学ぶ・育てる
Study

アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

帰国後、子供の学力を伸ばす、効果的な方法を教えてください。

 4年の滞在を終えて、5年生と7年生の子供を連れて日本へ帰ります。帰国後、子供たちの学力を伸ばすためには、どんな方法があるのでしょうか?

松本輝彦(INFOE代表)

海外で身につけた
「英語での学習」を続けることです。

「グローバル・リタレシー」
 「21世紀を担う子供たちに、今世界が求めている能力」として、東京学芸大学の佐藤郡衛教授は「グローバル・リタレシー」を提唱しています。それは、「基本的な読み書き能力(リタレシー)、自国の文化や価値観に対する理解(ナショナル・リタレシー)に加えて、異文化圏に生活する人と偏見や先入観なしに付き合え、自分の意見を言えて、相手を説得できる能力」としています。

 この新しい学力観提案の背景には、OECD(経済開発協力機構)の国際的な学習到達度調査(PISA)で、基礎力となる「読解力」の国別順位の8位(2000年)から14位( 03年)への急激な下落があります。この調査で調べているのは、先のグローバル・リタレシーの目指す能力の評価です。すなわち、日本国内の子供たちにも、日本独自の学力ではなく、グローバルなスタンダードの学力が求められ、それに基づいた教育が始まっているのです。(「Newsweek」日本語版、07年7月25日号より)

変わる大学入試
 「受験地獄」という言葉で大学受験の厳しさが表現された時代から、長期にわたり、日本の教育改革が叫ばれ、試みてこられました。しかし、大きな成果を生みませんでした。不成功の大きな理由として、「大学入試が変わらなければ」という理由が上げられてきました。小学校から高校までの学校教育の直接的な目標が「良い大学に入る」ためだったからです。

 最近、その大学入試が大きく変わり始めました。大学が入試を大きく変えるのは、ズバリ「少子化」です。大学の生き残りをかけて、入試に工夫を凝らし、多様な基準で新入生を取ろうとする動きです。最近は、筆記試験の成績中心で合否を判定する「一般入試」合格者の割合が、大都市周辺の大学、特に私立大学では全合格者の半数程度まで落ちてきました。残りの半数は、自己推薦、公募推薦、学校推薦など多くの推薦入試、また学業成績だけではなく活動実績などを総合評価するAO入試など、もちろん帰国子女入試も含めて、多様な選抜方法で受験しています。

 この大学入試の変化は、大学とその卒業生を受け入れている企業や社会が求めている能力の変化にあることは明白です。英語で卒業できる学部の新設などの大学自体の多様化を進めるために、その能力を身につけた高校生を探そうと、大学入試が多様化しているのです。

変わる小・中・高の教育
なぜ、書けないのか?

 大学教育の多様化が、大学入学を目標とする日本の教育の特徴を示して、高校・中学校での教育にまで大きな影響を及ぼし始めました。中高一貫教育の広がり、6年一貫の中等教育学校の新設増加がその好例です。今や、私立の高校で附属中学校を持たない学校はほとんどありません。また、公立の中等教育学校の新設は、大都市圏よりも地方自治体が非常な努力を払っています。それらの学校の特徴は、最終目標は大学合格ではあるものの、「筆記テストで高得点を挙げられる力」が「学力」と、捉えられてきた考え方から、佐藤教授が提唱する「グローバル・リタレシー」に近い「学力観」に基づいた教育の実践です。

 これらの学校の入り口となる中学入試では、自分の考えを表現する力を評価するために、小論文や面接が重視されるようになってきています。その中学入試で求められる学力の指導が、小学校での勉強に求められ始めました。社会や大学が求める「学力」の変化が、義務教育段階の教育や高校教育に大きな変化をもたらしています。

やはり、海外子女の「宝」
 ご相談のあった2人のお子さんは、ここで述べた「新しい学力」を現地校での教育で実につけてきたとは思いませんか? 帰国後も、海外で身につけた学力を伸ばすことが、お子さんたちにとっての「宝」になるとは思いませんか? そのために、帰国後も絶対続けなければならないのが、「英語での学習」です。英語の勉強ではなく、お2人が身につけた英語での「English / Language Art」「Social Studies」の学習です。どうぞ、考えてみてください。