俳優 モニカ・レイマンド

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たくましい母を思い浮かべて役作り

Monica Raymund
フロリダ州出身。著名な受験校を経て、理系に進学しようと願書を提出したが、結局、ジュリアード学院で演劇を専攻。在学中、『Cymberline』『The Diviners』『AnimalFarm』等に出演して、才能を発揮。幼い頃からピアノ、声楽訓練を受けていたので、卒業後はミュージカル出演を目ざしていた。テレビ初出演はNBCの『Law &Order: SVU』で、卒業後1カ月で『Lie to Me』に抜擢された注目の若手。

『Lie to Me』のリア・トレス役で、今春デビューしたモニカ・レイマンド。主役を食う勢いの存在感はベテランの証拠と信じて止まなかった。シーズン1の最終話撮影中にも関わらず、気軽に応じてくれたインタビューで明らかになったレイマンドの素顔とは?

リアが一番魅力あるキャラですね?

レイマンド(以下R):シリーズは初めてで、「何をやってるんだか?」と思う日もあるので、そう言われるのは何よりうれしいです。舞台と違って、撮影は筋が後先になるので、演技上難しいし、カメラのアングル、立ち位置、台詞、動きなど、一瞬、一瞬、押さえる要素がごまんとあって大変です。振り出しに戻ったようで、ジュリアードの恩師に助けを求めたほど(笑)。

リアは貫禄があるので、ベテランだとばっかり。

R :FOXのキャスティング担当からオーディションを受けてみないか?と言われて…。学校を出て間もなくでした。ブロードウェイでミュージカルに出ている姿を想像していましたが、ボストンでホセ・リヴェラの芝居にゲスト出演していたら、テレビシリーズやゲスト出演の話が舞い込んで、新卒なのに? って感じでした( 笑)。無我夢中で今の役をこなしてきて、つい1カ月程前に恵まれているなってしみじみ感じた次第です。

子供の頃から俳優を目指して?

R :学芸会で歌ったり、踊ったりしていましたし、地元の舞台に立っていましたが、進路が決まるまでは、あれもこれも!と欲張りでした。化学や生物が好きだったので、願書を出した
11校中で文系は3校だけ。幸いジュリアードに受かって、親が夢を実現しろと言うもので…。

右脳と左脳の両方を使える人は、奥が深いですね。

R :演技を過剰分析する癖があって、学校で自分に優しく!を叩き込まれましたが、すぐ元の木阿弥です。分析→反省→学習過程と、感情表現のバランスの問題だとは思いますが…。

ご家族の反応は?

R :父が今週末、撮影現場を見に来ます。コンピューター業界の実業家で、定年退職したと言いながら、まだせっせと働いています(笑)。母はドミニカ出身のクリエイティブな人です。頭脳は父から、心は母からの贈り物です。

オバマ大統領のおかげで、米国史上初めて人種の差なく希望の光がさしているようですが、芸能界はどうですか?

R :やっと多様化が実現しそうで、わくわくします。「血」が流れていなくても、女優は髪型で国籍を変えられるから、得だと思います。ストレートだと、インド人役ができるし、カーリーにするとアフリカ系の役が可能に。中東、南米、ネイティブ・アメリカンもできるし、カメレオンになれるのが役者の醍醐味ですね。

お手本にしている方は?

R :苦労人の母です。苦しい時にも心を閉ざすことなく、ハードルを乗り越えながら、「生きる」意味を学び、前進するたくましい人。そんな母を思い浮かべてリアを演じています。駆け出しの私に時間を割いてくださって、ありがとうございます。

[業界コボレ話]
『Grey Gardens』は、故ジョン・F・ケネディ夫人の実家ブービエ一族の「つらよごし」ビール母娘を描いた映画。故大屋政子を彷彿させる母、イーディーの自由奔放な生き方の巻き添えになり、波瀾万丈の一生を送った娘、イーディーの「priceless life」を描いた作品だ。
 
35年余り前に制作された同名のドキュメンタリー以来、知る人ぞ知る母娘と聞くが、名門ブービエ一族は、株や不動産売買、芸能人の家系で、お世辞にも高貴な家柄とは言えない。ファーストレディーにのし上がったジャックリーンの血縁でなければ、社交界から落ちこぼれ、ゴミ箱のような屋敷で芸能界入りを夢見て生きていたビール母娘は単なる狂人でしかない。米国民の貴族への憧れの産物と、興味深く観た。

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