永住権申請が却下された際の対処法

瀧 恵之 弁護士

Q:私は、現在の雇用主の下でグリーンカード(永住権)をサポートしてもらいましたが、会社の経営状況が良くないということで、申請が却下されてしまいました。H-1B ビザがまだ有効なので、当面はアメリカに滞在することができますが、あと1年半程でそれも切れてしまいます。私がアメリカに残るために、何か良い手段はありませんか。

A:雇用を通してグリーンカードを取得するプロセスは、人材募集広告、Labor Certification の取得、I-140 の審査、そして、I-485(あるいはConsular Processing を通して)の審査の4つに分かれます。
 
まず、人材募集の広告を、約1カ月間行います。さらに、その後、その募集の反応を見るため1カ月間待ちます。人材募集広告に関しては、新聞紙上で2回(連続して2週間のうちに行うことができます)、また、「Cal Job」と呼ばれるインターネット上のサイトにて30日間、求人広告を出す必要があります。
 
「Professional Job」と規定される、一般的に学士号以上を取得する必要があるとされる職種では、以下の10種類の求人広告のうち、少なくとも3つ以上を行う必要があります。
 
① ジョブフェア
② On-campus Recruitment
③ 雇用主のウェブサイト
④ 専門のOrganization を通して
⑤ ジョブサーチのウェブサイト
⑥ 人材斡旋会社への登録
⑦ Employee Referral Program
⑧ Campus Placement Offi ce
⑨ Local or Ethnic Newspaper
⑩ ラジオやテレビ

永住権の申請後1年経過で6年を超えるH-1Bの延長可能

前述したように、これらの求人広告が終わった後、申請までに30日の期間をおかないといけないのですが、前記の3つの求人広告のうちの1つは、30日の期間内に行っても良いとされています。
 
現在この手続きは、以前に比べてかなり遅れ気味になっており、質問状(Audit)の来なかったケースでも、Labor Certificationを取得するのに約8~10カ月を要しています。
 
次のI-140の審査では、会社の経済状況が判断されます。却下されるケースの多くが、この段階で落とされているというのが現状です。ここではスポンサー企業が当該従業員(申請者)に、労働局が定める規定の給料を払うだけの経済的能力があるかどうかが、審査の主な対象となります。例えば、会社が赤字のような場合は、認可されないことが多いのです。
 
一般的なルールは、スポンサーとなる会社の納税申告書上の年間利益(厳密には納税対象利益)が、労働局が定める規定の給料(「Prevailing Wage」と呼ばれます)を上回っていることが要求されます。そして、この条件は申請を開始してから、グリーンカードの最終的な認可が下りるまでの間、継続して満たさなければならないとされています。
 
あなたの場合、この条件を満たしていなかったことが、申請却下の原因になったと考えられます。しかしながら、この条件を満たしていないというだけで、必ずしも却下されるわけではありません。
 
例えば、仮にスポンサー企業が、必要とされる年間利益を出していなかった(赤字のような場合)としても、当該申請者に、既に労働局が定める規定給料を払い続けていれば、それは認可を得るための強い理由になりえます。これ以外にも、この問題を回避する手法は多々あり、それは会社の形態、納税申告タイプによって異なるため、申請を開始する際に、専門の弁護士に相談することをおすすめします。
 
あなたの場合は、H-1B ビザがまだ1年半残っていますので、上告(Appeal)以外にも、再度グリーンカードを申請するチャンスがあります。
 
グリーンカードの申請を開始して1年以上待った場合、H-1B ビザの最長延長期間の6年を超えても、さらに1年ごと(I-140 の認可を得た後は3年ごと)の延長が可能です。従って、今からでも、再申請の手段を考慮することをおすすめします。
 
I-140 の審査を乗り切れば、最後のプロセスであるI-485 の審査を残すだけとなります。このプロセスでは、犯罪歴や、現在に至るまでアメリカで継続的に滞在する合法的な資格を有していたか否かが、主な審査の対象となります。
 
ここでも、犯罪歴や滞在資格に問題がある=イコール申請却下、となるわけではありません。前記のI-140 の審査同様、簡単に諦めないで、それを回避する手段を、申請の際に前もって専門の弁護士と相談しておくことをおすすめします。
 
(2009年7月01日号掲載)

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