高橋大輔 / 元プロスケーター

チャレンジは、チャンス。まずは、流れに身を任せること。

引退後、プロスケーターとしてアイスショーに参加するだけでなく、キャスターやダンサーなど、スケートの枠を越えて活躍する髙橋大輔さん。2017年6月にロサンゼルスへ練習に来ていた同氏に、チャレンジすることの大切さや今後の展望を伺いました。
(2017年7月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版掲載)

たかはしだいすけ◎2010年のバンクーバーオリンピックで銅メダル、同年のトリノ世界選手権で優勝、2012年のグランプリファイナルでも優勝など、数々の“日本人男子初”を成し遂げる。2013、14年のソチシーズンを最後に、28歳で現役引退。現在は国内外のアイスショーで活躍中。

―競技スケーターの生活と、引退後のプロスケーターの生活に大きな変化はありましたか?

高橋大輔さん(以下、高橋大輔):現役時代は、大会に出場して良い成績を残すとか、五輪を目指すとか、スケート競技だけに注力すれば良かったので、次に進むべき道筋が自然と見えていたのですが…今は、スケート以外にも、キャスターやダンスなどさまざまなことに挑戦しながら、何が自分に向いているのか?を模索している感じです。その中には、自分に向かないのでは?と思う時も(苦笑)。現役時代の方が、目指すべき方向性が明確だった、という意味で、ストレスが少なかったかなと思います(笑)。

―過去には、ご自身を「考えてしまう性格」「ネガティブ」とおっしゃっていましたが、そのわりに、次々と新しいことに挑戦されている印象があるのですが。

高橋大輔:実は、ネガティブじゃない疑惑が、周りから出ているんです(笑)。結局、ポジティブなんじゃないの?って。多分、諦められるんだと思います。自分の能力を信じてオファーしてくださるのだから、その期待を信じて、思いっきりやるだけやってみよう!という、覚悟が生まれるというか。実は、今までの人生を振り返ってみても、自分から積極的に選択するというよりも、いつも誰かが手を差し伸べてくれていたんですよね。

―でも、フィギュアスケートはご自身の意志で始められたんですよね?

高橋大輔:それも今となっては、よく分からないですね(笑)。きっかけは、知り合いのお姉さんが、スケートが好きで、自分も始めたら喜んでくれるかな?と思ったこと。やり始めたら、ただただ楽しくて、気づいたらジュニアの大会で優勝したり、海外の大会に出場したり…その延長線上に、オリンピックがあったというのが本音なんです。初めて目標を持ったのは、トリノオリンピックの出場枠がひと枠になった時ですね。絶対に行きたい!と、その時ばかりは強く思いました。ただ、昔から自分の意志で決めたことは、何かと意気込んでしまったりして、うまくいかないことが多いんです。なので、今は、何事にも挑戦してみようと。そして、チャレンジしてから、自分に合うものを判断すれば良いと思っています。いい意味で、決めつけずに幅を持たせておきたいなと思っています。

「スケートの醍醐味は、迫力と臨場感。近くでショーがある場合は、一度観に来てください!」と高橋さん。

―その向いてるか、向いてないかの判断はどうされるのでしょうか?

高橋大輔:小さい時に、周りから「大輔は、ダンスが下手だ」って言われて、以来、踊ることそのものに苦手意識があったんです。そこで、中学2年の時に、長光歌子コーチと出会い、表現力を強化したプログラムを作ってもらいました。それが、国内外で高評価を得たんです。「あっ、これでいいんだ!」って思いました。なので、私の場合は、周りの評価が後押しして、徐々に自信が積み上げられていく感じですね。その中で自然と、やるべきことや進む道を判断している気がします。

―今後は、どんなことにチャレンジしていきたいですか?

高橋大輔:いつか、自分でアイスショーの演目を作ってみたいですね。それも、有名選手が出演するから観たいではなく、演目そのものを観に行きたいと思わせる、そんなショーを作ることが夢です。最近、舞台でのダンスショー「Love On The Floor 2017」や歌舞伎とフィギュアスケートのコラボ「氷艶 hyoen 2017‐破沙羅‐」に出演させていただいたのですが、こういった独自のストーリー性のある作品には、フィギュアファンならずとも観たいと思わせる魅力があると思うんです。今は、さまざまなショーに参加させていただいて、演出方法などを学ばせてもらっています。例えば、「Love On The Floor」では、フラメンコやタンゴ、コンテンポラリーなど多彩なダンスを、「氷艶」では、氷上での盾やスパイクシューズでのスケーティングをと、それぞれに斬新な試みと学びがありました。今は、こういった新しいことにどんどんチャレンジして吸収している時期です。競技生活で自分の持っているものは全て出し尽くしてしまったので、またゼロからって、感じですね(笑)。
 
※このページは「2017年7月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

「特別インタビュー」のコンテンツ