永住権の更新は離婚をしても可能?

条件付永住権の更新は離婚をしても可能?

吉原 今日子 弁護士

Q:アメリカ市民との結婚を通して、2年間の条件付永住権(Conditional Green Card)を取得しました。しかし、夫の浮気が原因で、離婚を考えています。条件付永住権の有効期限は、あと半年ほどですが、離婚をしてしまうと永住権は更新できなくなるのでしょうか? アメリカでの生活にも、仕事にも慣れてきたところなので、できれば日本へ帰国はしたくありません。何かいい方法はありますか?

A:2年間有効の条件付永住権を持っている場合は、その永住権の有効期限が切れる90 日前から期限の間に条件の解除(Removal of Condition)の申請を行わなければなりません。これには「I-751(Petition to Remove Conditions on Residence)」という申請書を使用し、一般的には申請者とその配偶者の両方のサインが必要であるとされています。
 
しかし、何らかの理由でアメリカ市民の配偶者の協力(サイン)を得ることができない場合、あるいはアメリカ市民の配偶者が死亡しているような場合には、「自己請願(Self-Petition)」という形で、申請者自身の署名だけで申請できます。

結婚の動機が純粋であった有力な証拠が必要

自己請願を行う場合、アメリカ市民との結婚が永住権の取得を目的としたものではなく、配偶者と共にアメリカで生活を営むために申請したこと、そして、結婚生活に入った後、結婚当初に予期できなかった事態が発生し、離婚せざるを得ない状況になったことを立証する必要があります。入籍後の同居期間が2年以上あれば有利であると言えますが、あくまでも永住権を取得してから2年ではなく、入籍または同居後2年です。この自己請願によって移民局の認可を得るには、厳しい審査基準をパスしなければなりません。ですから「有力な証拠」を、できるだけ多く集めることをお薦めします。
 
ここで言う「有力な証拠」とは、結婚あるいは交際していた時の写真、共同名義の銀行口座・健康保険・自動車保険・生命保険、同居していた時に連名で送られてきた手紙などです。ほかにも、結婚前のラブレターやE メール、頻繁に連絡を取っていたことを示す電話の請求書などを提出するのも良いでしょう。
 
また、2人の事情をよく知っている人からの宣誓書、マリッジ・カウンセラーからの診断書なども有力な証拠になります。従って、別居状態に入った頃から、マリッジ・カウンセリングに通い始めるのも得策であると言えます。この診断書には、結婚に至る経過のみではなく、当該婚姻が永住権の取得が目的ではなく、恋愛に基づいたものであること、婚姻を継続しがたい理由があること、また、それが結婚当初には予測できなかったという説明がある方が望ましいでしょう。

経済的理由や家庭内暴力なら認可の可能性は高い

アメリカを離れることが「過度に困難な状況」を引き起こすことになる場合、それを立証できれば、自己嘆願を有利に進めることができます。
 
「過度に困難な状況」とは、経済的な理由、家族との別離などが一般的です。しかし、例えば申請者が米国内で事業を行っており、申請者が米国外へ退去を迫られることにより、多くの解雇者が出る場合などは、条件解除が認められる大きな理由となります。もし、配偶者からの家庭内暴力が原因で離婚に至ったのなら、永住権はなくなりません。「I-360(Petition for Amerasian, Widow(er), or Special Immigrant)」を申請することで、永住権の2年間限定という条件を解除し、更新を行うことができます(配偶者と死別した場合もこの方法で更新が可能です)。
 
「I-360」を提出するには、配偶者があなたや子どもに暴力を振るった事実を立証する必要があります。それには、警察やカウンセラーからのレポートなどが重要な証拠になります。ただし、ここでは「物理的な暴力」が証拠となり、「言葉による暴力」だけで申請をすることは困難です。この申請方法を用いる場合には、仮に離婚が条件付きの永住権の更新前(さらには、最初の永住権申請前)であっても、永住権を取得することができます。この際に取得できる永住権には、2年間という条件は付きません。
 
従って、浮気だけが離婚理由なら「I-360」は適用できませんが、暴力によりあなたの身に危険を感じている場合には、永住権が取得できるまで我慢する必要はありません。暴力を振るわれた際には、すぐに警察に通報し、ご自身を守ることが先決です。なぜなら「I-360」による申請は、永住権を失うことを恐れる外国人の配偶者が、危険な状態を我慢し続けなくてもよいように考えられたものだからです。
 
(2014年9月16日号掲載)

アメリカ市民と離婚を考えているがグリーンカード更新前でも大丈夫?

吉原 今日子 弁護士

Q:私はアメリカ市民との結婚を通して永住権を取得しました。グリーンカードの更新をしなければなりませんが、現在、夫婦仲がうまくいっておらず、離婚をしたいと考えています。しかし、更新前に離婚してしまうと、永住権を失うと聞きました。今の夫との間に子供がいます。アメリカを離れるのは困難な状況です。どうにかなりますか?

A:永住権の有効期限2年の条件を解除するためには、「I-751」の申請が必要です。一般的には永住権取得後2年間、結婚生活が継続していることを確認するために用いられるもので、申請者とその配偶者の両方のサインが必要です。申請の際、アメリカ市民の配偶者の協力が得られない場合、あるいはアメリカ市民が死亡している場合には、“Self-Petition” という形で申請者自身だけで申請できます。
 
Self-Petitionの場合、結婚が永住権を目的としたものでなく、夫と一緒にアメリカでの生活を行うために申請したということ、そして、結婚生活に入った後、結婚当初には予期できなかった事情が発覚し、離婚せざるを得なくなったことを立証する必要があります。入籍後、同居期間が2年以上(永住権取得後ではなく、入籍してからの期間)であれば有利であると言えます。
 
Self-Petitionが認可されるには、かなり厳しい審査基準をパスしなければならないので、できる限り有力な証拠を数多く集められることをおすすめします。ここで言う有力な証拠とは、結婚あるいは交際していた時の写真、共同名義の銀行口座、健康保険、自動車保険、生命保険、同居していた時に送られてきた手紙などです。また、結婚前のラブレターやラブレターに相当する E メール、結婚前に頻繁に連絡を取っていたことを示す電話の請求書なども集めて提出した方がいいでしょう。さらに、事情を知っている人からの宣誓書、結婚カウンセラーからの診断書なども有力な証拠になります。診断書には、結婚に至る経過のみではなく、婚姻を継続しがたい理由があること、また、それが結婚当初には予測できなかったという説明があるほうが望ましいです。
 
ちなみに Self Petitionには、以下の3種類があります。証明方法と共に説明しましょう。
 
1. Extreme Hardship Ground
条件解除の申請者がアメリカを離れることで、過度に困難な状況を引き起こすことになってしまう場合です。経済的理由、家族との別離のみでは十分な理由として認められないのが一般的です(もちろん、理由の1つとしては認められますが)。この申請が適用される典型的な例としては、例えば申請者がアメリカで事業を行っていて、国外退去を迫られることにより、多くの解雇者が出てしまうというような場合が挙げられます。
 
2. Good Faith Ground
これは、アメリカ市民との結婚には正当な理由(永住権取得が目的では一切なかったということ)があったが、結婚後、別居しなければならない事由が生じた場合です。移民局は、2人の婚姻関係がいかに強いものであったか否かを問うことになります。なお、この場合、条件解除の申請時に離婚、あるいは婚姻の無効(Annulment)が成立している必要はありません。しかし、少なくともその手続きが、家庭裁判所において開始されている必要があります。また、永住権の条件解除が認められるためには、一般的には離婚、あるいは婚姻の無効が成立している必要があります。
 
3. Battered Spouse or Child Ground
これは、アメリカ市民の配偶者が、申請者、あるいは申請者の子供に対して暴力を振るった事実がある場合です。「I-360」という申請書により、永住権の2年間限定という条件を解除し、永住権の更新を行うことができます。当然、ご主人があなたや子供に暴力を振るったということを立証する必要がありますが、それには、警察やカウンセラーからのレポートなどが重要な証拠になります。ただしここでは、物理的な暴力を意味し、言葉による暴力だけで、この申請をすることは困難です。
 
「I-360」の申請が認可されると、次に「I-485」という申請書により、永住権の更新申請を行い、認可されるとグリーンカードを取得することができます。この時に取得できる永住権には、「入籍後、同居期間2年以上」という条件は付いていません。なぜなら、この救済法は、永住権を失うことを恐れ、危険な状態を我慢し続ける状況を解消するために存在するものだからです。従って、暴力により身体の危険性がある場合には、永住権が取得できるまで我慢するのではなく、暴力を振るわれた際に警察に届け、ご自身の身を守ることです。
 
(2013年2月16日号掲載)

婚姻を通してのグリーンカード、離婚後も保持するには?

瀧 恵之 弁護士

Q:2年前にアメリカ人の夫と結婚し、グリーンカード(永住権)を取得しました。その有効期限が、今月までとなっています。10年有効のグリーンカードに書き換えたいのですが、結婚直後より夫の暴力がひどく、離婚を考えています。しかし、離婚するとアメリカにいられないと聞きました。また、子供を日本に連れ帰ることもできないようなので、どうしたら良いのか困っています。何か良い方法はありますか?

A:アメリカ市民との婚姻を通して永住権を申請した場合、まず2年間有効のグリーンカードが発給されます。その期限が切れる90日前から「条件の解除(Removal of Condition)」の申請を行うことになります。これには、Form I-751という申請書を使用し、一般的に申請者とその配偶者の両方のサインが必要です。しかし、アメリカ市民の配偶者の協力が得られないような場合、あるいはアメリカ市民が死亡しているような場合には、「Self Petition」という申請者のみのサインで申請する方法があります。この Self Petitionでは、2年間の条件付きグリーンカードが失効する90日前から有効期限までの90日間を超えても、理由がある場合には、アメリカを出国していない限り、申請を行えます。
 
仮に、何らかの理由で強制送還の手続きが開始されていても、その最終判断が下されるまでの間は、グリーンカードの条件解除の申請手続きは、継続することができます。また、このような場合、移民裁判官の判断により、条件解除の申請手続きの結果が出るまで、強制送還の手続きの延期を行うこともできます。
 

家庭内暴力がない場合は婚姻・離婚の正当性を証明

Self Petitionには、以下の3通りの方法があります。
 
Extreme Hardship Ground
これは、条件解除の申請者がアメリカを離れることが、当該申請者にとって過度に困難な状況を引き起こすことになる場合です。これを立証できればSelf Petitionが認められることになります。「過度に困難な状況」の証明には、経済的理由、家族との離別等のみでは、十分な理由として認められないのが一般的です(もちろん、理由の一つとしては認められますが、それのみでは十分ではないということです)。
 
例えば、申請者が事業を行っており、申請者が国外に退去されられることにより、多くの解雇者が出ることになる場合等は、条件解除が認められる良い理由となります。
 
Good Faith Ground
これは、アメリカ市民との結婚に至ったのには正当な理由があった(グリーンカード取得が目的の婚姻では一切ないこと)ものの、結婚後、別居しなければならない事由が生じた場合です。移民局は、当該婚姻がいかに強いものであったか否かを問うことになります。
 
この場合、条件解除申請時に、離婚、あるいは婚姻の無効(Annulment)が成立している必要はありませんが、その手続きが家庭裁判所において開始されている必要があります。移民局は多くの場合、離婚、あるいは婚姻の無効が成立するまで、条件解除を認めるのを延期する傾向にあります。
 
Battered Spouse or Child Ground
これはアメリカ市民が、条件解除の申請者、あるいは当該申請者の子供に暴力を振るった事実がある場合です。この場合、警察やカウンセラーからのレポート等が、その重要な証拠になります。
 
アメリカ市民である配偶者からの暴力がなければ、前記の②が一般的に当てはまります。従って、結婚が正当な理由で行われたものの、結婚後に別居しなければならない事由が生じたことを証明する必要があります。
 
これには、結婚、あるいは交際していた時の写真、2人の共同名義の銀行口座/健康保険/自動車保険/生命保険、同居していた時に送られてきた2人の名前の入った郵便物、結婚前後のラブレターやカード、(結婚前に頻繁に連絡を取っていたことを示す)電話の請求書等を提出するのが良いでしょう。また、事情を知っている人からの宣誓書、カウンセラーからのレポート等も有力な証拠になります。いずれにせよ、この方法により条件解除が認められるには、移民局による厳しい審査をパスしなければならないので、申請者は、できる限り有力な証拠を数多く集めることをおすすめします。
 
なお、あなたの場合、アメリカ人のご主人から暴力を振るわれているということですから、前記の③の方法を使うようおすすめします。この申請を行うには、前記の証拠に加えてポリスレポート、第3者の宣誓供述書等、配偶者があなたに暴力を振るったことを示す、公式な証拠が必要となります。
 
(2012年4月1日号掲載)

条件付き永住権を失わずに米国人夫の暴力から逃れるには?

吉原 今日子 弁護士

Q:米国市民の男性と2年前に結婚しましたが、度重なる暴力に悩まされています。現在、条件付き永住権を保持していますが、離婚すると、米国に滞在できなくなることを心配しています。それが心配で警察に通報できず、カウンセリングに通っています。国外退去にならず、この状況を脱出するためには、どのような方法がありますか?

A:ある種の犯罪行為の捜査や起訴について、政府に協力する外国人被害者に対して有効な「Uビザ」が、2000年10月に立法化されました。Uビザの目的は、外国人犯罪被害者に保護を提供する一方、家庭内暴力、性犯罪、人身売買などのような犯罪を捜査し、告発する法執行機関の能力を強化することにあります。
 
Uビザ取得には、以下の4つの条件を充足することが要求されます。
①申請者が指定犯罪の犠牲者で、その犯罪の結果、身体的あるいは精神的損害を受けている
②申請者が、当該犯罪行為に関する情報を持っている
③当該犯罪の調査、起訴を行うにあたり、申請者が今まで手助けになってきた。あるいは今後手助けになるか、その可能性が高い
④当該犯罪行為が米国の法律に反している、あるいは米国内において起きた行為である
 
Uビザの対象となる犯罪行為とは、連邦、州、地方の法に違反する、殺人、婦女暴行、拷問、恐喝、公務執行妨害、家庭内暴力などがあります。
 
対象とされている犯罪は、「Abduction」「Abusive Sexual Content」「Blackmail」「Domestic Violence」「Extortion」「False Imprisonment」「Female Genital Mutilation」「Felonious Assault」「Hostage」「Incest」「Involuntary Servitude」「Kidnapping」「Manslaughter」「Murder」「Obstruction of Justice」「Peonage」「Perjury」「Prostitution」「Rape」「Sexual Assault」「Sexual Exploitation」「Slave Trade」「Torture」「Trafficking」「Witness Tempering」「Unlawful Criminal Restraint」、その他関連犯罪です。
 
あなたの場合、ここに指定されている「家庭内暴力」に該当します。犯罪がUビザ取得に値するかは、裁判記録、警察証明、犯罪に関する記事、陳述書などを基に判断されます。

必要と判断されれば永住権の申請も可能

Uビザの申請方法は、「I-918」という申請書によって行います。犯罪の犠牲者であれば誰でも申請できるというわけではなく、連邦、州、郡、市などにおいて犯罪行為を調査、あるいは起訴する権限を与えられている政府機関(例えば、警察、検察官、裁判官等)から、「I-918 Supplement B」という書類の認可を受けなければなりません。また、Uビザは、米国内に滞在している人に限らず、日本からでも米国大使館を通して申請することができます。扶養家族に関しては、申請者の配偶者、18歳未満の子供も同じく取得することができ、申請者が21歳未満の場合は、両親も同時に申請することができます。
 
Uビザは、移民局の会計年度で1年間に1万件(扶養家族の分のU ビザは、この数に含まれません)しか発行されないことになっています。しかし、これに漏れても、Waiting List に入ることができ、順番が回ってくるまでの間、就労許可や再入国許可の申請が可能です。Uビザは、一般的に4年以上の許可は下りないとされていますが、犯罪行為の調査を必要としている政府機関が、それ以上の期間が必要であると判断した場合には、延長が可能です。Uビザにて3年以上滞在し、犯罪行為の調査を行う機関が必要と判断すれば、その後、永住権を申請することも可能とされています。申請料は、政府の政策目的から無料とされており、指紋登録(Finger Print)の費用も、申請者が負担する必要はありません。
 
あなたの場合、家庭内暴力の被害者であるため、このUビザを申請できるだけでなく、「I-360」という書類を移民局に提出することによって、3年間待つことなく、永住権の申請を行うこともできます。この場合、警察からのレポートだけでなく、事情を知っている人からの宣誓書、カウンセラーからのレポート等も、有力な証拠になります。
 
家族については、もし21歳未満の場合、Uビザ、永住権申請資格のある家族は、配偶者、21歳未満の子供、18歳以下の未婚の兄弟と両親です。21歳以上の場合、資格のある家族は、配偶者と21歳未満の子供となります。
 
Uビザ取得の可能性については、専門の弁護士とご相談ください。
 
(2012年1月16日号掲載)

条件付きグリーンカード、更新前に離婚すると喪失する?

吉原 今日子 弁護士

Q:私はアメリカ市民との結婚を通してグリーンカードを取得しました。私のグリーンカードは「コンディショナル(条件付き)」なので、残りの有効期限は半年ほどです。更新をしなければなりませんが、現在、夫との仲がうまくいっておらず、離婚を考えています。しかし、更新前に離婚が成立すると、グリーンカードを失うと聞きました。本当でしょうか?私は、今の主人との間に子供がおり、日本へ帰国するのは困難な状況です。何か良い方法はありますか?

A:グリーンカードの「コンディション」は、アメリカ市民との結婚によるグリーンカード取得後2年間、結婚生活が継続していることを確認するために用いられるものです。
 
コンディションを解除するためには、I-751を申請する必要があります。この申請には、あなたと配偶者の両方の署名が必要です。しかし、アメリカ市民の配偶者の協力(署名)を得ることができない場合、あるいはアメリカ市民の配偶者が死亡しているような場合には、「Self-Petition」という形で、申請者自身の署名だけで申請できます。
 
Self-Petitionを行う場合、アメリカ市民との結婚がグリーンカードの取得を目的としたものではなく、配偶者と共にアメリカで生活を営むために申請したこと、そして、結婚生活に入った後、結婚当初に予期できなかった事態が発生し、離婚せざるを得ない状況になったことを、立証する必要があります。
 
これには入籍後、同居期間が2年以上あれば有利であると言えます。これは、あくまでもグリーンカードを取得してから2年ではなく、入籍または同居後2年です。
 
しかし、この方法によって移民局の認可を得るには、厳しい審査基準をパスしなければなりません。ですから有力な証拠を、できるだけ多く集めることをおすすめします。
 
ここで言う「有力な証拠」とは、結婚あるいは交際していた時の写真、共同名義の銀行口座、健康保険、自動車保険、生命保険、同居していた時に送られてきた手紙などです。また、結婚前のラブレター、Eメール、頻繁に連絡を取っていたことを示す電話の請求書等も集めて、提出されるのが良いでしょう。
 
また、2人の事情を良く知っている人から宣誓書、マリッジ・カウンセラーからの診断書なども有力な証拠になります。従って、別居状態に入った頃から、マリッジ・カウンセリングに通い始めるのも得策であると言えます。この診断書には、結婚に至る経過のみではなく、当該婚姻がグリーンカードの取得が目的ではなく、恋愛に基づいたものであること、婚姻を継続しがたい理由があること、また、それが結婚当初には予測できなかったという説明がある方が望ましいです。
 
アメリカを離れることが過度に困難な状況を引き起こすことになる場合、このことを立証することによって、Self-Petitionを有利に進めることができます。
 
「過度に困難な状況」とは、経済的な理由、家族との別離等が一般的です。しかし、例えば申請者がアメリカ国内で事業を行っており、申請者がアメリカ国外へ退去を迫られることにより、多くの解雇者が出る場合などでは、条件解除が認められるさらに強い理由となります。家庭内暴力による離婚ではグリーンカードを喪失しない
 
もし離婚の原因が、配偶者からの暴力による場合、それに対する救済法もあります。
 
I-360を申請することで、グリーンカードの2年間限定という条件を解除し、更新を行うことができます。この場合には、配偶者があなたや子供に暴力を振るった事実を立証する必要があります。それには、警察やカウンセラーからのレポート等が重要な証拠になります。ただし、ここでは「物理的な暴力」が証拠となり、「言葉による暴力」だけで、I-360申請をすることは困難です。
 
この申請方法を用いる場合には、仮に離婚が条件付きのグリーンカードの更新前(さらには、最初のグリーンカードの申請前)であっても、グリーンカードを取得することができます。この際に取得できるグリーンカードには、2年間というコンディションは付きません。
 
従って、暴力により身体の危険性がある場合には、グリーンカードが取得できるまで我慢する必要はありません。暴力を振るわれた際には、すぐに警察に通報し、ご自身の身を守ることが先決です。なぜならI-360による申請は、グリーンカードを失うことを恐れる外国人の配偶者が、危険な状態を我慢し続けなくても良いように存在するからです。
 
(2010年6月16日掲載)

婚姻による永住権は離婚で喪失する?

瀧 恵之 弁護士

Q:私は、アメリカ市民の夫を通してグリーンカードを取得しました。今、持っているグリーンカードは2年間有効で、2009年9月まで有効期限があります。グリーンカードの有効期限の90日前になると、更新の手続きが必要であることは知っているのですが、夫との仲が良くなく、離婚の可能性が高いと思います。友人の話によると、更新が完了するまでに離婚してしまうと、グリーンカードを失ってしまうとのことです。夫との生活には耐え難いものがありますが、子供のことを考えると、今、日本に戻るのは無理があると思います。グリーンカードの更新が完了するまで、今の夫との生活を我慢した方が良いのでしょうか。

A:あなたの場合、ご主人との生活が耐え難い訳、言い換えると、離婚をしなければならない理由が何であるかということが、まず問題となります。
 
例えば、ご主人が暴力を振るうような場合には、それに対する救済法がありますし、それ以外、例えば、結婚前に到底分からなかった問題が、結婚後に判明したのであれば、それに対する救済法もあります。いずれにせよ、特に前者のように身体に危険が及ぶような場合には、今の生活を我慢することはおすすめできません。
 
ご主人が暴力を振るうという場合(これは、あなたの子供に対してであっても同じことです)に関してですが、I-360という申請書により、グリーンカードの2年間限定という条件を解除し、更新を行うことができます。
 
この場合には、ご主人があなたや子供に暴力を振るったということを立証する必要があります。それには、警察やカウンセラーからのレポート等が重要な証拠になります。ただし、ここでは物理的な暴力を意味し、言葉による暴力だけで、このカテゴリーにおける申請を行うことは困難です。
 
I-360の申請が認可されると、次にI-485という申請書により、グリーンカードの申請を行い、認可されるとグリーンカードを取得することができます。
 
この時に取得できるグリーンカードには、例えば2年間限定というような条件は付いていません。従って、暴力により身体の危険性がある場合には、グリーンカードが取得できるまで今の生活を我慢するのではなく、暴力を振るわれた際に警察の保護を受け、ご自身の身を守ることです。なぜなら、この救済法は、グリーンカードを失うことを恐れ、危険な状態を我慢し続けなくてもいいように存在するものだからです。

離婚が不可避である立証が必要

次に、前記のように暴力を振るわれているのではなく、それ以外の理由で離婚を考えている場合には、I-751という申請書により、同じくグリーンカードの条件解除を行い、更新を行う方法があります。
 
I-765の申請書は、一般的にはグリーンカード取得後2年間、婚姻生活が継続していることを確認するために用いられるもので、申請者とその配偶者の両方のサインが必要です。しかし、米国市民の配偶者の協力が得られないような場合、あるいは米国市民の配偶者が死亡しているような場合には、「Self Petition」という形で、申請者のサインのみで申請することができます。
 
この方法を用いる場合、結婚がグリーンカード取得を目的としていたのではなく、ご主人と一緒にアメリカで生活を行うために申請したということ、そして、結婚生活に入った後、結婚当初には予期できなかった事情が発覚し、離婚せざるを得ないということを立証する必要があります。これは入籍後、同居期間が2年以上あれば有利であると言えます(あくまでもグリーンカード取得後2年ではなく、入籍後2年です)。
 
この方法によって条件解除が認可されるには、厳しい審査基準をパスしなければならないので、できる限り有力な証拠を数多く集められることをおすすめします。
 
ここで言う有力な証拠とは、結婚あるいは交際していた時の写真、銀行の共同名義の口座、健康保険、自動車保険、生命保険、同居していた時に送られて来た2人の名前が入った郵便物、結婚前後のラブレターやカード、結婚前に頻繁に連絡を取っていたことを示す電話の請求書等で、これらを提出するのが良いでしょう。
 
また、事情を知っている人からの宣誓書、カウンセラーからのレポート等も有力な証拠になります。レポートには、結婚に至る経過のみではなく、婚姻を継続し難い理由があること、また、それが結婚当初には予想できなかったという説明がある方が、望ましいと言えます。
 
(2009年1月1日号掲載)

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