災害・危険から身を守る

自然災害は予期せず起こりえます。また、犯罪率は減少しているとはいえ、最近では、個人情報を無断で入手、悪用する犯罪も多くなっていますので、災害、犯罪などから身を守るためには、自らも普段から気を配る必要があります。

周囲に注意を払い標的にされないように

ショッピングモールやバス、電車の中など、混み合った場所では、スリやひったくりに注意が必要です。買い物は、クレジットカードかチェックで済ませ、現金はなるべく持ち歩かない方がいいでしょう。また、車関連の犯罪は、車上荒らしなどの窃盗のほかに、カージャックなどにも要注意です。車の持ち主を待ち伏せすることも多いので、薄暗い場所や人目に付きにくい場所に駐車するのは避け、貴重品は車の中やトランクの中に残しておかないようにしましょう。車に戻る際には、キーは手に持ち、自分の周囲や車の周りに不審者がいないことを十分に確認してください。ロサンゼルス市警察(LAPD)、ニューヨーク市警察(NYPD)、シカゴ市警察(CPD)となどの大都市の警察では、住所を入力すると周辺地域の犯罪記録や統計が出てくるクライムマップが公開されています。市警察のウェブページを検索して参考にしましょう。
 
空き巣から財産を守るためには、長期間留守にする際、郵便や新聞をバケーションホールドにし、入り口に山積みにしないようにしましょう。警備会社と契約する警報機を家に取り付けるのもセキュリティー強化の方法です。
 
個人情報が狙われ悪用されるアイデンティティーセフトも多発しています。狙われる情報は名前、住所、電話番号、運転免許番号、ソーシャル・セキュリティーナンバーなどです。財布の中にソーシャル・セキュリティーカードや多数のクレジットカードを携帯しないことが大切です。

避難場所を確認し家族や近隣とも話し合う

カリフォルニア州では、数十年ごとに大地震が発生しています。地震発生時の避難場所を確認したり、家族が違う場所にいることを想定し、集合場所や、互いの安否を確認する仲介人として、州外の親戚などを決めておきましょう。ガス、電気、水道の止め方を学び、家具や電気機器を固定しておくことも大切。沿岸部の地域では高浪や津波警報が出たら、内陸部や高い所に避難するのが基本です。各地の詳しい高浪、津波情報は、National Weather Serviceで知ることができます。
 
南部の州は、6月~11月がハリケーン・シーズンです。日頃から非常用持ち出し袋を用意し、水や燃料を備蓄しておきましょう。ハリケーンが近付いてきたら、テレビやラジオの情報に気を付け、避難時は、倒木や切れた電線等(水たまりに近付かない)に注意しましょう。
 
乾燥しがちな西部の州では、野火や森林火災の発生率も高くあります。野火被害を極力抑えるため、落ち葉など、燃えやすい植物は家の周りから日頃から取り払ってください。湿度15%以下、風速25マイル以上の「Red Flag Weather」が続く時や、野火、森林火災の警告が出る時は、すぐに避難できるように準備をしましょう。
 
通常、個人の財産総合保険(Home-owners Insurance)は火災、台風、落雷、ひょうなどの自然災害時には適用されますが、山火事発生率の高いエリアでは加入不可、もしくは割増料金になることも。地震や洪水には、それらをカバーする保険が別途必要です。

非常時持ち出しリスト

自然災害は、いつ発生するかわかりません。非常時のために用意しておきたい必需品を紹介します。

1.水

□1日1人あたり1ガロンが目安。3~10日分を用意しましょう。プラスチック容器で保存し、ミルクカートンやガラス瓶は避けてください。

2.食料

□脂肪やタンパク質、塩分の多い食品は避ける
□冷蔵や調理、多量の水がいらない食品を選ぶ
□調理済みの缶詰
□ビタミン剤
□乳児用食とペットフード

3.緊急用品

□消毒済み絆創膏
□安全ピン
□ラテックス手袋
□2インチ、4インチの消毒済みガーゼ、滅菌包帯
□三角巾
□ハサミ、ピンセット
□下痢止め、下剤、吐剤
□消毒薬、体温計

4.工具類

□使い捨ての食器(皿、箸、コップ)
□電池式ラジオと予備の電池
□懐中電灯
□万能ナイフ、缶切り
□簡易テント
□小型消火器
□ペンチ、レンチ、スパナ
□ダクトテープ
□発煙筒、信号筒
□ビニールシート

5.衛生用品

□トイレットペーパー
□せっけん、洗剤
□生理用品
□フタ付きプラスチックバケツ
□家庭用塩素系漂白剤
□コンタクトレンズ洗浄剤

6.衣服、寝具

□丈夫な運動靴
□雨具
□毛布、寝袋
□帽子、軍手
□防寒下着
□サングラス

7.個人向け必需品

●乳幼児向け
□調合乳、粉ミルク
□おしめ
□哺乳瓶
●病人/老人
□心臓病、高血圧の薬
□インシュリン
□処方箋薬
□義歯洗浄剤
□老眼鏡

8.重要書類

□現金、小切手
□遺言状、保険証書、株券、土地の権利証書
□パスポート、移民関連書類、予防接種記録
□銀行口座番号、クレジットカード番号と発行会社名
□財産目録
□出生/死亡/結婚証明書
□ソーシャル・セキュリティーカード
□運転免許証
□州外、国外への連絡先
 
参考:ロサンゼルス郡緊急対策本部監修『Emergency Survival Guide』

自然災害対策マニュアル

自然災害対策マニュアル

太平海に面し、山に囲まれたカリフォルニアは豊かな自然に恵まれている反面、自然災害の危険にさらされている。断層の上にあるため、地震とはいつも隣り合わせ、乾燥した気候のもとではいつ山火事が発生するかわからない。「天災は忘れた頃にやってくる」とはよく言ったもの。常日頃から対応策を講じて、いざという時に備えたい。今回は災害の種類と対策をまとめてみた。

(2005年9月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版掲載)

 

地震 / Earthquakes

ノースリッジ地震で崩壊したアパート

1994年のノースリッジ地震で崩壊した、ロサンゼルス市のアパート (c) Robert A. Eplett/OES CA

最も予測のつかない災害
十分に準備し家族で認識を

太平洋プレートと北米プレートの接触するサンアンドレアス断層が南北に貫くカリフォルニア州は地震が多い。南カリフォルニアでは、94年に起きたノースリッジの地震を始め、過去15年にマグニチュード7クラスの地震が3回も起きている。他の自然災害と違い、地震は予測できない。日頃から避難計画を立て、非常時持ち出し品を備えておくことが大切である。
 
地震で死傷する1番の原因となるのが、崩壊した建物や家具などの転倒によるもの。ノースリッジ地震の際も建物の崩壊は数カ所で、被害総額の大半は転倒した家具などによるダメージだった。日頃から各部屋のどこが安全で、どこが危険かを家族で認識しておくこと。本棚や食器棚など倒れる恐れのある家具は留め金などで固定しておく。ベッドやソファーの側や上にかけた額縁や鏡は落ちる可能性があるので置かないようにするか、しっかり固定する。
 実際に地震が起こった場合、まずは安定したテーブルや机の下に入ってかがみ、両腕で顔全体を覆う。近くにテーブルがなければ戸口や家の角に避難し、鏡や額、ガラスのあるところを避ける。キッチンを使用している場合は、速やかに火を消すこと。ガス漏れにより爆発する可能性があるため、ロウソクやマッチを使わず懐中電灯を使用する。
 
高い建物の中にいる場合も机などの下に入り、窓際から遠ざかるようにする。指示があるまで建物の中にいること。電気が切れる可能性が高いのでエレベーターには乗らない。モールやデパートなど多くの人が集まる場所にいる場合は、外に出ようとして慌てないこと。大勢の人が同時に同じことを行い混乱が生じる可能性がある。商品の陳列した棚からは離れ、何か覆いになるものを見つけてかがむ。

揺れを感じたらまず外に飛び出さずかがむ

いずれにしても、屋内にいる場合は慌てて外に飛び出さない。落下物が当たって被害に遭う方が建物の下敷きになるよりも危険性が高いためだ。屋外にいる場合は建物や電柱、木などから離れ、なるべく広いところで身をかがめていること。運転中の車にいる場合は、電柱や電線のあるところは避け、慎重に車を路肩などにとめる。揺れが収まるまでは車の中でシフトレバーをパーキングにして待機し、ラジオの緊急放送から情報を得る。
 
揺れがいったん収まったら、まず自分の身体に怪我がないか確認する。長袖、長ズボンと丈夫な靴、軍手を身に着け、さらなる危険の可能性から身を守る。周りの人に怪我がないか確認し、火災やガス漏れが発生していないか調べる。トイレや洗面所は排水溝にダメージがあるか確認してから使用する。薬品や可燃物、危険物がこぼれた場合は速やかにふき取る。
 
電話の使用は緊急事態を知らせる場合以外は避けたい。消防・警察の連絡など救援活動に支障が多く発生するからだ。携帯電話の場合、震災時は通話が殺到したり中継塔が倒壊したりして使用不能になる可能性が高いので、復旧の早い公衆電話か電源につなげる必要のない電話を使用すると良いだろう。市内通話は使用不可となってしまうので、州外に親戚など家族で共通の連絡先を作っておけば、家族がばらばらになった際の安否の確認が取れる。
 
家屋の破損がひどい場合や防災関係機関から指示があった場合は避難所へ行くこととなるが、その際に家のどこかに避難場所を知らせるメモを貼っておく。保険などの重要書類や避難持ち出し品、薬などを持参する。ペットは衛生上の理由から避難所に連れて行くことができないので、十分な水と食糧を残し、家の安全な場所に置いておき、家に帰れるまでペットの様子を見に戻る。
 
大きな地震の後は何度か余震が発生する。余震の規模は本震を下回るのが通常だが、さらなるダメージが発生しないとも限らない。ラジオやテレビなどで状況を把握していきたい。

● カリフォルニア州で起こった主要な地震

・94年1月17日 Northridge(M6.7) 死者57名、負傷者11,000名、被害総額400億ドル
・92年6月28日 Landers(M7.3)/Big Bear(M6.7) 死者1名、被害総額9300万ドル
・92年4月25日 Humboldt County(M6.9) 被害総額6000万ドル
・91年6月28日 Sierra Madre(M5.8) 死者1名、負傷者30名以上、被害総額3350万ドル
・90年2月28日 Upland(M5.5) 負傷者38名、被害総額1040万ドル
・89年10月17日 Loma Prieta(M7.1) 死者63名、負傷者3757名、被害総額59億ドル
・87年10月1日 Whittier-Narrows(M5.9)/余震(M5.3) 死者8名、負傷者200名、被害総額3億5800万ドル
・86年7月8日 Palm Springs(M5.9) 被害総額530万ドル
・84年4月24日 Morgan Hills(M6.2) 負傷者27人、被害総額1000万ドル
・83年5月2日 Coalinga(M6.4) 負傷者47人、被害総額3100万ドル
・52年7月21日 Kern County(M7.7) 死者12名、負傷者18名、被害総額5000万ドル
・06年4月18日 San Francisco(M8.3) 死者700~800名、被害総額4億ドル

津波 / Tsunami

州危機管理サービス局

ロスアラミトスにある州危機管理サービス局。ここでさまざまな災害の現場から迅速に情報を集め、対策の指揮を執る

沿岸地震が起こった後は
ロサンゼルス沖にも発生の可能性

2004年12月26日に起きたスマトラ島沖地震は、マグニチュード 9.3を記録した。平均で高さ10メートルに達する津波が数回、インド洋沿岸に押し寄せ、22万人以上の死者を出した。
 
カリフォルニア州では去る5月14日に北部のユーリカ沖でマグニチュード 7.2の地震が起こり、アラスカ津波センターより津波警報が出された。幸い死傷者はなく、被害も報告されなかったが、カリフォルニア州が津波の恐れのある地域であり、日頃から備えておく必要があることが改めて認識された。
 
実際に、カリフォルニア州の海岸部では1812年より80回もの津波に見舞われている。うち14回は3フィート以上の高波が上がり、その中の6回が災害をもたらした。最も大きかったのは1964年のアラスカ地震による津波。北カリフォルニアのクレセント市を中心に、12人の死者と3400万ドルの被害を出した。
 
津波は沖合では時速450マイルから600マイルものスピードを出すが、波長が100マイル以上と非常に長いため海上では感じられず、航行する船舶に被害はない。しかし、陸に近づき水深が浅くなるにつれて津波は急激に高さを増し、最低でも海抜100フィート、2マイル以上内陸にまで遡上する。実際には10~20フィートの高さでも、人命にかかわる大きな被害を及ぼす。津波の主な原因は地震であるが、海底の地滑りや火山の噴火なども津波をもたらす。
 
津波は地震が20秒以上続いた場合に発生する可能性が高く、最初の波よりも後から来る波の方が大きいことが多い。波は5分から90分の間隔で、連続して起こる。最も被害の大きいエリアは海抜25フィート以下、海岸線より1マイル以内の地帯とされている。
 
津波の恐れのある地域では特に、日頃の備えが大切。自宅や学校、オフィスからの避難ルートを確認し、海抜100フィート以上のエリア、もしくは海岸から2マイル以上内陸のエリアを避難場所として選び、車ではなく徒歩で15分以内に到着できることが理想とされている。
 
津波警報が出た場合、警察や消防隊の指定するルートで速やかに避難すること。地震が収まってから数分のうちに津波が押し寄せる恐れがある。津波が見える範囲は危険。津波を見ようなどと試みるのはもっての外である。
 
情報は海洋大気局(NOAA)のラジオ放送などから入手し、沿岸警備隊、地元の警察や消防の指示に従って、安全宣言が出されるまで帰宅は慎む。水が引いてから建物に入るようにし、足元には十分気をつける。地盤が柔らかくなり、建物の沈下や壁や床の崩壊などが起こりうるからだ。また、汚染が心配されるため、衛生局などから指示があるまで水道水を飲んではならない。

野火・山火事 / Wild Fires

トパンガキャニオンでの山火事

1993年11月に発生したトパンガキャニオンでの山火事 (c) Robert A. Eplett/OES CA

家の周囲に安全地帯を作り
類焼を極力避ける

2003年10月、南カリフォルニアで前代未聞の大規模な山火事が発生した。サンディエゴ、ベンチュラ、ロサンゼルス、サンバナディーノで次々と火災が発生、総勢1万4000人の消防士が10日以上にわたり消火に当たったが、75万エーカー、3701家屋、1人の消防士を含む24人の命を奪った。
 
郊外や山間部に住む場合、野火の危険と常に隣り合わせである。カリフォルニアでは気温が高く乾燥した時期を「ファイヤーシーズン」と呼び、消防体制を強化している。野火は、いったん燃え上がると急速に広がる。各家庭で日頃から延焼を予防し、家財や生命を守るための対策を講じておきたい。
 
火はまず出さないよう気をつける。子供たちにもよく教育し、マッチなどは手の届かないところに置く。家まで消防車が入って来られるだけの道が常に確保されているか確認する。車と徒歩で避難できるルートを何カ所か作っておく。近隣とも話し合い、協力して消火活動ができる体制を整えておくと心強い。

トパンガキャニオンでの山火事

1988年に起こった「フォーティーナイナー」と名づけられた山火事の現場 (c) Robert A. Eplett/OES CA

家の周りに植える植物や屋根や塀の素材には難燃性のものを選び、家屋を延焼に強い状態にしておくことも大切。難燃性のあるULマークのペイントで外壁を塗り、こまめに木々を剪定するだけでも効果は違う。また、家屋の周囲30~100フィートをセーフティーゾーンとして確保し、落ち葉や燃えやすい物を取り除いておく。庭のホースは敷地の端まで届く十分な長さに。火災報知器を各部屋に設置し、電池は毎月点検、年に2回は取り替える。消火器を備え、家族全員が使用法を把握しておく。
 
万一、野火が付近に迫ってきたら電池式のラジオで被災状況や避難情報を入手する。車はガレージの中か避難方向に向けて広いところに駐車し、ガレージのドアと車の窓は閉め、キーを差しておく。電動ガレージは電源を切っておく。
 
また、避難まで多少時間があれば、窓やドアを閉め、厚手のカーテンは取ってしまう。ガスの元栓を閉め、パイロットランプも消す。壁際にある家具を部屋の真ん中に寄せ、パラソルやビーチチェアなど燃えやすい家具は室内にしまう。移動式のスプリンクラーがあれば、屋根の上に置き、家中をぬらしておくことも得策だ。しかし、身の安全を第一に考え、速やかに避難することを優先させよう。

洪水 / Floods

北カリフォルニアで起こった洪水

1997年に北カリフォルニアで起こった洪水。モービルハウスも水浸しに (c) Robert A. Eplett/OES CA

浸水・感電のほか
飲み水や食料の汚染にも注意

雨期のカリフォルニアは時として、洪水や鉄砲水(Flash Flood)となって壊滅的な被害を与えることがある。都市化の進んだロサンゼルス一帯は特に雨が地面に染み込む量が少なく、下水などのインフラが大雨に対応していないため、降雨量が限度を越えると洪水を起こす可能性が高い。自分の住む地域の洪水履歴や危険な場所、避難ルートや避難場所を、市などに問い合わせて知っておくこと。
 
雨が何日も続いている、何時間もどしゃぶりが続いている時はラジオやテレビで最新情報を入手し注意していたい。注意報(Watch)から実際の洪水が起こるまでには数時間から数日の余裕があるが、警報(Warning)が発令されたらあまり時間に余裕はない。注意報が発令されたら避難用具を集め、車のガソリンを補充しておき、いつでも避難できる態勢にしておく。家の外にあるベンチなどを1カ所に集めて固定。食料やペットは安全なところに集めておく。
 
鉄砲水の場合は数時間から数分のうちに襲ってくることもあるため、注意報が出されたらただちに避難できる状態で待機しておくこと。そして、警報が出たら標高の高い土地に避難する。その場合、河川や用水路、排水溝などを避けるルートを選択しよう。
 
避難時にはガスや水道の栓を閉め、電気のブレーカーを落としておく。時間に余裕があれば、電化製品のコンセントはすべて抜く。必要最小限の物だけを持って出る。指示された避難ルートをたどり、水のあふれた小川の側や道路は車であっても通らないこと。車には電気制御部分が多いため、SUVであっても浸水すると動かなくなる可能性が高い。車が動かなくなったら徒歩による避難に切り替えた方が無難だ。
 
水が引いて自宅に戻ったら、ガスや電気が漏れている可能性もあるため、安全が確認されるまでは使用を避ける。ろうそくではなく懐中電灯を使う。水に浸かった電化製品は、感電の恐れがあるので完全に乾くまで使わないこと。汚染の危険があるため、水の浸かった食料は食べない。冷蔵庫は、扉を開けなければ電気がなくても4時間は温度を保てるが、それ以上になったら氷を入れるなどして冷気を保つ。水道水の使用は安全性が確認されるまで、市の衛生局からの指示を待とう。

地滑り / Mudslides

豪雨の後は特に警戒
専門家まじえ予防措置を

地滑りや土石流は豪雨や地震、火山の噴火などが起因して起こる。野火による焼け野原では、さほどの降雨量がなくても地滑りを起こすこともある。地滑りは傾斜の急な山の中腹などで発生し、時速10~35マイルとスピードを上げて規模を増しながら、ふもとへ下りてくる。地滑りによる被害は、全米で年間に20億ドルの損害、25~30人の犠牲者を出している。
 
南カリフォルニアでは、山の斜面や海沿いに建った住宅が頻繁に崖崩れの被害に遭っている。市の土木課や州の地質調査などに問い合わせ、自分の住んでいる地域が危険かどうか確認しておきたい。過去に被害のあった地域、傾斜が急な土地、野火などで斜面の土がむき出しになったところは危険性が高い。また、日頃から家の周囲の斜面の状態を観察し、落石や地面の亀裂、木や標識の傾きなど、危険信号に注意したい。必要であれば、地質や建造物専門のエンジニアにアセスメントを依頼して、予防措置を取ることも得策だろう。
 
地滑りの危険性の高い地域に住んでいる場合、豪雨の際には常に注意。テレビやラジオの最新情報に耳を傾けると同時に、木や電柱が倒れていないか、普段耳にしない地鳴りが聞こえてこないか、家の周囲の様子に気を配る。地滑りや崖崩れは局地的に起こることが多いため、危険を察知したら自らの判断で避難したい。
 
避難する際は、土砂の流れる方向から外れた安全な方向にルートを取ること。落石に注意し、斜面や崖際の道路は極力使用しない。河川や排水溝の水量に注意を払う。水量が突然増減したり、水が泥で濁り始めたりしたら、上流で地滑りが起きたことを示す。鉄砲水や土石流が起こる可能性があるので、ただちにその場から逃れるようにする。
 
地滑りが収まり、雨が止んでも、さらなる洪水や地滑りが発生する可能性があるため、許可が出るまで避難先にとどまっていること。また、負傷者がいないか、行方不明者がいないか確認する。家に戻ったら、建物の基礎部分や周囲の土地の被害をチェックする。浸食された土地にはただちに植栽を施し、鉄砲水の発生を防ぐ。地質の専門家に相談し、植栽や補強工事など、地滑りが起きた場合のダメージを少しでも低くするための対策を講じる。

準備・対策

サマニエゴさん

「Make a Plan、Build a Kit、Be Trainedの3つを実践してください」 (サマニエゴさん)

事前のプランと防災用具
訓練で1人1人がまず準備

災害時に現場に出向いて援助活動を行うアメリカ赤十字。様々な災害に対する備えと対策について、グレーターロサンゼルスをカバーするロサンゼルスチャプター・広報担当のニコラス・サマニエゴさんに聞いた。
 
「カリフォルニアでは、災害の備えをしている人は全体の30%と言われています。各自が事前に準備しておけば、パニックに陥ることもありません。災害に際して個人レベルで準備すべきことは、Make a Plan、Build a Kit、Be Trainedの3つです」。最初のMake a Planは、家や学校・オフィスで日頃から災害プランを立てておくこと。Build a Kitは避難用持ち出し品の用意。「そしてBe Trainedは、家やオフィスでの避難訓練のほか、応急手当や人命救助(CPR)のトレーニングを受けることを示しています。多くの人が被害を受け、道路などが不通になった場合、救急車がいつ来るかわかりません。一刻も早く家族の命を救うために、人命救助の方法を覚えておくことをおすすめします」(サマニエゴさん)。赤十字では応急手当や人命救助の4つのコースを設けている。

防災用具の例

備えておきたい防災用具の例

アメリカ赤十字は非営利団体の組織であり、運営はすべて寄付で成り立っている。ロサンゼルスチャプターには100人以上の職員のほか、7千人ものボランティアが所属している。火事などの人的災害を含め、災害時には消防隊と連動して、訓練された赤十字のスタッフが現場に乗り出し、医薬品や毛布などの物資の提供や救急活動、通信などを担当している。
 
「家から避難しなければならない場合、避難所を設置するか宿泊場所を手配します。ケースワーカーが出向き、当面必要なものを買う費用を見積もり、〝Client Assistance Card〟を発行します」。このカードはどの店でも使用できる商品券のようなものだ。
 
最後に、「赤十字では日本語を話すバイリンガルのボランティアを募集しています」とサマニエゴさんは付け加えた。

行政の危機管理

レニックさん

「災害があっても時が経つと忘れてしまう。定期的に見直すことが大切」(レニックさん)

地域単位から州全体まで
行政の危機管理

行政では災害時の体制をどのように整えているかを知るために、州危機管理センター・南カリフォルニア地区担当のグレッグ・レニックさんを訪ねた。危機管理センターは、州全体を3つの地区に分け、内陸地区はサクラメントを拠点に、北カリフォルニア地区はオークランドを、そして南カリフォルニア11郡はロスアラミトスが拠点となっている。
 
「カリフォルニア州危機管理局(OES)は、サクラメントに緊急時の情報処理や指揮を執る危機管理センターを設置し、緊急時の対応計画の作成から実際に発生する災害やテロなどのあらゆる危機への対応を行っています」。
 
標準危機管理システムとして、災害の規模と必要性に応じて、地域単位のField、市や郡などのLocal、郡をまたがるOperational Area、南カリフォルニア全体のRegional、そして州におよぶStateと5段階で対応。1つの市のリソース(警察や消防、医療機関など)で対応しきれない場合は他の市に援助を要請し、それでも間に合わなければ郡や他の郡からも援助を頼む。州で対応できない場合は連邦政府の危機管理局(FEMA)がかかわり、他州からの援助を要請することとなる。
 
ロスアラミトスのセンターには有事になると12人のスタッフが出動し、情報収集や応急対応を指示するが、いつでも連絡が取れるよう常に電話・ページャー・ラップトップコンピューター・サテライトシステムと複数の連絡手段で待機している。センターのコンピューターが停電で使えなくなる可能性もあるため、壁面のボードにも災害時の状況を色のついたカードで随時貼り変えていく。緊急時の情報共有だけでなく、人的支援や資金援助を含めて州と各地域との連携が迅速で緊密に取られているが、私たちはまず各自で対策を講じると共に、各コミュニティーでの対応を知っておくべき。
 
「住んでいる市のウェブサイトや電話帳で、所轄の消防署や避難所などの場所を確認しておいてください。また家庭だけでなく、オフィスでの対策も大切。有事に従業員や顧客をいかに守るか、重要書類の控えはあるか、災害後に速やかに営業が再開できるプランがあるかなど、日頃から対策を立てておいてください」とレニックさん。
 
「何か起こると準備しますが、時が経つにつれその意識は薄れてしまいます。キャンペーンを打ち出し、リマインドすることも私たちの役目です」。危機管理局では5月を災害月間と、キャンペーンを行っている。同局のウェブサイト(www.oes.ca.gov)で「10 Ways You Can Be Disaster Prepared brochure」がダウンロードできる。

在留届の提出

出木場さん

「各自で迅速に正確な情報の収集に努めてください」(出木場さん)

在留邦人の安否確認に有効な
在留届の提出を

最後に、在留邦人に対する日本政府の対応について、在ロサンゼルス日本国総領事館の出木場勝領事に聞いた。
 
「当総領事館が管轄する南カリフォルニアとアリゾナ州のエリアには、6万人以上の在留邦人がいます。万一の事故や事件・災害が発生した際には、提出された在留届をもとに皆さんの所在地や緊急連絡先を確認して援護活動を行います。病院などではプライバシーを侵害するとして、家族以外の人には誰が運ばれたか教えてくれません。在留邦人の居所を速やかに調べるために、ぜひ在留届の提出にご協力ください」(出木場さん)。
 
また、04年6月より同総領事館では、「緊急メール配信サービス」を開始した。災害や事故・テロなどに関する必要情報が随時Eメールにて配信されるもので、総領事館のウェブサイト(www.la.us.emb-japan.go.jp)で登録して受信できる。「もちろんテレビやラジオ、州危機管理局のウェブサイトなどで各自迅速で正確な情報収集に努めてください」と出木場さん。さらに同総領事館では04年11月より、日系17団体を集め、日系コミュニティーとしての緊急時の対応について、緊急時の安否確認を含む情報交換のシステム構築を目的に、定期的に話し合いを行っている。

 

いずれにしても、まずは自分でできるところから災害に備えたいもの。「備えあれば憂いなし」とはよく言ったもので、物質的な準備をはかることで、いざという時の心の準備もできる。万全な準備と対策は、全体の被害をより小さく抑えることにもつながる。日本では9月1日は防災の日、関東大震災の起きた日。これを機会に、家庭やオフィスで災害対策を考えてみてはいかがだろうか。
 
【取材協力】

◎ American Red Cross
Los Angeles Chapter
☎ 213-739-5200
▶ Webサイト:www.redcrossla.org
 
◎ Governor’s Office of Emergency Services
▶ Webサイト:www.oes.ca.gov
 
◎ 在ロサンゼルス日本国総領事館
☎ 213-617-6700
▶ Webサイト:www.la.us.emb-japan.go.jp

※このページは「2005年9月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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