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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

家庭の会話で、日本語と英語のどちらを使うべきでしょうか?

 4年生の子供が英語で苦労しています。現地校の先生に、「家庭で英語を使うように」と言われましたが、3年後には帰国の予定です。どうするべきでしょうか?

松本輝彦(INFOE代表)

どちらの言語を話すかは
両親の教育方針で決まります。

家でも英語:英語の学力充実
 現地校での学習は、当然のことですが英語で行われます。その英語力が、授業への参加や学習内容の理解に大きくかかわることは、容易に理解できます。
 「家でも英語を」は、英語力が不十分な子供に対して、担当の先生がアドバイスする言葉です。カリフォルニア州では、STARと呼ばれる統一学力試験が公立学校の児童生徒を対象に実施されています。英語の語彙(ボキャブラリー)が少ない試験結果が出た場合などに、現地校の先生から言われることの多い指導です。
 この指導の言葉の裏には、「英語力の向上が、アメリカの社会で生き残っていくのに必要だ」という考え方があります。英語の力を向上させ、英語での学力を伸ばさなければ、アメリカの学校でサバイブできないし、立派なアメリカ市民になれない、という、アメリカの税金を使った国民の教育の基本的な考え方です。この教育のために、最終的に読み書きの力が必要で、それらの力を伸ばすためには、「家庭での英語での会話が基礎である」との結論です。

家では日本語:帰国に向けて
 家庭では日本語でしっかり指導し、現地校では英語での学習に集中する。これは、バイリンガルに子供を育てる基本です。これに週末の日本語補習校が加わると、最も効果的なバイリンガル教育システムだ、と私自身の体験から信じています。
 日本への帰国が前提となっている駐在員の家庭ならなおさら、帰国後の子供の教育を考えると、家庭での日本語の使用は必要です。日本語での会話力が、ネイティブとしての日本語での読み書きの基礎になります。そして、その会話の中には、伝える内容だけではなく、日本の文化や、日本人の考え方がしみ込んでいて、それが子供に身についていきます。
 また、情感のこもった言葉で親が子供に話しかけることは、「母語」の言葉が示すように、子供の心の発達や将来の親子関係に大切なことです。

それでも家庭では日本語を
 「家でも英語を」のアドバイスの根拠はよく理解できます。しかし、「それでも家庭ではしっかりした日本語を話すべきだ」と、言葉よりも学力を重視する視点から、考えてみます。
 良きアメリカ市民にならなくとも、英語で教育されている現地校で、言葉だけではなく、英語による学力をつけるには、英語力の向上を目指すのは当然です。また、英語力を伸ばす最も効果的な方法は、英語の授業をしっかり聞き、英語のテキストをじっくりと読むことです。 
 4年生くらいになると、学習で出てくる英語は、家庭内で使う言葉のレベル以上になってきます。英会話の力よりも、読み書きの基礎である読書力の方が重要です。まだ1年目ですので、英語力だけに目を奪われないで、勉強を通して、読書の力をつけることをおすすめします。
 また、英語を第1言語としない子供たちが多い地区では、ESLなどの指導を通して、その子供たちへの英語教育のノウハウが蓄積されています。そのデータの中に、「バイリンガルで育てた子供の方が、英語だけのモノリンガルの子供より、アカデミックな力がついている」との調査結果を見せてもらったことがあります。
 これは、レベルの高い言語である日本語の力が、習得段階である英語での学力を補強しているという現象を示しています。そのような豊富な指導経験から、家庭で日本語をしっかり教えることが、長期的には英語の習得にプラスになると考え、「家では日本語を」というアドバイスをする現地校の先生もおられます。
 英語・日本語と言語の方に目が向きますが、子供の将来を長い目で見ると真の学力が最も重要です。特にご相談の4年生前後は、学力の基礎となる読み書きの勉強が、本格的になる重要な時期です。
 以上のことを踏まえ、「日本語の学力で英語での勉強を補強し、現地校の勉強で英語と英語での学力を伸ばす」が、ご相談者のお子さんに対する私からのアドバイスです。