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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

帰国後の英語の学習 学校や教室以外で伸ばす方法は?

滞米5年の5年生の娘を連れて、日本へ帰ります。帰国後もネイティブレベルの英語での学習を続けさせたいと思っています。しかし、地方都市に帰りますので、学校や英語教室でレベルの高い指導が期待できません。何か良い方法はないでしょうか。

松本輝彦(INFOE代表)

伸ばす鍵は「会話」ではなく「読書」
本を揃えて協力する環境作りが大切

 日本帰国後、英語力の保持だけではなく、より高いレベルへの伸長を目指した英語学習の機会に恵まれない子供が多くいます。私は、そのような子供のために、「帰国後の英語での読書の継続」を強くすすめています。現地校で一緒に勉強したアメリカ人のクラスメートが読んでいるのと同じ本の読書です。

読書が英語力向上の基礎

 現地校での学習期間が4、5年を過ぎたお子さんは、英語がネイティブ、あるいはそれに近いレベルに達し、レギュラークラスでサバイブできるようになっていると思われます。その子供の英語力を、日本帰国後もさらに伸ばす鍵は、「会話」ではなくて「読書」です。
 そのようなお子さんの日本帰国後の英語学習の目標は何でしょうか? お子さんが大学生や社会人になった時に、読み書きも含めた総合的な英語力を獲得していることです。仕事の内容や学問のテーマについて議論し、相手の意見を聞いたり読んだりして理解し、そして、自分の意見を話したり書いたりして表現することです。これが本当の外国語の力です。そのためには、アメリカの子供たちが成長とともに身につけていく英語力を、日本で生活していても、わが子に習得してもらうことが理想です。この目標のために、日本に帰国した子供にとって現実的に可能な方法が「英語の本の読書」です。

読書のメリット

 どんな言語で書かれた本であっても、学年相当のレベルの読書には、「単語力が向上する」「読解力が向上する」「文化理解が深まる」などの、数多くのメリットが考えられます。
 アメリカの学校は「自分で学べる」子供を育てるため、「読書」を強く指導します。このようにして現地校で身につけた読書習慣は、帰国後のお子さんにとって「宝」です。読書は、英語・日本語のどちらで勉強しようと、非常に大切なことです。日本の子供たちの読書量の少なさを見ると、アメリカでせっかく身につけた読書習慣を帰国後も維持させ、さらに伸ばしていくことは、大きな意義があります。
 また、英語の読書を続けることにより、欧米流のものの見方や考え方、さらには表現方法も身についていきます。日本語の読書で習得する日本流の見方・考え方と合わせて、二刀流、文字通りのバイリンガル・バイカルチャーのレベルに達することさえ、できるのです。

まず、読書の環境作り

 帰国直後からの英語の読書の環境作りが、お父さん・お母さんの仕事です。子供に読書を無理強いするだけでは長続きしません。日本の学校の勉強や生活は忙しく、英語の本をゆっくり読む時間も必要もありません。そんな生活の中で、英語の読書を続けるためには、家庭での読書環境が必要です。
 まず、本を揃えなければなりません。5年生で日本へ帰国したのなら、現地の子供たちが6年生で読む本を揃えることです。アメリカの学校には、学年の推薦図書のリスト(Core Book List)があります。このリストは学校区(School District)や図書館で作られており、容易に入手できます。このリストの本を、帰国前に購入して、帰国後子供に読み続けさせればいいだけです。現地校の先生の推薦と子供の興味を考慮して、帰国時に購入していくのもひとつの方法です。
 さらに重要なのが、保護者の参加です。お父さんやお母さんも、子供の本を一緒に読むことが、小学生の成功例の秘訣です。お母さんが、子供にあらすじを聞いたり質問をしたりすることで、海外での親子関係を保つことができ、子供の帰国適応にも大きなサポートになります。


 このように、「英語での読書」は、どこに帰国されても可能です。読書は、単純で根気の要る作業です。その作業を支える環境を作り、海外で身につけた英語力を、本当に「宝」になるレベルまで伸ばす機会を、お子さんに与えてあげてください。

■INFOE Book Club(www.infoe.com
 「帰国後の本選び」「読書内容の定着」、さらには「読書をベースにエッセイやレポートの指導」を通して、子供の英語での学力向上を目指したプログラムです。子供のレベルで興味のある内容の本を選んで、毎月、アメリカから日本の自宅へ送ります。子供がその本を読み、2、3ページの質問に答え、解答用紙をアメリカへ返送すると、現地校の先生と同じように採点・評価された解答用紙と次の本が返送されます。このプログラムは10年以上続いており、日本全国の地域に帰国した、小学生から高校生まで数多くの子供たちが英語力を伸ばしています。