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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

アメリカ育ちの娘が帰国に動揺。どうサポートすればよい?

帰国することになりました。娘は小学校から高校まで7年間アメリカで育ってきましたので、日本に帰ることに対して精神的にかなり動揺しています。親として娘に対する精神的サポートや、心得ておいた方がよいことなど教えてください。

松本輝彦(INFOE代表)

生活や学校の情報収集で不安を軽減
両親の継続的な日々のサポートが必須

 長年、アメリカに滞在して日本へ帰国することになった子供たちにとっての不安には、日本での「生活への不安」と「学校への不安」が中心です。

日本に対する漠然とした「生活への不安」

 これは、日本の社会や日本での日常生活に対する漠然とした不安です。お子さんにとって、日本への帰国は、外国に移り住むのと同じように不安なことです。言葉や生活習慣の違いに対する、「どうなるんだろう」という心配です。
 「友達と別れたくない」「アメリカの生活が好きだ」などの理由は、現在の生活に対する愛着
を示している、親としても十分理解できるものです。嘆く子供の気持ちを静かに聞いてあげる以外はありません。

 ところが、「日本が嫌いだ」という言葉に代表される、日本に対する否定的な感情を強く表す子供もいます。「日本への一時帰国などの自分自身の体験」がもっともポピュラーな理由です。もうすでに起きてしまった経験からくる否定の気持ちですから、日本に帰国後、肯定的な経験を数多くさせることにより、徐々に解消させていくしか方法はありません。

 また、両親自身の日本観を反映しているケースも多くあります。アメリカでの快適な生活、駐在員としての恵まれた生活から離れるご両親自身の帰国への不安は、日本についての否定的な話につながります。これは、親として最も避けなければならない態度です。帰国を控えた多忙な日々の中でも、子供の前での夫婦の会話には十分注意し、ポジティブな日本のイメージを子供に与えることが、子供の日本への適応をスムーズにします。

人間関係、勉強の場「学校への不安」

 日本帰国後の子供たちの生活の中心は学校です。その学校生活では、人間関係、勉強、進学など、さまざまな心配の種があります。

 子供たちにとって不安に感じるのは友人関係ですが、編入する学校やクラスについて、事前に予測することは不可能です。ですから、友人関係については帰国後の子供の様子を注意深く観察したり、子供と話し合って、判断するしかありません。帰国後、親が子供へのサポートを十分にする約束をして、安心させましょう。

 勉強への不安も大きなものです。ご相談の場合は、高校に編入することになります。本人もご両親も、編入できるかどうか不安でしょう。まず、日本の高校の編入学の情報をしっかりと集めましょう。編入試験を実施する予定の学校はどこか、試験はいつか、出願は、という情報集めです。その学校の中から、お子さんに合った学校選びを始めます。海外にいながらにして編入試験が受けられ、帰国前に入学が許可される帰国子女受入れ高校(啓明学園)もあります。帰国子女の高校編入成功のためには、なるべく多くの学校を受験することです。

大学進学など「将来への不安」も

 最後に、高校生としての帰国ですので、大学進学なども将来への不安の材料になります。お子さんにとって可能な進路のチョイスを示すことで、不安のレベルを下げることができます。高校編入後なるべく早い時期から、編入時と同様、お子さんが受験可能な大学入試の情報を調べることから始まります。国内生用の入試と帰国子女のための入試の違いを知ることです。大学によっては、高校編入であっても帰国子女入試を受験させてくれます。高校編入後の勉強と並行して、大学進学の準備を進めていくことになりますので、1、2年の計画を具体的に示すことが、お子さんの救いになります。

 高校途中での帰国で、ここに挙げたような不安を強く訴えるようならば、現地校を卒業させてから日本へ帰国されることを、真剣に検討してください。



 長年アメリカで生活してきた子供にとって、日本語が話せたとしても、帰国は大きな不安に満ちたできごとです。帰国後の生活や学校の的確な情報を集めることが、不安を少なくする第一歩です。そして、日本帰国後のご両親の継続的な日々のサポートが、最後のステップです。