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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

現地校に編入した小学生 学習面で注意すべきところは?

この夏、2人の小学生を連れて、日本から4年の予定で赴任しました。子供たちは9月の新学期から元気に現地校に通っています。しかし、2人の様子をよく見てみると、現地校でのESLのサポートは多少あるものの、英語はほとんどわからず、教科の学習も理解できているとは思えません。これから、現地校の勉強で、どんなことを注意すれば良いのでしょうか?

松本輝彦(INFOE代表)

帰国までを視野に入れた計画を
親の自覚と努力が最重要

 海外での子供の教育は、渡航から日本帰国までを大きな流れとしてとらえる必要があります。
 渡航後約半年間の現地社会・現地校への適応は、その後の現地校での学習、さらに日本帰国後の生活・学習に大きな影響を与えます。この時期に、どんな考え方に基づいて、どんな内容の指導をすれば良いのかを、私は「現地適応教育」として提唱しています。それをご紹介しましょう。

現地校への適応何を?

 現地校での生活や学習での適応に必要な事柄は、子供の学年や能力による違いも大きいですが、概ね、次のような内容が含まれます。
1 英語の習得
  学校生活での緊急事態に対応する最低限の英語(サバイバル英語)
  学校生活のための英語(学校生活英語)
  授業を理解できるようになる英語(学習英語)
  学校の外で生活するための英語(一般生活英語)
 の段階に分けることができます。

2 学習教科の基礎事項の習得
 アメリカの地理や歴史など、小学校高学年以降に現地校に入った子供が、学習内容理解のために知っていなければならない事柄です。これらについては、子供の理解を促すために日本語での指導が必要です。
3 現地校学習科目の予習
 現地校で学ぶのは英語ではありません。学習内容を英語で理解し、学ぶのです。
  算数は、日本での学習進度が現地校より遅れていれば、日本語で予習をさせます。
  社会・理科は、これまでの子供が身につけた知識と、教科書に出てくる内容をリンクさせ、予習しておきます。これもまた日本語での指導が必要です。

4 親が現地校教育の仕組みを理解すること
 学校からの配布物、学校行事、教育目標や考え方を把握しましょう。日本の教育との対比などを通して理解することが、子供の指導に不可欠です。

適応のための指導誰が?

 ここで示した内容を、どこで、誰が指導するかが問題です。
 「現地校には、ESLがあるから大丈夫」という言葉を聞きます。しかしESLとは、文字通り「第2言語としての英語」であって、英語の基礎しか教えません。先の「英語の習得」で示した,鉢△世韻任后それ以上のことについては面倒を見てくれません。ましてや、日本語での指導などは、日本人生徒が少なくなっているので期待できません。
 それでは、日本政府に期待できるでしょうか。北米には日本の文部科学省がサポートしている補習授業校が90校近くありますが、あくまでも「補習校は日本へ帰国する子供のための学校」という立場です。またアメリカの教育を日本の政府が支援することは、内政干渉にもなりかねません。
 結局は、親の力で何とかするしかありません。そのためには、先に述べた、適応のために必要な内容を親自らが理解して、その重要さを認識する必要があるのです。

まず、親が頑張ること

 日本の教育しか受けたことがない親が、異なる教育システムの中で学んでいる子供たちの状況を把握したり、問題点を見つけ出すのは、なかなか難しいことです。親自身がアメリカの教育を理解し、情報収集に努めるのは言うまでもありません。さらに、子供の状況に応じて具体的に何を与えれば良いのか、どのように指導すれば良いのかを知るために、親は専門家にアドバイスを求めるべきです。そしてそのアドバイスとは、ひとりひとりの子供の学習歴や能力、生活している地域、今後の予定など、非常に多くの要素を考慮したものであることが必要です。
 海外での子供の教育は、日本国内での教育と同様、学校任せでは不可能です。親が責任を自覚し、努力を怠らないことが最重要です。私どももお手伝いしますので、頑張ってください。