坂口剛 / 日本車いすスポーツ協会・車いすテニスクラブ「ウラテク」代表

ライトハウス電子版アプリ、始めました

スポーツを通して障がい者を自立させていきたい

日本の障がい者アスリートの海外進出を促すロサンゼルスのNPO団体「B-Adaptive Foundation(BAF)」。同団体が2017年7月、車いすテニス日本ジュニアランキング1位の坂口竜太郎選手をロサンゼルスとサンディエゴに招待し、試合出場、練習などを行ってもらう「JTB車いすテニスサマーチャレンジ」を主催します。父親として同選手を支えてきたと同時に、日本で車いすスポーツの推進活動に携わる坂口剛さんに、今回の意気込みや車いすスポーツの現状などを伺いました。
(2017年7月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版掲載)

さかぐちつよし◎1975年福岡県生まれ。車いすテニス日本ジュニア王者である坂口竜太郎選手の父であり、一般社団法人日本車いすスポーツ協会代表理事、車いすテニスクラブ「ウラテク」代表。2006年、竜太郎くんが交通事故に遭い、胸から下が麻痺してしまう「胸椎損傷」を負ったことを機に、故郷の福岡県を離れて車いす利用者に優しい土地に移り住む(現在は千葉県浦安市在住)。2009年には車いすテニスに挑戦したいという竜太郎くんの望みを叶えるべく、浦安ジュニア車いすテニスクラブ(現ウラテク)を創設。以来、障がい者のスポーツ参加を推進すべく、さまざまな活動に関わる。

―車いすテニスクラブ「ウラテク」を始められたきっかけは?

坂口剛さん(以下、坂口剛):2008年北京パラリンピックの車いすテニスで、日本の国枝慎吾選手が金メダルを取る姿を見て、息子の竜太郎が「僕もやりたい」と言ってきたんです。しかし、当時車いすテニスができる施設はなかなかなく、1カ所あったところも千葉から通うには遠くて。それなら自分の息子を含め、障害のある子どもたちがスポーツをする場を作ってしまおうと。はじめは竜太郎を含めてたった3名でしたが、今では20数名が所属しています。

―車いすスポーツ協会の活動内容も教えてください。

坂口剛:「ウラテク」の課外活動としてやってきたことを今年、法人化しただけなのですが、障がいのある子どもたちに、テニスに限らずスポーツや遊びの場を提供しています。例えば、車いすの子どもたちにマラソンに出場させたり、スキーを体験させたりしてきました。

―2020年には東京パラリンピックが開催されますが、それに向けて車いすスポーツは盛り上がってきているのでしょうか?

坂口剛:東京、千葉、埼玉、神奈川あたりでは強い選手も増えて盛り上がってきています。ただ、それは一部の選手たちだけの話。私の役割は、いかに車いすスポーツの裾野を広げるかということです。今の日本では、障がい者の多くがスポーツに出会うことなく、家からすらめったに出ないのが当たり前。私は彼らに子どものうちから外に出て、遊んだり、スポーツをしたりしてほしいのです。そこでスポーツが気に入れば打ち込めばいいし、外の世界に触れることで勉強だったり音楽だったり、何か他のことに興味が出ればそれを極めていけばいい。障がいを持つ子どもたちがそうやって好きなことを見つけていけば、将来、生活保護などに頼らずとも仕事をして、納税をして、より社会と深く関わって…というふうになっていくと思うんです。そんな未来が私の望みであり、目指すところですね。

―「JTB車いすテニスサマーチャレンジ」の主な内容は?

坂口剛:まずはサンディエゴで7月15日(土)、16日(日)に行われる車いすテニス大会「18th Annual Hendrickson Wheelchair Classic」への出場ですね。アメリカの選手はレベルが高いので、竜太郎にはいい経験になると思います。それから、アメリカの大学テニスでトッププレイヤーとして活躍する柴原エナ選手、そのお父様である柴原義康コーチと一緒に練習ができる時間をいただいていて、それが本当に楽しみですね。

巧みな車いすコントロールと相手の裏をかくプレーが持ち味の竜太郎選手。

―今回、どこか訪れてみたい場所などはありますか?

坂口剛:竜太郎が交通事故で胸椎損傷を負った時、彼はまだ2歳。その年齢でそれだけのケガを負うと死亡してしまうケースが多いため、彼にように麻痺を負いながらも助かるというケースはまれでした。そのため、リハビリを引き受けてくれる病院がなくて…。そんな時、竜太郎を引き受けてくれたのがサンディエゴにあるリハビリセンターでした。3カ月ほど現地に滞在して通ったのですが、本当にここのおかげで竜太郎は救われましたし、家族一同、サンディエゴは第二の故郷みたいに思っています。当時よく行ったのがコロナド島。ビーチで砂遊びしたり、ホテル・デル・コロナドで食事をしたりといい思い出があるので、今回も家族で行けたらと思っています。

―今後の展望は?

坂口剛:自分としては、今の活動をもっと大きくしていきたいですし、竜太郎は将来、パラリンピックなど大きな大会に出られたらいいですね。その意味で、車いすスポーツ先進国のアメリカを体感できる今回の渡米は、大きなチャンスだと思っています。テニス大会もぜひ、応援に来てください!

坂口竜太郎選手の歓迎パーティーを開催!

「JTB車いすテニスサマーチャレンジ」で来米する坂口竜太郎選手とそのご家族の歓迎ファンドレイジングパーティーが、LAにて行われます。坂口選手と柴原エナ選手の合同練習も見学できるので、ぜひご参加を!(要事前の申し込み)

【歓迎パーティー詳細】

■日時:7/12(水)4:00pm-7:00pm
■会場:Peninsula Racquet Club(30850 Hawthorne Blvd., Rancho Palos Verdes)
■会費:$30(軽食、ドリンク付き)
■参加申し込み&イベント、試合詳細に関する問い合わせ:BAF(E-mail:info@b-adaptive.org/☎310-294-9240)

※このページは「2017年7月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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