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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

日本の教育とアメリカの教育、今後注目すべき点は?

我が家は帰国になるか永住になるか未定なので、今後、日本・アメリカ共に教育システムで留意すべき点を教えてください。

松本輝彦(INFOE代表)

日本は多様化と地域格差の広がり
アメリカは統一試験に注目

 新年、明けましておめでとうございます。
 2006年初めての今回は、日米の教育で今年1年注目していただきたい内容をご紹介します。

 日本の学校教育、小学校から大学までが、質・量共に大幅に多様化して、帰国後のお子さんの教育の選択の幅が広がっています。子供の教育について、親としての意見をしっかり持ち、的確な情報を収集することが不可欠になってきました。

教育の多様化の広がり

 昨年のこのコラムでも何度か紹介しましたが、少子化の影響が日本の教育に色濃く表れ始めています。「中学入試の広がり」「中高一貫教育」「中等学校」などで明らかなように、私立だけではなく、公立の学校も、少子化で激減している子供の奪い合いに積極的に参加してきました。その努力が「教育の多様化」、もっと具体的に言うと、「学校の選択幅の広がり」となって表れています。

 少子化の影響は大学にまで達します。「2007年問題」と呼ばれていますが、2007年4月の入学時には、日本の大学の募集定員が、大学進学希望者数を上回ります。進学先にこだわらなければ、受験生全員が大学に入学できる「大学全入」の時代が始まります。

公立教育の地域格差

 2007年4月から、これまで国の予算で確保されていた義務教育費の一部が、都道府県に移管されることになりました。この移管で、自治体の財政状況の違いにより、義務教育に格差が拡大することが心配されています。日本全国のどこでも保障されていた教育が崩れてくる懸念です。

 そんな地域格差の例として、千葉県の2つの市の教育の実態が、日本のテレビで紹介されました。

A市:新興商業地域にあり、税収が豊か。毎年2億5千万円をかけて、すべての小学校の図書室にフルタイムの司書教員を配置し、読書指導を行う。また、児童の発達段階に応じた施設設備を持つ、新しい学校を建設。

B市:古い田園地域にあり、財政的に余裕がない。地域学習の一貫として地域特産品の学習を住民の協力を得て行っている。このような教育に毎年1億円支出がやっと。

 この例は、現在、既にある義務教育での地域格差です。地域格差を示す数多くの例が、他の番組や雑誌で紹介されています。

アメリカの統一試験

 アメリカの教育改革のひとつである「統一試験」の実施が、全米に広がり、定着してきました。「滞米年数の短さ」「英語力の不足」などは、低得点の言い訳にならなくなっています。

STARプログラム

 学年相当に学力が付いているかを判定し、必要ならば補習、時には留年の決定をするための資料として使われる小・中学生対象の統一試験が、全米のほとんどの州で実施されています。カリフォルニア州では「STARプログラム」と呼ばれ、毎年春に実施されます。

 お子さんがこの試験を初めて受験される場合や、昨年の成績が不十分だった場合などは、なるべく早い機会にお子さんの担任の先生に面接を申し出て、お子さんの状況把握と、必要ならば受験準備について相談してください。単語力不足や英文の読解力不足などが、日本人の子供でよく指摘される弱点です。

 この試験は実力テストですので、日頃の学習が最も重要です。しかし、試験のねらいは、その学年で学ぶ内容が理解でき、習得するスキルが身に付いているかどうかを判定するもの。先生に指摘を受けた内容や項目を復習することは可能です。そのための学習ドリルのような教材も販売されていますので、状況に応じて家庭学習をさせてあげてください。

高校卒業試験

 カリフォルニア州の2006年6月の高校卒業生(現在12年生)から、高校卒業試験(High School Exit Exam)合格が卒業資格取得の必要要件となります。

 日本人の高校生にとって大変なのは、この卒業条件は滞米年数の長短や英語力の有無に関係なく、卒業生全員に適用されることです。現在の12年生のうち約10万人が、試験にまだ合格していないとの報道もあります。しかし、このプログラムは1年目で、この生徒たちが卒業式までに合格できない場合、高校卒業の資格を取るための具体的な方法やシステムが明確にされていません。

 アメリカの大学はもちろんのこと、帰国子女入試を実施する日本の大学も「高校卒業」の資格を要求しています。この試験は10年生から何度か受けられますが、まだ合格していない12年生は、あと1、2回の受験チャンスを生かして合格を目指してください。