制作総指揮 グレッグ・バーランティ

ライトハウス電子版アプリ、始めました

人間の悲しい性(さが)を描く地味な作品

Greg Berlanti
『Dawson’s Creek』のライターとして業界入り。弱冠30歳でお抱えプロデューサーとなり、WBの看板番組『Everwood』(2002-06)を創作、『Jack & Bobby』(04-05)で評論家の注目を浴びた。
06年Touchstone Televisionに移籍、ABCの番組のコンサルタントを務めたが、『Eli Stone』をプロデューサーのグーゲンハイムと共作、今夏から本作のみに従事。
10年公開予定の映画『Green Lantern』を執筆、監督もする予定。

業界の「希望の星」として8年前にデビューしたグレッグ・バーランティは、低視聴率のABCの番組のコンサルタントに駆り出されて、軌道修正に成功。『Brothers & Sisters(B&S)』でエミー賞を受賞したサリー・フィールドから名指しで感謝されたほど。今や押しも押されもせぬプロデューサーは、最新のオリジナル作『Eli Stone』で生きる意味を問いかける。
 
Photo: © ABC/Karen Neal

3年前にインタビュー第1号になっていただきましたが、その後ますますのご活躍ですね?

バーランティ(以下B):WB局の『Everwood』が打ち切られて、ABCに移りました。上司とライターに恵まれて、楽しく働いています。『B&S』は3週間の約束でしたが解放してもらえず、『Dirty Sexy Money』も任され、新番組『Eli Stone』の3本を股に掛けて大忙し!

3本同時!? 神業ですね!

B:自作以外は、軌道に乗るまでの雇われ社長みたいなもの。新番組創作過程が好きなので、当分『Eli Stone』に専念します。

お抱えになると、1年に何本という契約ですか?

B:ほかに何も関わっていなければ、年1本が義務です。自分の番組ではないけれど、手伝っている場合は、創作の義務はありませんが、ついつい手が出てしまって(笑)。

でも、数年経つと新番組を創作したくなるのが放送作家では?

B:最後まで見届けるんだ! という人もいますが、私はある程度土台が固まった時点で落ち着かなくなりますね。『The Sopranos』のデビッド・チェースはあれ以来何も書いていません。1本だけ秀作を書くというのも手だと思いますが、アイデアがどんどん湧いてくるので、フタをしておけない、映像にして発表したくなるクチ(笑)。

『Eli Stone』は?

B:人生の岐路に立った30代の青年を描きたかったのと、昔、予言者の再来を映画の企画として練ったことがあったので、2つの要素を合わせました。この国では、生死は宗教的討論になりがちですが、死に直面して初めて生きることを学ぶ人間の悲しい性、科学では説明のつかない体験から何を学ぶかを、宗教とは無関係に描きたいと思いました。人生の意味を紐解く奥深い作品を目指しています。

シーズン1は13話でしたが、シーズン2は?

B:同じく13話です。6月に書き始めて、7月中旬から撮影を開始しました。シーズン1はイーライの幻覚症状が仕事にどのような影響を及ぼすかと、周囲の人間の反応を描きました。最終話で自分の未来像を見たイーライは、やっと予言者だと認めたので、今シーズンはさらに広がる波紋を描く予定です。

「灯台」を探している時に、巨匠ノーマン・リアーとの出逢いがあったそうですね?

B:『Jack & Bobby』のファンだと電話をもらって以来、航路を照らし出してくださいます。

私は『Everwood』『Jack & Bobby』と『Eli Stone』から学んだことを、灯台にさせていただいています。

B:私の作品は、圧倒的人気を誇る番組ではありません。地味なので、ファンは少ないと思いますが、そう言っていただくとうれしいです。励みになります。

[業界コボレ話]
エミー賞授賞式会場に到着し、スターを探してレッドカーペット外側を歩いていたら、守衛に追い立てられ劇場に押し込まれて、一巻の終わり! えーっ!?
 
円形舞台と番組ごとの座席が廃止され、私の席から誰も見えない。「録画で観るの?」と諦めの境地。とほほ。
 
ただし予想が当たったし、外れても、私が入れ込んでいた作品や俳優が受賞したので、大満足。例年、エミー賞とTCA賞は大きく異なるが、今年はいずれの団体も『Mad Men』『30 Rock』『John Adams』を秀作と認めた。
 
主演女優賞受賞のグレン・クローズ。「デキル女」が主人公になれることを実証した他の候補者にも敬意を表して、私の「デキル女全盛期説」を証明! 熟女主演の番組ブームの続行を祈って。

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