映画『KUBO AND THE TWO STRINGS』ジョージ・タケイほか制作スタッフを直撃!

2016年夏公開の『KUBOANDTHETWOSTRINGS』は、太古の日本を舞台にした3Dストップモーション・アニメ映画。8月末、全米日系人博物館にて、同映画の製作物展示イベントが開かれ、声優として出演した日系人俳優ジョージ・タケイ氏が訪れました。また、同イベントには、監督を務めた米映画制作会社Laika, LLCのトラヴィス・ナイト社長ほか、制作スタッフチームも同席。彼らを直撃し、この映画の制作に秘めた思いを伺いました。

■George Hosato Takei Altman(ジョージ・ホサト・タケイ・アルトマン:写真右)
1937年、LA生まれの日系アメリカ人二世で俳優。42年から約3年にわたりアーカンソー州ローワー強制収容所で過酷な生活を送る。66年に務めた米SFテレビドラマシリーズ『スタートレック』のヒカル・ スールー役が有名。
 
■Travis Knight(トラヴィス・ナイト:写真左)
オレゴン州の映画制作会社 Laika, LLCの社長兼CEO。本作で監督デビューを果たした。
 
■Arianne Sutner(アリアン・サトナー)
Laika所属のアニメーション映画プロデューサー。本作でプロデューサーを務めた。

村人・穂郷(ほさと)の声を担当したジョージ・タケイ氏

―本作に出演した率直な感想は。

穂郷という名前は私のミドルネームなんですよ。だからこの作品に対する思い入れは強かった。日系人として、日本が舞台の映画に出演できたこの仕事はとても有意義で楽しいものでした。三味線や灯籠流しといった日本の伝統が散りばめられた映画ですが、家族というテーマは世界共通のもの。ストーリーには、死んでしまった家族や自分の身近にある持ち物にも魂はあり、一緒に過ごした思い出は消えないという感動的なメッセージが含まれています。人種は関係なく、大人も子どもも楽しめ、共感できる物語になっているので、本作をきっかけに、多くの人に、日本文化に興味を持ってもらえたらうれしいです。

全米日系人博物館に寄贈された、穂郷のパペット

―ジョージさんは、自分の身近にある持ち物にも魂があると信じたことはありますか?

もちろん。例えば自分の持っている杖が、誰でも手に入れることのできる杖だと思えばそれまでですが、その杖がどのような思いを持ってデザインされ、作られたかを考えると、魂を持った自分だけの大切な物だと信じられます。この映画撮影に使われたパペットも、細部までこだわって製作されたものですから、私は魂が宿っていると信じています。この映画がきっかけとなって、私が同性婚の式を挙げた思い出の場所、全米日系人博物館に、私の分身とも言える穂郷のパペットを寄贈できたことは大変感激です。

トラヴィス・ナイト監督

―日本を舞台にした、ファンタジー・アニメーション映画を、なぜ制作しようと思ったのですか?

日本には、8歳の時に父の仕事の出張で付いて行きました。芸術や建築、映画、テレビ番組など、見るもの全てが美しく、とても良い刺激を受けました。ですから幼い頃に感じ取った日本文化への興味が心に残っていて、いつかは日本を題材にした映画を作りたいと思っていました。また、本作のようなファンタジー作品は、子どもの頃から好きなんですよ。母は私を妊娠中、イギリスのファンタジー小説『指輪物語』を読んでくれたといいます。こうした由縁で、本作が私の監督デビュー作品になったんです。

プロデューサーのアリアン・サトナー氏

―この映画の見どころは?

アメリカの映画会社が日本を題材にした映画を制作するということはとてもユニークな挑戦。日本人がどのような動きをするのか、どのような表情をするのか、アメリカ人の観点から、私たちなりに研究して制作したつもりです。そうした細部のこだわりに注目して、見てほしいです。日本の映画といえば誰もが宮崎駿監督のジブリ作品を思い浮かべますが、本作は3Dストップモーション・アニメ映画。ジブリ作品とは制作の仕方が異なりますが、この作品がジブリ作品とはひけをとらないほど、独自の世界観を表現していると感じてもらえたら光栄です。

アニメーション・スーパーバイザーのブラッド・シェフ氏

クボの母親のパペットの顔を分解し、アニメーションでの表情の操り方を説明するブラッド・シェフ氏

―撮影の際、パペットの動きで注意した点は?

どのように動いたらパペットが生きている人間のように見えるのか、考えながら撮影しました。参考に、日本を題材にした映画をたくさん見るのはもちろんのこと、撮影中は何度もテイクを重ね、納得がいく動きを突き詰め、動作の改善を重ねました。
例えば、クボの母のパペットは着物を着ていますが、表情や動作だけでなく、歩いた時にどのように着物が揺れると自然なのかというところまで、追求しました。

KUBO AND THE TWO STRINGS

映画の舞台は太古の日本。主人公のクボは片目を失った少年で、海辺で母を看病しながらひっそりと暮らす。クボには三味線を弾きながら折り紙を自由自在に操る特殊能力があり、昼間は近くの村に通い、村人の前で芸を披露するのが日常だった。
ある日、日が落ちた後の村で、灯籠流しを眺めていたクボは、邪悪な魂を目覚めさせてしまう。危機を察知した母が最後の力を振り絞ってクボを救い、魔物から身を守るために亡き父の鎧を探し出すようにと告げる。
クボは、猿とクワガタムシを旅のお供とし、家族や村の人々を守るため、そして世界で最も偉大な侍だった父の死の真相を確かめるために、危険な冒険へと旅立っていく…。
 
本作は、静止した物体を1コマずつ少しずつ動かしながら撮影し、連続して動いているかのように見せる撮影手法「ストップモーション・アニメーション」を採用しており、独特の美しい映像が楽しめます。現在一部の映画館で公開中。
詳細はwww.kubothemovie.com
 
(2016年9月16日号掲載)

「特別インタビュー」のコンテンツ