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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

英語でリベラルアーツが学べる大学が増えているって本当?

アメリカ生活が長い高校生の子供が、日米どちらの大学に進学するか迷っています。最近、英語でリベラルアーツを学べる日本の大学が増えてきたと聞きました。

松本輝彦(INFOE代表)

幅広い内容が学べるリベラルアーツ学部が増えています。

英語で学べる大学
 日本の学校の英語ブームが大きく広がり、「英会話・英語を学ぶ」だけではなく、「英語で学ぶ」クラスや学部を開く大学が、ここ2、3年で急激に増えてきました。さらに、それらの大学の中に、卒業に必要な単位を英語での講義のみを受講して取得でき、卒業資格が取得できる大学も出てきました。

 何十年も前に日本の大学を卒業した私にとって、このような大学の変貌ぶりや、その変化を許してきた文部科学省の心変わりには驚きです。本当に国際化を進める決心の現われでしょうか?

 英語で学べる大学は、海外からの留学生の増加にもつながるので、日本の教育の国際化という国の方針とも一致します。今後、このタイプの大学や学部が増えていくことは間違いないでしょう。 

リベラルアーツ?
 大学生のA君が「世界の政治の歴史を専攻しています」と誇らしく発言しました。しかし、よく聞いてみると、「高校・大学で世界の歴史を学んでいない」とのことです。世界史の知識がない学生が、「政治史」を学ぶことなどできるのでしょうか?

 実は、「大学で『体育』が必修」だった古い時代のカリキュラムは、十数年前に文部省により新しい大学のカリキュラムに改革されました。そのため、今の大学生のほとんどは、「歴史」「文学」「哲学」など、かつての教養科目を受講せずに専門科目を学んで、卒業しています。

 基礎的知識の欠如した最近の学生の学力を改善するために、特に文系の学部で、大学レベルのすべての科目の基礎となる「教養科目」の開講が増えてきています。それをもっと進めて、大学4年間に教養科目を中心としたカリキュラムを提供する学部が出現し始めています。かつての「教養学部」の復活ですが、「教養」の言葉が持つ悪いイメージを避けるために、新しい学部名・カリキュラムには、「リベラルアーツ」という言葉が多用されています。

就職はどうなるの?
 「英語で、専門のないリベラルアーツを勉強して、就職なんかできるの?」、 これまでの日本の大学の実態から見ると、この疑問は当然です。

 その結果がどうなるのか、今年の3月初めての卒業生を出した早稲田大学国際教養学部の職員の方に聞いたところ、「約500名の第1期卒業生の約8割が日本の大手企業や外資系企業に就職できました。その就職実績は、早稲田大学の政治経済学部や法学部などの既存の学部に引けをとらない立派なものです」との回答でした。

 この就職実績から、現在の日本の企業が大学卒業生に求める、次のようなポイントが見えてきます。
(1) 大学4年間で学んだ専門学部の知識に大きな期待を持っておらず、
    幅広い教養を身に付けた卒業生を求めている。
(2) 英語力や留学経験など、企業の国際化要員としての能力や資質を、
    大学卒業生に求めている。

 もちろん、日本国内での就職ですので、「日本力」と呼ばれることもある、日本語力、日本語での知識、日本の文化や習慣の理解など、日本社会で生きていくための基礎的な力は必要です。しかし、これらの力は、「留学生も就職していますよ」と先の職員の言葉から、4年間の日本での生活の中で身に付けられるものです。

 これらをまとめると、「英語でリベラルアーツを学んでも、日本での就職には困らない」といえます。

海外子女にとってのメリット
 英語力・英語での学力や海外経験の豊かな海外の高校生が日本の大学に進学する場合は、帰国子女大学入試を受験して、「日本語で学ぶ大学・学部」に入学するのが一般的でした。

 ここで紹介した「英語でリベラルアーツ」を学ぶ大学・学部の増加は、「日本の大学に進学したいけど、日本語の講義は…」とためらっていた高校生に大きなチャンスを与えるものです。そして、卒業後の就職にも大きなメリットがあるとすれば、本気で考えてもいいのではないでしょうか?