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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

最近の日本の小学校の状況を教えてください。

 日本の友人から「学校は変わったわよ」と言われました。どんな風に変わっているのですか? また、親としてどう対応すればいいのでしょうか?

松本輝彦(INFOE代表)

小学校の選択幅が増えています。

公立小学校も選ぶ時代?
 東京都の公立の小学校・中学校で、「学校選択制」が広がってきています。平成12年度に品川区の小学校に導入されて以来、2007年4月に、東京都23区の約80%、また市町村の約30%が、その区市町村内の公立学校を子供・保護者が自由に選べる制度を実施しています。小学校・中学校で学校選択制を実施している東京都の区市町村を下の表にまとめました。小学校だけでも、実施しているのは14区6市におよびます。
 この制度のねらいは、「子供・保護者に選ばれるため、各学校が特色作りに努力することで競争が生まれ、結果として在校生の学力の向上につながる」です。この考え方が保護者の幅広いサポートを受けて、学校選択制が広がりを見せています。

多様化する日本の教育
 自分の学生時代はどこに住んでいても同じ教育が受けられるのが、公立小学校での教育でした」と、この若いお母さんは、現在の学校教育の多様性に戸惑いを隠せませんでした。「日本の学校はどこも同じ設備で、同じ教育を受けられる。すばらしい」と、アメリカの先生方に羨ましがられた質と量が揃った公立学校での教育は、過去のものでしょうか。
 東京都では、これまで何度も紹介した公立の中高一貫教育だけではなく、公立の小学校と中学校の一貫教育のチョイスすら出てきました。「選択できるチョイスの増加=多様化」が、小学校から大学までの日本の学校教育全体に急激に広がっています。この傾向は今年も続きます。

選択するのは保護者
 学校選択制を取る地域で小学校を選ぶのは子供自身ではなく、もちろん保護者です。「どんな基準で」の質問の内容を具体的に聞いてみました。
 自宅から通学が可能ないくつかの小学校についての母親情報にはっきりした差が出始めています。「学校のレベルが高い」「良い先生が多い」「いじめが少ない」「施設が新しい」などの評価が、母親たちの口から伝わってきます。また、各学校が特色を出す中で、どの特色がわが子に必要なのかを判断できないために、学校選びがより困難になっています。

保護者の「自己責任」
 多様化する学校での子供の教育で最も必要なことは、「わが子の教育は、私たち夫婦が決める」です。自分の子供の教育を「自己責任」で決めて、実行していくしかないのです。わが子の教育で「みんなと同じ」というチョイスは、もうありません。自分の子供の性格や能力をよく観察し、教育の方向や内容、学校を決めていくのです。
 「子供の教育は失敗できない」と、決断を先に延ばしたり、決断することから逃れることはできません。それぞれの決断の場面で、「子供にとってのBEST」と考える選択をすればいいのです。それしかないのでは? 我が子の教育の結果は、いつ出るのでしょうか? 親として決断をしなければならない最後はいつなのでしょうか? 大学入試? 成人式?25歳? もしもその時に「お父さん・お母さん」とその教育を子供に詰問されたら、「ごめん。お前のためにBESTを尽くしたんだけど」と、素直に謝りましょう。それしかできないのですから。それが、わが子の教育に対する「自己責任」?

教育の多様化は日本の社会変化の反映
 ここで紹介した学校選択の多様化は、何も教育に限ったことではなく、日本の社会の動きを反映したものです。「自己責任」という言葉は、教育だけでなく、福祉や年金に関する議論でも頻繁に出てきます。この状況は、しばらく続きそうです。



 最後になりましたが、新年、明けましておめでとうございます。2008年も、ご愛読をお願いいたします。

東京都の公立学校選択制度の実施状況(平成19年度)
学校
区市町村(実施年度順)
区市数
小学校のみ
立川市
1市 
中学校のみ
千代田、文京、台東、中央、清瀬市、練馬、武蔵村山市、調布市
5区・3市
小・中学校
品川、豊島、日野市、墨田、江東、杉並、荒川、足立、港、目黒、葛飾、江戸川、多摩市、西東京市、新宿、渋谷、板橋、八王子市、町田市  14区・5市

出典:東京都教育庁ホームページ