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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

「日本」をどうやって教えてあげればいいのでしょうか?

アメリカ生まれの子供(日本人)に、「日本」をどうやって教えてあげればいいのでしょうか?

松本輝彦(INFOE代表)

「お正月」を活かしましょう。

●日本人
ご質問は、姿かたちや国籍だけで決まる「日本人」のことを言っているのではないでしょう。「日本語が上手に話せる」「日本の歴史や地理を良く知っている」人でも、日本人でない人もいます。何が、日本人であるために必要なことなのでしょうか? それがはっきりわかり、それを教えれば、立派な「日本人」になるはずです。


●日本人教育
あまり聞いたことのない言葉ですが、日本の教育の世界で話題になり始めています。
 
日本の公立の学校で10万人近くの外国人の子供が学んでいます。この子供たちに対して「学校がどんな教育を提供すればいいのか」が先生たちの大きな悩みです。当然、日本で生活し学んでいくための「日本語(国語)教育」や日本の社会や文化の知識は必要です。それに加えて、子供たちが持っている文化や伝統を大切にし、伸ばしてあげる教育を目指す動きが大きくなってきています。その意義は、アメリカで子育てをしておられる皆さんには、よくおわかりだと思います。
 
その外国人への教育を考えていくと、「それでは、日本人の子供には何を教えればいいのか?」という基本的な疑問が出てきます。それに国として応えるためか、教育基本法が作り変えられたり、次の指導要領では「古典の音読」「道徳教育」などが学校教育に加えられることになっています。しかし、これだけで、最近の子供たちを「日本人」に変えていくことはできないと主張する人たちが多くいます。
 このように「日本人教育」と言っても、「何を、どう教えるか」という内容は、何も決まったものはないし、良くわからない、というのが現状です。


●アメリカで日本人に育てる
「環境が子供を育てる」と言われます。「日本」があふれている日本国内で育てれば「日本人」になるというのであれば、その環境のないアメリカで日本人を育てることは大変でしょう。しかし、嘆いていても、子供を「日本人」に育てることはできません。保護者として現実的にすぐできるのは、家庭の中を可能な限り「日本」の環境に作り上げることです。


●お正月に「日本」を教える
日本の文化と伝統を、環境として体験させるのに「お正月」は絶好の機会です。我が家での「元旦の朝食」を紹介しましょう。 
 
全員食卓に着き、「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」とお互いに挨拶。次はお屠蘇です。「お父さんは、子供に毒を飲ませようとしている! (現地校でアルコールは毒だと教えられている)」という抗議に「これは儀式。口だけ付ければいいから」と説得します。

簡単ですが、お母さんが頑張って作った「お雑煮」を全員でいただきます。食べながら、中に入っているものを説明します。時には、味噌を変えた雑煮を作って、「日本の中でも場所によって、お雑煮は違うのよ」とお母さんの講義付きです。最後はお年玉。我が家ではクリスマスのプレゼントは品物、お正月はお金と決めています。「現金」の魅力に子供たちは、この元旦の朝食を最後までおとなしく付き合うことになります。
 
番外として、食事の後は全員で「百人一首」。子供たちが小さい時は「坊主めくり」、大きくなってからは、私が読み上げて、3人娘とお母さんで勝負!この遊びで、日本語の57音のリズムや古典の言葉を覚えてしまいました。


●子供の未来のために
もう1つの「日本人教育」への要求は、現代の急速に進む社会や経済のグローバル化の影響です。
 
「これからの子供に英語は必要だ」という意見に、皆さんは賛成されると思います。「それでは英語だけでいいのですか?」との問いには「日本語も大切にしてほしい」との回答が多く聞かれます。「国際人」を目指しながらも「日本人」としても育てたいという親の願いの言葉です。理屈っぽく言うと、「グローバル化」の進行に並行した「反グローバル化」の動きです。
 
現実としては、その両方を目指して子育てをされると思います。日本の文化と伝統の環境作りのために、「お正月」を活用してみてください。