グリーンカード申請における優先枠と取得時間

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瀧 恵之 弁護士

Q:私はアメリカの大学でCommunicationを専攻し、卒業後、日本で就職して数年間働きました。現在、アメリカのある日系企業でH-1Bビザにて働いていますが、H-1Bビザの有効期限の6年を迎えそうなので、グリーンカードの申請を行おうと思っています。第2優先枠と第3優先枠の2つの方法があり、第2優先の方がかなり早くグリーンカードが取れると聞いたのですが、私は第2優先枠で申請することはできますか?

A:グリーンカードの申請を第2優先枠で行うか、第3優先枠で行うかを判断するには、いくつかの要素が考えられます。一般的には、基本的条件として第2優先では、修士号(Master)以上の学位を持っているか、修士号を持っていない場合は学士号(Bachelor)を持っていることに加えて、5年以上の職歴があることが要求されます。
 
これに比べて第3優先枠では、学士号を持っているか、学士号を持っていない場合は2年以上の職歴があれば良いとされています。
 
あなたが仮に前記の第2優先枠における申請条件を満たしていたとしても、あなたの修士号、あるいは学士号における専攻が何であったか、5年間の職歴をどこで、どのような職務内容において行ったか、また、あなたのスポンサーとなる会社からの給料がいくらであるかということを考慮した上で決める必要があります。
 
あなたが、第2優先枠でのグリーンカード申請を希望する場合、まず、あなたの大学の専攻のCommunicationが、スポンサー会社におけるあなたの職務内容において活かすことができるかどうかが、問題となります。
 
次にあなたの5年間の職歴がどこで積まれたかが問題になります。スポンサーとなる会社での職歴は、グリーンカード申請のための条件を満たすために用いることはできないので、あなたの日本での職歴、およびアメリカの他の会社での職歴を合計して5年以上になっている必要があります。日本で働いていた会社が、スポンサーとなる会社の関連会社(例:親会社)であったとしても、職歴に加算することができます。移民局はこの点に関して以前までは曖昧でしたが、納税申告番号が違えば、その会社での経験を職歴として加算することができるという判断を下しました。また、これに加えてあなたの職歴が、スポンサーとなる会社の職務内容において活かすことができる内容である必要があります。

第2優先枠での申請のメリットとデメリット

グリーンカードの申請には、2005年3月28日に「PERM」のシステムが導入されて以来、「Labor Certification」の取得に募集広告の期間も含めて、4カ月から5カ月程度で認可が下りているのが一般的です。ただし、第2優先枠での申請においては、申請者の約半分がAudit(監査)を受けるため、第3優先に比べて時間がかかる傾向にあります。
 
労働局での審査で認可され、Labor Certificationが下りた後は、従来通りLabor Certificationを添付し、移民局へ永住権の申請書を提出します。この移民局でのプロセスは大きく2つの段階に分かれます。1つ目の段階は、書式I-140の申請です。これはスポンサーである会社が、当該従業員(申請者)に労働局が定める規定の給料を支払うだけの経済的能力があるかどうかということが、その審査の主な対象とされます。会社が赤字のような場合は、認可されないことも多いです。この審査には約12カ月を要しています。
 
ここで、あなたの場合、もらっている給料が労働局の定める規定給与額(Prevailing Wage)に達しているか、あるいはそれに近い額であるかが問題となります。第2優先枠の方が、第3優先枠の申請者よりも規定の給料が高いのが一般的です。もしあなたの給料が第2優先枠の規定給料額からほど遠いものであれば、仮に他の条件を満たしていたとしても、第3優先枠で申請を行う方が、安全であると言えます。
 
グリーンカード申請の最終段階において最大の問題となるのは、「Priority Date」です。第3優先枠における申請においては、このPriority Dateが回って来ない限り最終段階の申請を行うことはできないので、この段階で待たされることになります。このPriority Dateの進行状況は、国務省のウェブサイト(http://travel.state.gov/visa/frvi/bulletin/bulletin_1360.html)で確認することができます。
 
一方、第2優先枠での申請においては、このPriority Dateに左右されることはありません(2008年8月8日時点で、待つ必要はありません)が、最終的に認可を得るためには、前記の内容をよく考慮して、第2優先枠で申請するか、第3優先枠にするかの判断を行うことをおすすめします。
 
(2008年9月1日号掲載)

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