アメリカでの就職・転職活動

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アメリカでは、日本と異なり、終身雇用も定期採用も一般的ではありません。 効果的な履歴書(レジュメ)の書き方や、就職・転職面接でのポイント、効率良い求人情報の収集や就職活動の進め方のコツ、 また、留学生のプラクティカルトレーニング(OPT)についてなどをまとめてみました。

効果的なレジュメと就職活動の進め方

企業へのアプローチは、レジュメ送付から始まります。アメリカでは、日本と違い、生年月日、性別、家族構成、健康状態、国籍などに触れる必要はありません。どんな専門的知識を持っているかを明確にし、職務経験は具体的に記載しましょう。全く同じレジュメを何通も作成し、異なる企業にダイレクトメールのように送る人もいますが、応募先の企業に合わせて最も効果的に自分をアピールできるよう書き換えましょう。英文に自信がない場合は、代行サービスを利用するのも有効。また人材会社によってはレジュメ作成のサポートをしてくれる所もあります。
 
書類審査に通ると次は面接。服装は大切なポイントです。カジュアルなビジネスファッションのアメリカ社会でも面接時はスーツが基本です。質問にはできるだけ簡潔に答え、「頑張ります」などの曖昧な言葉ではなく、自分がどう会社に貢献できるかを具体的にアピールしましょう。
 
また、インターネットやビジネス紙、業界紙などを利用するなどして、応募先企業の情報を収集するのは最低限の事前準備です。効率的に情報収集を行いたい場合は、人材紹介会社を活用するのも一つの方法です。レジュメ添削のほか、面接の練習や適切な職種を探すためのアドバイスを無料で行ってくれます。

アメリカでの就学中の就労と卒業後の就労

F‒1ビザやM‒1ビザを持っている留学生で1年以上就学した場合、プラクティカルトレーニングという、アメリカ国内での実務研修期間が与えられます(語学学校生には与えられません)。
 
プラクティカルトレーニングは3種類。就学中に就労可能なCurricular Practical TrainingとOptional Practical Training (Pre-Completion) の2種類と、卒業後の就労を対象としたOptional Practical Training (Post-Completion、以下OPT) があります。どれも、職種は学校の専攻分野内に限られます。職種や労働時間などの相談や申請は、学校のインターナショナルオフィスが窓口です。なお、労働に対し賃金を受け取れます。
 
卒業後に得られるOPTの有効期間は、申請書に書く「スタート日」から、365日間(Mビザは最高6カ月)。なお、このスタート日から90日以内に勤務先が決まらない場合、アメリカでの滞在許可を失い、即時の出国を余儀なくされます。ですから、勤務先はできるだけ早く決めておきましょう。
 
【効果的なレジュメと就職活動の進め方】 監修/QUICK USA, Inc. (www.919usa.com)
【就学中の就労と卒業後の就労】 監修/瀧法律事務所(www.takilawoffice.com)

レジュメの書き方(一例)

 

アメリカ就職最前線Q&A

アメリカでの就職・転職を成功させる知恵と秘訣がここに!

アメリカの人材市場が活発になっています。失業率は下がり、売り手市場が続いているほか、日本国内の景気も上がりつつあるため、在米日系企業の雇用も増えているようです。とはいえ、日本人にとってアメリカで就職・転職することは変わらず難しいもの。
そこで、日系人材紹介・派遣会社8社に、アメリカにおける人材市場の現状や有望な職種、求められる人材、求職が増えそうな都市、良い履歴書の書き方、そして面接に臨む際のアドバイスなど、気になる質問を投げかけ、回答を頂きました。集まった声はどれも実際に役立つものばかり。これから就職・転職等を考えている方はぜひ、参考にしてください。 
»1. アメリカにおける人材市場の動向
»2. 在米日系企業への就職・転職最新情報
»3. 米系企業への就職・転職最新情報
»4. アメリカでの就職・転職活動方法
»5. 新卒者のアメリカ就職情報

取材協力(アルファベット順)

  • Alpha-Net Consulting Group, Inc.
  • Interplace, Inc.
  • OrangeTech Network, Inc.
  • Professional Staffing USA
  • QUICK USA, Inc.
  • Teruko Weinberg, Inc.
  • TOP Los Angeles
  • TriCom Quest

アメリカにおける人材市場の動向

現在、アメリカ全体での人材市場はどうなっているのでしょう?今後の予測と共に教えてください。

(アルファネット)人材市場は政治経済と結び付いており、このまま行けば今の好況は続くでしょう。しかし、予想もしない戦争が勃発したり、リーマンショックのような経済危機、MERSなどの世界的な流行病が起きると予想がつきません。
(インタープレイス)中国市場の低迷で、日本や諸外国からの投資金がアメリカに注がれ一層アメリカのひとり勝ち傾向が強まるなか、雇用は非常に活発です。新卒者の雇用戦線も明るく、また日本国内の緩やかな景気回復に伴い、在米日系企業による新卒・中途採用も、ここ2~3年は継続して増加傾向にあります。
(オレンジテック)今後も景気の動向と共に失業率は増減すると思います。大きな変化は予測できませんが、今のところ失業率は下がっており、また製造が一部国内に戻りつつあるので、求人案件は増えています。地域別に見ると、テキサス州の求人が増えています。
(プロフェッショナル)2015年7月の失業率は5.3%ですが、これはアメリカの総人口や労働人口を考えると、完全雇用に近くなっており、労働市場全体は売り手市場と言えます。現状の経済状況が継続されると予測した場合、売り手市場は続くと思われ、また今後、最低賃金の改定が多くの州で実施される予定です。
(クイックUSA)現在、就職・転職を希望する人材の動きは非常に活発です。特に日英バイリンガルの人材市場は売り手市場へと大きく変わり、企業は採用の成功に向けてより採用ターゲット枠を広げるため、就労ビザをサポートをしたり、家庭と両立しやすい環境作りに取り組んでいます。
(テルコワインバーグ)求人の件数は、数年前に比べると増えてきています。しかし企業側が特定以上の要件を満たす人材を求めるようになっているので、難易度は高くなっていると言えます。
(TOP)空きポジションに対し、求職候補者数が少ない売り手市場のため、人材市場は大変強気で活発です。特に経験が6~7年未満の中間管理職、またはエントリーレベルを中心に、金融業、会計士、エンジニアのニーズが高く、給与もかなり上がっています。今後はメカニカルエンジニアや金融業は冷静感を取り戻すものの、アプリケーションエンジニアは、継続的に採用モードとなるでしょう。
(トライコム)全体的に求人案件数は増加している傾向にあります。景気回復の流れを受け、企業も徐々に人員を増やしてきているようです。ただ就労ビザ取得が困難なため、就労ビザが必要な方にとっては引き続き厳しい状況が続きそうです。今後の予測としては、新しい労働法や最低賃金の値上げなどの影響で、雇用コストが上昇し、企業が採用に消極的になってしまう可能性があります。
 
※最新のアメリカ求人情報は以下のリンクからも確認できます。
»カリフォルニア州・ロサンゼルスの求人情報
»カリフォルニア州・サンディエゴの求人情報
»ワシントン州・シアトルの求人情報
»オレゴン州・ポートランドの求人情報

在米日系企業への就職・転職最新情報

在米日系企業での有望な業種や職種は何ですか?

(アルファネット)貿易、食品、オンラインビジネスです。
(インタープレイス)STEM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、数学)と呼ばれる学位が必要とされる職種です。そして営業職は産業にかかわらず、景気回復期に真っ先に必要とされるポジションでしょう。
(オレンジテック)自動車関連、医療、インターネットコンテンツ、エネルギー関連、高齢者向けビジネスなどです。
(プロフェッショナル)経理、財務、金融関係の経験者でCPA(公認会計士の資格)保持者、IT関連、ソフトウエアデザイン、開発、人事担当責任者などです。特にマネージャー経験者などは優遇されます。
(クイックUSA)食品や飲食に関わる業種です。円安の影響や日本食ブーム(寿司、回転寿司、日本酒、地酒)も手伝って好調です。また日本の「ものづくり」優良老舗企業の海外進出も進んでおり、目が離せません。
(テルコワインバーグ)旅行関係では、日本に向けてのツーリズム、またインバウンドが以前に比べて活発になっている背景から、日本語ができる人材が求められています。昨今、商品の運搬の需要が飛躍的に増大していることを背景に、ロジスティックスでの求人も増えています。
(TOP)セールス職では引き続き、日本語と英語のバイリンガルのニーズは多いと思われます。
(トライコム)食品・飲料業界およびアパレル・雑貨業界が有望なのではないでしょうか。特に食品・飲料業界に関しては、アメリカの健康志向の高まりに伴い、日本の食文化が注目され有望です。

在米日系企業への就職・転職で求められる人材とは?

(インタープレイス)テクノロジー関連の学位や専門的知識を有し、古い考えに縛られない進取精神を持ちつつも、古来から日本の文化で育まれてきた勤勉性を併せ持つ人材です。
(オレンジテック)バイリンガルの技術者。ただしビザ取得が難しくなっており、永住権や市民権を取得している方は非常に人気があります。
(プロフェッショナル)日本本社の現地法人や支店では、連絡業務を含め日本的な文化が存在するため、日本の慣習や職場環境に順応できる方が求められます。
(クイックUSA)コミュニケーション力とタフさを持った人材。どんな環境でも柔軟に適応できる方、社外・社内のどんな方とも上手くコミュニケーションを取れる方が採用条件には提示されていなくても必ず求められています。
(テルコワインバーグ)どれだけ会社に貢献できるか、自分に課題を与え前進するのか、そこが重要です。派遣で採用されても、結果をしっかり出せる人は正社員に登用されます。
(TOP)限られた資源や時間のなかで、問題を解決できる柔軟で責任感のある人材。当たり前のようですが、コミュニケーション能力があり、人間力がある=状況や物事を聞き取り、伝えることのできる人材でしょうか。
(トライコム)多くの日系企業がローカライズされ、グローバル化が進んでいる中、異文化バックグラウンドを持つ従業員と理解し合い、いかにスムーズにコミュニケーションを取っていくかという部分が重要になってきています。

在米日系企業への就職・転職において、日本人であるメリット・デメリットは何ですか?

(アルファネット)日本人であることのメリットは日本の文化やマナーに理解があり協調性があること。デメリットには、アメリカの文化や常識が分からなかったり、アメリカ人の名前が聞き取りづらいという点があります。
(インタープレイス)「日本的文化のもとで自然と勤勉性が育まれた人材であること」から生まれるメリットがあるかもしれません。
(オレンジテック)メリットはバイリンガルであること、日本的な仕事のスタイルに対応できること。しかし、企業によっては日本人ということでサービス残業や仕事の内容、給与面などでデメリットがあるようです。
(クイックUSA)日本のカスタマーサービス力の高さは非常に評価されています。日本でも通用するカスタマーサービス力をお持ちの日本人の方は、やはり在米日系企業に就職するにあたっても非常にメリットがあります。
(テルコワインバーグ)日系企業の場合は、日本国内で勤務経験がある場合、プラスになることがあります。
(TOP)日本の企業文化やビジネスの慣習を理解していることです。自己主張だけが強くなり柔軟性に欠けるようでは問題になるでしょう。
(トライコム)在米日本人のメリットは、既に日本の言語や文化を生活を通して学んできたことだと思います。しかし、アメリカの言語や文化を日本のものと同じレベルで理解することはとても難しいのが実情です。もっと現地の方との交流を深めて、プライベートライフもグローバル化することをお勧めします。

米系企業への就職・転職最新情報

米系企業における有望な業種や職種は何でしょうか?

(アルファネット)医療関係。
(インタープレイス)STEM関連の専門的知識が必要となるIT分野。そして自動車、ハイテク商品、スマートフォン、半導体や農業、流通、教育、医療、サービス産業です。
(オレンジテック)カリフォルニア州では医療、インターネットコンテンツ、高齢者向けビジネスなど。東部では金融、証券、保険。南部ではエネルギー関連。中西部では自動車や機械関連が有望です。
(プロフェッショナル)コンピューター、ファイナンシャル、セールス。
(テルコワインバーグ)ロジスティックスにプラスして、IT、コミュニケーション、不動産、エンターテインメントなどです。職種で日本語が必要となると、会計、税務、監査やネットワークエンジニアなどのプロフェッショナルです。
(TOP)アプリケーションエンジニア、メカニカルエンジニアなど技術の専門職。言語ではなく、”アメリカで不足している技術”で勝負できる職種ということです。
(トライコム)現在アメリカの企業では、医療/製薬とそれに関連するIT企業やITセキュリティー業界が注目されています。職種としては、ソフトウエアエンジニア、ITセキュリティーアナリスト、ナースプラクティショナーやフィジカルセラピストなどです。またヘルスケア分野への注目に伴い、保険計理士(アクチュアリー)の仕事も有望です。

米系企業ではどんな人材が求められているのでしょうか。

(インタープレイス)今後アメリカでは移民が増え、ますます多国籍文化が発展します。その中で求められているのは、いくつもの異文化から構成される部署をマネージできる人材です。単一文化で育つ日本人は、人生の早い段階で国外では日本と勝手が違うことを認識し、異文化の人間と働くことに備えましょう。
(オレンジテック)ネイティブスピーカー以外の日本人は、多かれ少なかれ、英語でのコミュニケーションギャップを持っていると思います。それをカバーできるだけのスキルや経験、人間的な魅力がなければ採用されません。
(プロフェッショナル)ITあるいはエンジニア、セールス、経理・財務など専門的な経験、技術、能力を持っていること。一貫した専門分野でキャリアを積んできていること。コミュニケーション、プレゼンテーションスキルに長けている人です。
(クイックUSA)「即戦力」になる人材。応募する業種や職種での経験は必ずと言ってよいほど、求められます。
(テルコワインバーグ)迅速に動けてはっきり意見が言え、何の職種であれ、最低でも5~6年の経験を持った人材です。経験以外では、勤務先が頻繁に変わらず、できれば10年というスパンで1つの会社での経験を積み重ねた様子が履歴書で伝わる人材です。米系企業では、2年程度で会社を何度も変えている人は、書類選考で落とされることがほとんどです。
(TOP)結果を出せる人材、または社内外でネットワークを作れる人。日本人は従順でマネージしやすい、正確で勤勉、安い、感情的にならないなどの理由からアシスタント職で人気があります。
(トライコム)グローバル化時代真っ只中の今、最も重要視されているのは、異文化を理解する能力、そして人とスムーズにコミュニケーションを取り、影響をおよぼす能力です。異文化や価値観の差に興味を持ち、柔軟に対応する姿勢、またある特定の分野で、これだけは誰にも負けないという専門知識やスキルを身に付けることも重要です。

米系企業で日本人として期待されていることは何ですか?

(アルファネット)勤勉、協調性です。
(オレンジテック)クライアントやユーザーが日本人でない限りあまりメリットはないでしょう。日本人は一般的に勤勉で真面目と評価されますが、それより、スキル、経験、人間的魅力が就職・転職成功の決め手です。
(プロフェッショナル)例えばパシフィックリム(環太平洋地域)との業務が多い、日系企業との取り引きで日本語が求められるなどの場合は日本人が重宝されます。
(クイックUSA)日系企業や日本人顧客との信頼関係作りに非常に有効となるため、日本の企業文化やビジネスマナーをよく理解していること。アメリカ人や外国人では深く入ることのできない日系マーケットを新規拡大することが期待されています。

アメリカでの就職・転職活動方法

日系・米系を問わず、就職・転職の際に有利になる学歴や職歴、経験などはありますか?

(アルファネット)同業種での経験者が望ましい。特にアメリカの会社はきちんとした職歴が求められます。その点日系の会社は、求職者の将来性を考慮してもらえることもあります。学歴も大事です。
(インタープレイス)あまり職を転々とせず、学位から経歴に一貫性を感じさせる、また同じ職種や業界内で着実に力をつけていると雇用主の目を引きます。
(オレンジテック)第一印象が良いこと。労働ビザ保持者は非常に有利です。応募するポジションで、即戦力として使えるスキルと経験があると良いでしょう。
(プロフェッショナル)学歴では4年制大学、もしくは短大卒業が必要です。勤続年数も重要で1社で少なくとも3~5年の勤続年数があること。または転職についての明確な理由があること。同様の職務内容でキャリアを積むことです。
(クイックUSA)全ての企業に当てはまるわけではありませんが、大学院修了者やMBA保持者は有利になるケースが多いです。これは、入社時の給与でも実際に有利に反映されています。日系企業に限ってですが、1社あたり5年以上の就業経験がある、転職回数が少ないことは書類選考の段階から非常に有利です。
(テルコワインバーグ)同じ会社の中でスキルアップ・キャリアアップした証明が必要です。資格だけで経験がないと意味がありません。例えばMBAを取得しただけでは十分ではなく、経験と素養があって初めて効力を発揮するのです。またCPAの場合も、10年以上の実務経験を求められることが多いです。経験なしに雇われることは難しいでしょう。
(トライコム)安定性は候補者を選ぶ上で非常に重要視される要素です。いろいろな会社を転々としている場合は、面接官に理解してもらえる転職理由をうまく説明できることが大切です。

MBA取得者はどういった職種に有利なのでしょうか。またほかに持っていると就職・転職に有利な資格などはありますか?

(アルファネット)最近は前ほどMBAは優遇はされていません。何といっても職歴プラスMBAが有利でしょう。
(インタープレイス)”MBA取得者が有利な職種”というのはありません。あくまで候補者の中でMBAなどの専門的知識を持つ方と4年制大学卒の方と比較した際にMBA取得者が有利ということです。
(オレンジテック)MBAはコンサルティング系のポジションには有利です。ファイナンシャル系ではCPA取得者、そしてITエンジニアリングではそのポジションに合ったMicrosoftやCiscoなどの資格があると有利です。
(プロフェッショナル)ファイナンシャルアドバイザーなら「シリーズ7」を持っていると良いです。保険、不動産などの業種は、必須資格のほかにも資格を持っていると有利ですが、ケースバイケースです。
(クイックUSA)人事分野、サプライチェーン分野でのMBA取得は非常に有利ですが、社会人経験を経て、MBA取得した方が転職活動には良いです。また専門性を必要とされる分野では、PHRやCPAは非常に有利となります。
(テルコワインバーグ)極論を言えば、MBAはお金を払って勉強すれば取れる資格です。マネージメントの場合、MBAがあると有利になることがありますが、大学卒業後に5年の実務経験がある人と、MBAを取得したばかりで経験がない人とでは、前者が選ばれる傾向があります。
(TOP)大企業や金融関係のポジションは、30歳くらいまでにMBAやCPAなど取得されたほうが有利です。
(トライコム)一般職や即戦力を求める企業では、学歴より経験が重要視されます。ただしエグゼクティブレベルの案件では、高学歴な候補者は有利。またアメリカにおける法律知識と語学力があれば、日系の会社で法務部設立を計画している場合などに必要な人材でしょう。

就職・転職面接において、知っておくべきポイントを教えてください。

(アルファネット)明るくしっかりしたマナーが基本ですが、例えば挨拶なら日本人にはきちんと45度のお辞儀をする。アメリカ人にはきちんとした握手(ふわっとした握力のない握手はNG)で対応すること。また米系企業での面接は、大きなしっかりした声を出すこと。日系企業では意味のないだらだらした話し方は止めて、返事は「はい」と一回のみを心がけましょう。
(インタープレイス)米系企業では”自信”を持っている人物かどうかが見られ、日系企業では”常識”を持っている人物かどうかを見られる傾向があります。
(オレンジテック)アメリカでは日系・米系で面接が大きく変わるとは思えません。ただし日系では直接の上司にならない人との面接で採用が決まる場合があります。米系では、インタビューやスキルテストの際にわざとプレッシャーを与えて反応を見る、というスタイルが日系よりも多いようです。
(プロフェッショナル)日系・米系を問わず、自身の経験や能力、長所・短所、セールスポイント、転職の理由、志望動機などについて、それぞれ2分以内で簡潔明瞭に説明できるようにしましょう。
(クイックUSA)米系企業は、Job Descriptionと給与が既に決まっている場合が多いので、適応できるかを伝えましょう。またそれをきちんとアピールできるプレゼン力も就職・転職面接における突破の鍵となります。
(テルコワインバーグ)日系企業だとオブラートに包んで質問されることがあるかもしれませんが、米系は結構物事の核心を突くような質問をされることもあります。しかし企業や面接官によって違ってくると言えます。また面接回数も、1回の面接に何名もの面接官が並ぶ場合もあれば、最大4回程度まで面接を行う場合もあり、それは会社によって違います。
(TOP)時間厳守、早すぎず遅れず、フォーマルな言葉を少なめに話す。基本は初めの第一印象(30秒!)。面接官としっかりとコミュニケーションを取ることができるかです。そのためには予習、会社の勉強、自己アピールの準備、服装などベストな状態で望むことです。
(トライコム)日系企業の場合、経験やスキル以上に、性格の良さや協調性を重要視する企業が多いので、性格を見極める質問に対して準備をすること。米系企業には有能で戦力になる候補者だとアピールすること。そのため自分の優れたスキルや経験を説明できることが重要です。いずれにしても応募している企業に興味があり、そこで働きたいという気持ちが伝わるかどうかを感じてもらえるよう説明する準備が必要です。

米系の会社を対象にした就職活動をする際に、気を付けなければならない点があれば教えてください。

(アルファネット)英語がアメリカ人並みでなければ仕事に支障をきたします。語学力を補うために、例えば経理の知識や、日本人ならではの几帳面さなど、仕事に有利な点を日頃から磨きましょう。
(インタープレイス)しっかりと自分のセールスポイントをアピールできるようになっておくことです。「謙虚は美徳」ではありません。限られたチャンスをモノにできる人物かどうかが見られます。
(オレンジテック)米系のポジションの多くはスペシャリスト募集です。その際は、何でもできますというのは何もできないのと同じと取られることがあります。「自分はこれにかけては誰にも負けない」という部分を強く出すことが、認められる第一歩だと思います。
(プロフェッショナル)日本的な謙虚さよりは、経験、能力、セールスポイントを積極的に面接官に伝えること。
(テルコワインバーグ)アメリカの企業はきちんとコミュニケーションができる人を求める傾向があるので、質問に対してクリアな回答ができることが重要です。日本の企業は、場合によってクリアに回答をし過ぎると敬遠されることもあります。
(TOP)フレンドリーに、かつ自己達成した数字や困難をどのように打開したかなどを、積極的にアピールしましょう。新しい会社においてどのくらいの期間でどんな成果が出せるかが重要となります。
(トライコム)”Don’t sell yourself short”と言いますが、自信を持ち恥ずかしがらず、堂々と自己アピールできることが重要だと思います。

新卒者のアメリカ就職情報

新卒者に求められるものは何でしょうか?日系・米系企業でその違いはありますか?

(アルファネット)日系企業は新卒者でも採用しますが、米系は募集事項に日本語が入っていない限り、かなり苦戦するでしょう。米系はとにかく職歴がないと難しいので、アルバイト経験も履歴書にどんどん書いてください。また学生生活でもクラブ活動など積極的に参加するほか、そしてボランティアにも力を入れてください。
(インタープレイス)米系・日系問わず、その求人企業、そして求人案件に関してしっかりと勉強をしてから面接に臨むことです。求人企業のウェブサイトは事前に目を通し、会社の歴史やメインプロダクト(サービス)は知っておくこと。自分が本当にやりたい仕事だと感じ面接に臨んでいる人と、ただ仕事を探している人の違いを面接官は5分で見抜きます。
(オレンジテック)即戦力を求める傾向は特に米系企業で顕著です。在学中から自分のキャリアを考えて専門分野でのインターンを行ったり、サークルやフォーラムで活動した方は、就職率が格段に高いです。普段からポジティブな思考と行動をする方が好まれます。
(プロフェッショナル)アメリカに滞在したいから仕事の内容は二の次で良い、と考えないこと。卒業後の職場としてアメリカと日本の両方を視野に入れた就職活動を行うことが大切です。最近では英語・日本語バイリンガルの採用も増加傾向にあるので、将来はアメリカなど海外勤務の可能性も少なくないと言えます。日本人留学生の米系企業への就職はビザの問題、言葉のハンデなどあり、一部の会計事務所、弁護士事務所を除く一般民間企業ではほとんど採用はありません。
(クイックUSA)米系企業でアピールできるように、大学の専攻やインターンシップ、アルバイトなどこれまでの経験からセールスポイントをしっかりと見つけ出してください。日系企業では「大卒新入社員の3人に1人が3年以内に離職する」という傾向に懸念があるため、どんな環境も柔軟に乗り越えられそうな”タフさ”が求められます。これまでの経験の中で、苦労したことや挫折してしまったことも含めて、苦境をどう乗り越えて何を得たのかをまとめておきましょう。
(テルコワインバーグ)米系企業の場合、新卒者でもアメリカ人の求職者に比べてその人でなければいけないという必然性がないと難しいです。対して日系企業は「人材を育てる」という気風があるので、経験のない新卒者でも入りやすいと言えるでしょう。いずれにしても経験のない自分がその企業に利益を提供できるかについて、きちんとプレゼンテーションできないと、経験重視のアメリカの就職戦線をサバイブするのは厳しいです。
(TOP)米系は学生時代にインターンを経験していないと採用しない企業も多くあります。ビザのサポートは日系・米系にかかわらず大変厳しくなっています。日系企業における新卒採用は、将来性への投資なので学生気分は早々に捨て、企業人として最低限のマナーは守るようにしましょう。
(トライコム)日系でも米系企業でも基本は同じです。やる気、行動力、柔軟性があり、日本語と英語でビジネスができる語学力と高いコミュニケーションスキル、そしてコンピュータースキルは非常に重要です。さらにしっかり将来を考えてキャリアゴールを持つことは、仕事探しをする上でとても大切です。

日系の人材紹介会社リスト(一部)

アルファネット www.usalphanet.com
インタープレイス http://interplace-agency.com
インテレッセ・インターナショナル・インク https://iiicareer.com
テルコ・ワインバーグ・インク www.twinc.com
トライコム・クエスト www.tricomquest.com
パソナ www.pasona.com
リクルートエグゼクティブエージェント www.recruit-ex.co.jp
DCM クリエーションズ www.dcmcreations.com
Global Career Partners Inc. www.shigotosagashi.com
QUICK USA, Inc. www.919usa.com
TOP Los Angeles https://top-us.com
TMS America, Inc. www.tmsjob.com

日米の就職先紹介会社リスト(一部)

帰国GO.com www.kikokugo.com
マイナビ国際派就職 http://global.mynavi.jp
リクナビ海外大生(日本の就職情報) http://job.rikunabi.com/kaigai
CFN(日米の就職・転職情報) www.careerforum.net
JOBFAIR.JP(日米の就職情報) www.jobfair.jp

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※「アメリカ就職最前線Q&A」以下の内容はライトハウス・ロサンゼルス版2015年9月16日号掲載の情報を基に作成しています。
※アメリカで就職・転職するには原則としてビザが必要です。アメリカで合法的に就労できるビザをお持ちでない方は、アメリカのJ-1ビザによるインターンシップ制度を活用して渡米する方法もあります。詳しくは「アメリカ版ワーホリ!?J-1ビザインターンシップとは」をご覧ください。

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