もちろん教授が授業料返還などするはずがありません。そこで、受講生全員のスケジュールを聞いて、全員が時間の取れる日曜日に、教授の自宅で補講が開かれました。
▲▲瓮螢の大学には「Freshman Writing」というクラスがあります。大学生としての考えや意見を相手に伝え、説得する文章を書くトレーニングです。自分の考えとは、ただ単に日ごろ自分自身が考えていることではなく、大学での学習や研究を通して自分が得たアイデアや研究成果なども含みます。大学1年生が最も苦しむクラスです。
F本の有名大学で10人ほどの学生に「勉強のために、1日何ページ本を読むか」と聞いてみました。答えは、「1、2ページ」でした。このうちの1人がアメリカの大学に1年間留学して帰ってきた際に、同じ質問をしたところ、「1週間に200ページは普通」との答えが返ってきました。この話を日本の大学教授にしたところ、「言っても読まないから、読ませない」と言われました。
だ萋、日本の電車の中である大学のつり広告を見ました。そこにはとても大きな字で「友達ができます」と書いてありました。

日米の大学教育の違い

 この体験に基づいて、私は、アメリカの大学は「アカデミックなトレーニング」を、日本の大学は「社会人の養成」を第1の目標としていると考えます。
 アメリカの大学が行っている「アカデミックなトレーニング」とは、△筬のような読書や文章を書くトレーニングを厳しく学生に課し、学問や研究の基礎能力を身につけさせることです。学生の専攻分野での高度な知識と併せて、ここで開発されたスキルが、社会で職を求める場合に必要な能力なのです。
 アメリカでは年齢や就業年数ではなく、能力や自分ができる仕事の内容により給与が決まります。より待遇の良い仕事に就くためには、何歳になっても大学に戻り、再びトレーニングを受けるという人が多いのです。
 大学の立場から見ると、企業や社会が必要としている能力やスキルを学生に身につけさせる、「教育」というサービスの対価として、学生から授業料を取っているのです。もし、そのサービスが不十分であれば、,里茲Δ塀侏荵が起こります。
 日本の大学が行っている「社会人の養成」とは、高校までの(実質的な)義務教育を終えてから、就職して社会に出るまでの猶予期間(モラトリアム)に、良き社会人となるための、学生による自己トレーニングの時期を与えることです。その間、クラブやサークル活動を通して生涯の友人を見つけ、アルバイトやインターンシップを通して、卒業後に経験する社会人生活をほんの少し体験するのです。上のい旅告は、大学自身がこの考えを追認していることを示す例です。
 さらに、からも明らかなように、厳しいトレーニングは、学生から授業料を受け取るために大学側が行うサービスだという、アメリカの大学では当然の認識が、日本では欠如しています。学生の「教育」より、自分自身の「研究」の方が、大学教員にとって優先順位が高くなっているのです。

どちらの大学?

 それでは、どちらの大学がいいのでしょうか?それは、大学生となるお子さん自身の目標と性格で決まります。「独立心が強く、自分の道を歩む」タイプならアメリカの大学へ、「寄らば大樹の陰で、安定を求める」タイプなら帰国子女入試制度を活用して、日本の有名大学へ進学することをおすすめします。もちろん、これが、私の限られた経験を基にした、私の独断であることは、ご理解いただけると思います。時には、家1軒分の費用を投資することになる大学教育です。教育の中身について、よくお考えください。この回答が、決断のための刺激剤になれば幸いです。