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【旅】見どころ満載 アリゾナ周遊の旅

LA近郊の旅&レジャー

毎年11月末のサンクスギビングの連休に近鉄インターナショナルが催行する、「アリゾナ特急」。サボテンあり、化石あり、クレーターあり、癒しの地からカジノまでという盛りだくさんの内容で、全1300マイルの行程をひた走るバスの旅。


【1日目】LA→フェニックス→ツーソン
LA海物語を聞きながらツーソンまで500マイル

スワロカクタス国立公園には電信柱大の
サボテンがニョキニョキ

 11月末、サンクスギビングの連休に、近鉄インターナショナルが主催する3泊4日のバス旅行、アメリカン・ホリデイツアー「アリゾナ特急スワロカクタス国立公園」に参加した。アリゾナはフェニックス、ツーソン、セドナ、ホルブルックから、ネバダのラフリン、カリフォルニアに戻ってジョシュアツリーと全部バスで、4日間で移動し切ってしまうという名前通り、狷探〞な旅だ。スワロカクタス、化石の森、ジョシュアツリーと3つの国立公園をまわり、さらにはメテオクレーター、セドナ観光、ラフリンでのカジノと、盛りだくさんな内容。

 バスツアーなんて、記者もアメリカに来て以来、初めてのこと。「1人での参加は自分だけ?」と思ったら、待ち合わせのホリデーイン・トーランスには、1人参加の若者が2人もいて心強い。他に、新婚カップルとその親御さん、熟年のご夫婦、家族連れという構成で計16名。ヒゲのマスター風添乗員・堀山敏夫さんに率いられ、大型バスでいざ出発。今日は、フリーウェイ10号線をひたすら東へ、州境を越えてツーソンに向かう。バスの中で堀山さんは、まず国立公園のルールを説明する。「取るのは写真だけ。残すのは足跡だけ」。なるほど。今回は、特に化石の森で宝石となった貴重な木を見て回る。1かけらでも取ると罰金が科されるそう。
 
 パームスプリングスの電力風車を眺めながら、用意していただいたお弁当でランチ休憩する。やがて窓の向こうは砂漠ばかり。しかし、「何もないな…」なんてつぶやいちゃいけない。自然のエキスパート・堀山添乗員が、ガラガラヘビやサソリ、サボテンや低木のパロベルデなど、厳しい環境で生きる彼らの知恵を解説してくれた。

 州境を越えてアリゾナに。ここで時計を1時間進める。アリゾナ州は人口574万人。ネイティブアメリカンは20の居留地に14部族、人口は25万人で全体の5%と、全米でも最大の数なのだそうだ。また、Arizona とは、スペイン語で「Arida(乾燥)+Zone(地域)」とのこと。砂漠の都市らしい語源である。さらに東へ150マイル、ようやく州都フェニックスの市内に入った。州議事堂に立ち寄った後、ビルのそびえ立つ市街地を通り抜け、さらに10号線を東へ。荒野に沈む夕焼けを眺めながら、午後6時、ツーソンに到着。初日、約500マイルの道のり。


【2日目】ツーソン→スワロカクタス国立公園→セドナ→ホルブルック
枝の状態で生き様がわかるスワロカクタスの200年

 ツーソンで迎える2日目の朝。水平線が続く広い空だから、朝焼けも美しい。まだ少し肌寒い中、一行はスワロカクタス国立公園(Saguaro National Park)へ。ここは、1933年に国定公園に、94年に国立公園に指定されている。サボテンの中でも大きなこのスワロ(Saguaro)は、ソノラ砂漠にしか生息せず、それを保護するための公園だ。州の花にもなっているスワロカクタスは、アリゾナ州では非常に大切にされており、居住地として買った敷地内にスワロカクタスが生えていたら、市役所でこれを動かす許可を取らなければならないそうだ。

 公園内には電信柱大のスワロカクタスがニョキニョキと生えている。大きいもので高さ15メートル、重さ8トンだそうで、なかには30メートルになるものもあるらしい。しかし、そこまでになるには150〜200年かかるそう。なにせ、花をつけるまでに30年、50年かけて高さ2メートル、最初の枝をつけるのに75年と、気長な人生を送らなければならないのだ。年間200ガロンの水を必要とし、直射日光を避けるために、表面にアコーディオン型のひだで影を作り、水分を維持しているのだそうだ。9万エーカーの広い園内をバスでぐるりと回り、一行は西端のビジターセンターで降りる。ここにはサボテンを眺めながら歩けるちょっとしたトレイルもあり、思い思いに気に入ったサボテンの前で記念撮影。

 堀山さんが、一夫多妻制である地元のネイティブアメリカンのたとえ話を紹介してくれた。スワロカクタスの中心にある本体はチーフ(ご主人)で、そこから出ている枝は奥さん。たくさん枝のついているチーフは男っぷりもいいのだけど、その枝が下を向いていると悪い奥さん、上を向いているといい奥さんなのだそうだ。


赤い色で鉄分補給 癒しの地・セドナ効果

シンメトリーの形が美しいベルロック

 西部の街並みを再現したオールド・ツーソン、フェニックスを通り過ぎ、バスはフリーウェイ17号線を北上してセドナに向かう。セドナといえば、赤土の山々。その土地の持つエネルギーが人々を癒すというので、最近ではここを訪れるために日本からも観光客がひんぱんに訪れるようになった。自然派・堀山さんはこの赤土を斬る。「3億3千万年前、この辺りは赤道近くにある珊瑚礁の海でした。その後、砂丘へと姿を変え、さまざまな層を積み上げていきました。異なる岩は鉄分を多く含み、空気や水などの力によって酸化され赤くなりました」。

 セドナの4大ボルテックス(自然のパワーが泉のように溢れる土地)の1つ、ベルロックの前でバスを降りる。ベルの形をしているからこの名前がついているが、岩に近づくほど、その大きさに圧倒される。「なんだか足がしびれてきました」と参加者のお父さん。「私は手がかゆくて…」と別の参加者。セドナ特有の解毒作用なのか? 気絶する人が出なかったので、堀山さんも安心したようだが、やっぱり癒しパワー、あるのかもしれない。


癒しパワーがあると言われる
赤い岩のセドナの街

 セドナは人口1万5千人の市。1902年、カール・セドナという最初に入植した人物からついた地名だ。40年代にシュールレアリズムのアーティスト、マックス・アーナーが住んで以来、アーティストが、そして60年代にはミュージシャンが多く住み着いてきたのだが、70年代にはリタイア後の保養地としての人気が高まり、土地は高級化していく。そして、80年代に霊能者ページ・ブライアンがボルテックスを発見して以来、人気に拍車がかかったというわけ。赤い山肌や岩の上に、次々とリゾートホテルやギャラリー、住宅が建てられている姿は、先ほどの国立公園とは対象的。それほど、セドナは人々を魅了して止まないということなのだろう。

 「The Y」と呼ばれる三叉路から東に入り、ショップの並ぶアップタウンへ。赤い山々に見守られる中、お土産を買ったり、アイスクリームを食べたりとしばし休憩。バスはさらに北上し、紅葉のオーククリークキャニオンを抜け、ナバホ族が聖地としたアリゾナ州最高峰、3851メートルのサンフランシスコピークを眺めながら、宿泊地ホルブルックに向かう。フラッグスタッフから州道180号を東に120マイル、ホルブルックに着いた頃にはとっぷり日も暮れていた。

自然への造詣が深い添乗員の堀山敏夫さん
全行程1300マイル、3つの州にまたがり運転してくれたマヌエルさん
こんな枝っぷりのサボテンも。1本1本にドラマがあるのだ

61席の大型バスでゆったりと快適なドライブ旅行
化石化した木の中には丸太のままのものも
根っこを叩くとソープが出てくるヤッカの木

【3日目】ホルブルック→ベトリファイド・フォレスト国立公園
→メテオクレーター→ラフリン

高価なジュエリーがゴロゴロ リッチな気分の化石の森

赤・白・黄色の美しい石だが持ち帰り厳禁!

 今日の目的の1つは化石の森(Petrified Forest National Park)。1962年に指定された5万3200エーカーの国立公園だ。ホルブルックからフリーウェイ40号線をさらに30マイル近く東、ニューメキシコ州の州境に近いアリゾナ東端に位置する。さて、この化石の森ってどういうこと? 博識の堀山さんが答えてくれる。「2億2500万年前、この一帯はジャングルでした。このあたりの針葉樹は倒れると増水した川に押し流されて、泥や砂、火山灰などに覆われました。木の中にしみこんだ堆積物が木の細胞をケイ素に置き代えていったのです」。木の組織はアメジスト、メノウのような水晶体に石化(Petrified)し、現在その形をとどめたまま存在しているというわけ。ビジターセンターには、お土産用の石化木が、素敵な置物として販売されている。

 公園に入ってトレイルを歩くと、遠くに赤や紫、黄色と何とも言えない不思議な色合いの岩が見えてくる。鉄はセドナのような赤の他、茶や黄に、マンガンは青や紫、白、ピンク、コバルトは緑や黒といった色の化石を作るのだそうだ。一行は一列になって、風の強いトレイルに入る。薄紫と白の層でできた丸い岩の間を歩いていくと、川の跡らしき溝に沿って、ゴロゴロと岩が落ちている。いや、岩ではない。これがその石化木だ。色は本当にさまざま。赤、黄、白、紫…。手に取れる小さな木片もあれば、丸太1本がそのまま倒れて石化しているものもある。こんなもの、初めて見た。公園内では、この地に2千年前に住んでいたネイティブアメリカンが残した岩絵も見られる。「Newspaper Rock」と呼ばれる一帯には、この絵が650以上も密集しており、備え付けの双眼鏡でのぞくと、黒く酸化した岩肌にびっしりと描かれたアンテロープの絵や人間らしき姿が見て取れる。こんなにはっきりとした、たくさんの岩絵を見たのも初めてだった。


5万年前に開けられた穴 メテオクレーター

直径1300 メートルの大きなアリ地獄
…ではなく隕石の落ちた跡・メテオクレーター

 この日のもう1つの目的地はメテオクレーター(Meteor Crater)。隕石が落ちた巨大な跡地である。縁に立って全体を見渡すと、大きい。巨大なアリ地獄といったところか。その大きさは、直径約1300メートル、深さ約170メートル(60階建てビルと同じ高さ)、その側壁の円周は約4・8キロ。

 このクレーターが発見された1871年当時は、死火山か何かと見なされていたが、1890年に周辺の平原でニッケル鉄の隕石が発見されたことから、巨大な隕石によって作られたクレーターという仮説が浮上。いったんは否定されたものの、1903年にフィラデルフィアの採鉱技師ダニエル・モロー・ベリンジャーが、大きな金属物体との衝突によってできたものと確信、土地を買い取り25年もの月日を費やして、下に埋まっているであろう隕石を掘り当てようと努力を重ねた。しかし、資金は底をつき、1929年に断念。本人も同年、この世を去ってしまう。ちなみに、ここは公営ではなく、ベリンジャー氏の一族によって運営されている。このクレーターの大きさから、直径45メートル大の隕石が、時速6万9千キロ(秒速20キロ!)で衝突したものと専門家の間では推測されている。その隕石の主要部分の約80%は気化したと言われ、ベリンジャー氏が夢見た巨大金属物体は底からは出てこないかもしれないが、今でも超音波などの測定法で調査は続けられているという。

 ビジターセンターには、宇宙や隕石にまつわる展示物が並び、子供たちも楽しめる内容となっている。自分で隕石の大きさや速度を設定して地球に衝突させるコンピューターのシミュレーションもある。大宇宙の営みに畏怖の念を覚えつつ、バスは40号線を西へ。途中、ルート66の街・セリグマンで休憩し、今夜の宿泊地であるネバダ州の最南端、ラフリンに向かう。


こうなったら夜中まで 人間界ラフリンで娯楽

コロラド川沿いに広がるカジノの街・ラフリン。
一攫千金狙うぞ!

 フラッグスタッフから200マイルほど。夜7時過ぎ、ラフリン着。アリゾナを越えてネバダ州に入ってきたわけだ。ここは雄大なコロラド川に面したカジノの街。ストックな砂漠から人間界へ。川面にきらびやかなネオンを映したビル群から、我々の泊まるフラミンゴ・ラフリンが見えてきた。この地名は、ホテル経営者であり投資家であるドン・ラフリン氏に由来。1966年に川岸にある板囲いのモーテルを買収し、豪華なリゾートホテル&カジノに改造したことから開発が始まる。現在は、ラフリン全体で1万1千室におよぶ宿泊施設、1万2000台ものスロットマシン、400台のテーブルゲームを有し、7つのゴルフコース、アウトレットも集まるという一大カジノリゾートに発展。 この街で誰よりも一攫千金を当てたのは、他ならぬラフリン氏だったではないか?

 そんな人をライバル視するより、今夜を楽しまなくては。小銭を握りしめ(注:今はカード入力の時代)、25セントのスロットマシーンに興じる。豊富なシーフード料理とワイン飲み放題の11ドル69セントのバフェにも満足で、夜中までエンジョイしてしまった。


【4日目】ラフリン→ジョシュアツリー国立公園→LA
聖人たちの集う砂漠 ジョシュアツリー

 もう最終日ではないか。予定表を見ると、もう1カ所、国立公園に行くとある。今日行くのは、ジョシュアツリー国立公園(Joshua Tree National Park)。1日目に通り過ぎたパームスプリングスの北に位置している。我々一行は、朝、ラフリンのホテルを発ち、カリフォルニア州に戻って、のどかなハイウェイ95号線を西南に160マイル走る。この地が国立公園として指定されたのは1994年。敷地面積は78万9745エーカー、今回のツアーで1番の広さであり、ヨセミテ(76万1266エーカー)とほぼ同規模。
 
 このジョシュアツリー国立公園も砂漠の公園なのだが、コロラド砂漠とモハべ砂漠の2つが敷地内でぶつかっており、2つの砂漠の地形からくる生態系の違いが見られるところ。公園名になっているジョシュアツリーという珍しいユリ科の植物が見られるのは、海抜の高い公園西部のモハべ砂漠で、海抜の低いコロラド砂漠にはサボテンが生えているのだそうだ。公園に入っていくと、枝も幹もない、なんとも形容しがたい不思議な植物が密集して生えている。「夕暮れ時に道に迷ったモルモン教の信者たちが、人影だと思って呼びかけたのがこの木でした。聖人・ジョシュアの名前から来ていると言われています」と堀山さん。7メートルまで伸び、寿命は数百年。900年生きるものもあるとか。確かにジョシュアツリーには、仙人のような雰囲気もある。

 公園内のトレイルを歩いて、気持ちいい汗をかいた後、遠くリトルサンバナディーノ山脈が望める「Keys View」にも足を伸ばすが、風が強すぎて数分でバスに戻る。「Cottonwood Visitor Center」まで南下すると、海抜が低くなり、今度はグリズリーベアカクタスという、金色トゲのサボテンが群生し始める。ビジターセンターに着いた頃はすっかり日が暮れてしまった。赤く染まったイーグルマウンテンをバックに全員で記念撮影する。そこからフリーウェイの10号線に乗り、帰路に着く。

 今回、見て、感動した風景は保護されているからこそ見られるものだ。自然破壊が進む文明社会の中にあっても、自然を尊ぶ人たちがいて、尽力してきたことに敬意と感謝を表したい。何でも答えてくれた物知り添乗員の堀山さん、お世話になりました。本当に贅沢な時間を過ごさせてもらった。


■取材協力
近鉄インターナショナル
アメリカンホリデイツアー
☎ 1-888-245-5874
www americanholidaytour.com
なお、2006年の同ツアーは11月23日から26日までの予定。
480ドル(大人)、320ドル(子供)。

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ライトハウス編集部
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