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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

一時帰国の際に日本の学校へ体験入学より長く通う方法は

小学3年生の子供の母親です。滞米3年半ですが、今後の滞在が長くなることになりました。一時帰国する際に、日本の学校に子供を通わせたいのですが、体験入学では、短すぎるような気がします。何か他に方法はありますか。

松本輝彦(INFOE代表)

学習の効果を期待するなら
年度初めの「長期の帰国」を

 「体験入学」とは、現地校の学年が終わってから、日本の学校が夏休みに入るまで期間、日本で学校生活を体験することを言います。長くても1カ月程度ですので、文字通り体験にはなりますが、日本語や日本の教科の学力を伸ばすことは、期待できません。

「長期の帰国」のすすめ

 もしも、体験入学以上のものを望むなら、現地校を3月末で休学し、4月からの1学期間、日本の学校へ通わせることを考えてはいかがでしょうか。これを私は「長期の帰国」と呼んでいます。
 私が留学するために、長女が1歳半の時に、家族揃って3〜4年の予定で渡米しました。しかし、長女が小学3年生の時に、初めの予定を変更して、もう数年アメリカに住むことになりました。それまでは、言わば「仮のアメリカ生活」をしていましたが、「腰をすえた」生活を計画しなければならなくなりました。長女の日本語教育についても、充分ではないと感じました。また、日本にいる私たちの両親や親戚との絆も作ってやりたいという希望もありました。そんな時、「長期の帰国」を家内と思いついたのです。

アメリカの学校を休学

 さっそく、現地校に相談したところ、「学校を2、3カ月休んでいる間の勉強内容よりも、日本の学校で学ぶ体験の方がずっと貴重ですよ」と、簡単にOKが出ました。それでも、勉強の遅れが心配だと伝えたところ、「6月は学年末の行事が多いので、実際の勉強が抜けるのは4、5月だけ。アメリカの子供も、長い夏休みの間に忘れてしまうので、秋の新学年の始めに必ず復習するから、その時に追いつけば良いです」と言われました。
 担任の先生に長期欠席することを口頭で伝え、教科書を返して、現地校の「休学」手続きは簡単に終わりました。

日本の学校での生活

 3月末に日本へ帰国し、長女が赤ちゃんの時を過ごした祖父母の家に。市役所で住民登録を済ませると、4月から通学する学校が決まりました。アメリカの学校からの書類は、何も必要ありませんでした。
 日本の学校では、新年度にクラス替えが行われて、どの生徒もお互いによく知らない人間関係の中に入ることになります。長女もクラスの中で「お客さん」扱いされることなく、自然にクラスの一員となりました。
 勉強も、クラスメートと同じ条件でのスタートです。3年生は、話し言葉での学習から、書き言葉の学習へ移る時期です。会話だけではなく、読み書きの基礎を作る大切な時期です。学習する漢字の数も増えてきます。算数でも掛け算や割り算の勉強に入ります。勉強が厳しくなる学年なのです。
 長女はどんなことでも、普通の生徒として扱われ、アメリカから帰って来たとは気がつかないクラスメートもいたようです。

再び、アメリカの学校へ

 そんな学校生活も、1学期の終業式に出席し、通知表をもらった時点で終わりです。事前に転出の手続きをしておきます。
 長女はクラスメートに別れを告げて、同い年のいとこの家に移動し、夏休みを一緒に楽しく過ごしました。そして8月末、一時帰国した私も含めて、家族全員でアメリカへ再出発したのです。
 現地校へは「長期欠席」と届けていますので、子供の学習記録は学校に残っています。ですから、アメリカに初めて来た時のような、テストや編入手続きは必要なく、新学年が始まる際の、通常の簡単な手続きで「復学」できました。一時帰国の前に、2カ月のブランクを心配した現地校の勉強も、事前に先生が言っていたように、新学年で問題が生じることはありませんでした。


 我が家での20年も前の「長期の帰国」。今思い出してみると、思い切ったことをしたと感じますが、この時、長女が体験した日本語力の向上と日本での生活は、それ以後の補習校での日本語の学習だけではなく、現地校での学びにも大きなインパクトを与えました。この半年間は、長女にとって最も長い日本生活となりましたが、大人になった今でも貴重な思い出として残っています。
 会社のルールが厳しいところもあり、駐在員の家庭では、「長期の帰国」は難しいと聞いたこともありますが、アメリカ滞在が長期になってきたお子さんの、教育のヒントになれば幸いです。