脚本家/ディー・ジョンソン

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ジャンルを選ばないテレビ大好き人間

Dee Johnson
軍人の父の転任で、数年毎に環境が変わる生活を強いられ、テレビが唯一の友だった。『I’ll Fly Away』のデビッド・チェースのアシスタントを足掛かりに、93年『Melrose Place』のスタッフライターに迎えられ、着々と出世。NBCの『Profiler』『ER』でプロデューサーとして活躍。現在、タッチストーン社のお抱えプロデューサーで、『Commander in Chief』のパイロット版に感激し、シリーズ化が決まってからライターとして制作陣に参加した。
 
Photo:©2005 ABC Inc. / SAEED ADYANI

『Cagney & Lacey』に感化され、脚本家のアシスタントでテレビ界入り。10年余りの下積みを経て、タッチストーンのお抱えプロデューサーに出世したディー・ジョンソン。毎日が楽しくて、楽しくて! 笑いが止まらない。

最新作『Commander in Chief』での役割は?

ジョンソン(以下J):最近、政権交代がありまして…スティーブン・ボチコが総指揮者に、創作者のロッド・ルーリーは制作から外れました。私は脚本を書いていますが、今後はどうなるか?

主演のジーナ・デービスが適役の秀作ですね?

J:身にふりかかる災難をどう処理したものかと、視聴者に一緒に悩んでもらう、共感を覚える大統領をジーナが演じます。無所属という設定で、右派、左派に関係なく自由な発想ができ、書いていて楽しくて!

大統領の夫の「君は天職に就いたけど、僕は道に迷っている」という台詞が印象的でした。男女の役割逆転ですね?

J:いくら男女平等と叫んでも、逆転に伴う感情は否定できません。夫より出世して、大黒柱は誰なのかという微妙な領域に踏み込む友達が増えています。それでも、家族の世話は女の義務と思っている人がまだ多いから、永遠の課題ですね。

『Melrose Place』『ER』『Profiler』と、ジャンルが違いますね?

J:スタッフライターのお声がかかって、断る人はいませんから(笑)。メロドラマは好みではないのですが、『Melrose~』は貴重な経験でした。このジャンルが好きというものもないし、それだけは遠慮しますというのもありません。強いて言えば、職場ドラマが好きですね。

『ER』はいかがでした?

J:独断と偏見だらけのロマーノ医師を書くのが面白かったですよ。思いつく限りの差別、意地悪や悪態を、これでもか! と詰め込んで楽しみました。

業界に入られたきっかけは?

J:子供の頃からテレビ大好き人間で、5歳の時に観ていた(冗談)『Cagney & Lacey』が好きで、「こういう番組を作りたい」「作れる!」と思いました。若気の至りでテレビの仕事をしようとサンフランシスコからLAに出て来ました。『I’ll Fly Away』の脚本家、デビッド・チェースのアシスタントをしながら、脚本を書きました。

「一夜にして大成功」の背後には最低10年の下積みがありますね?

J:私の場合も10年余り。とにかく好きで書いた脚本を提出したら、「1本書いてみろ」と言われました。チェースは、かの有名な『The Sopranos』を99年に創作した優秀な脚本家ですが、忙しい人だから、弟子など取らない。それでもしがみついていたら、ここまで来ました。給料をもらってシナリオ学校に行ったようなものです。

テレビの脚本を書きたい人にアドバイスを。

J:まず、1番てっとり早い仕事に飛び込んで業界の仕組みを研究すること。先輩に教えを乞うこと。脚本の形式を理解して、書きまくること。だめもとで、それを番組に送ってみること。引っ込み思案はだめですよ!

[業界コボレ話]
米国では女だからと差別を受けた経験はないが、時々女性の自立を描いた作品を観ると元気が出る。女性の自立映画の先駆け、ゴールディー・ホーンの『Private Benjamin』や、リース・ウィザースプーンの『Legally Blonde』は何度観ても飽きない。
テレビ番組は意外と少なかったが、おすすめの番組を2本紹介。
『Commander in Chief』は、女に権力を渡したくない政治家や団体が、あの手この手で蹴落とそうと謀るが、打ち勝っていくアレン大統領を描く。「女だからって馬鹿にするなよ!」と、立ち上がる勇気と底力の源だ。
第2の人生に踏み出せないバツイチ女に喝を入れる『Dr. Phil』の「First Wives Club」特集には、過去を踏み台に大きく羽ばたく実在の女性が登場。目から鱗が落ちる必見の番組。

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