H-1Bビザ取得後のサイトビジット(実地調査)とは?

サイトビジット(実地監査)の 準備と面接での対応方法

吉原 今日子 弁護士

Q:私は、大学をビジネス専攻で卒業し、今年の10月から保険会社でファイナンシャルスペシャリストとして働いています。同じH-1Bビザを持っている同僚に去年、サイトビジット(実地監査)があったと聞きました。私にも来る場合、どのような準備が必要か教えてください。

A:今年は、数年前と比べて件数は減っているようですが、専門職用の就労ビザ、H-1Bのサイトビジット(Administrative Site Visit and Verification Program)は現在でも行われており、ビザの申請、延長などが認可されてから数カ月後に職場に来るケースが一番多いです。サイトビジットは不審なケースを抽出して調べているのではなく、無作為に抽出して実施されていますので、あなたのところにも来る可能性が十分にあるでしょう。
 
サイトビジットの目的は、H-1Bビザ保持者のビザ申請内容と実際の仕事内容に違いがないかを調査すると同時に、申請上の最低賃金が払われているか否かの調査を行うものです。監査によって申請が適正でないと判断された場合は、すでに認可されているH-1Bビザも取り消されます。
 
前もってサイトビジットが行われるという通知がない場合と通知がある場合があります。ある場合は、移民局から雇用主に電話かメールで通知されます。その際にH-1Bビザ保持者が現在働いているか否かの確認と、次の内容の質問への回答、書類提出を要求されます。
 
①従業員数、またそのうちのビザを保有している従業員数、永住権保持者のおおよその数
②会社の事業内容
③営業時間
④H-1Bビザ保持者の勤務開始日、場所、役職、仕事内容、給与、連絡先(電話番号、メールアドレス)
⑤雇用主の責任者の身分証明提出、連絡先。これらの書類の提出期間は短いので、いつでも提出できるように準備をしておいた方がいいと思います。また、質問に答える、書類を提出する前に、弁護士に一度目を通してもらうことをお勧めします。 
 
移民局から連絡があった場合でも、いつサイトビジットに来るか教えてくれるわけではありません。書類の提出後、移民局からの通知が何もない場合もありますし、提出から1週間以内にサイトビジットに来ることもあります。いつサイトビジットが行われても対応できるよう、前もって準備しておくことが重要です。

サイトビジットでは上司にも面接が行われる

サイトビジットには移民局の審査官ではなく、移民局から委託された調査員が来ます。調査員が会社に来た場合、調査の意図を明確にするためにも、名刺をもらい、調査員がどこの調査員なのかを確認する必要があります。また、調査員の連絡先を聞くことによって、実際にその調査員が政府機関に派遣されて会社の調査に来たのか確認することができるからです。
 
面接を求められた際には落ち着いて調査員を個室に案内し、そこで5〜10分ほど待ってもらい、ビザの申請内容などの確認をすると良いでしょう。もちろん調査員の質問には、正直に答えてください。彼らは、決められた質問をし、その返答を用紙に記入して移民局にレポートします。そのレポートを基に、移民局が申請書の内容と異なる点がないかどうか審査します。
 
サイトビジットでは、ビザの申請者本人とビザ申請者の上司の2名が個別に質問されます。質問内容は、通常米国大使館でH-1Bビザ申請をするときと同様のものです。現在の役職名、在職期間 、年収と時給、勤務時間(週何時間ではなく、何時から何時まで)、スーパーバイザーは誰か、学歴について、仕事内容などについてです。また、本人が提出しなければならないものに過去4回分のPaystub、直近の「W-2」、運転免許証(番号を控えるかコピーを取る)が挙げられます。
 
上司には本人に対してと同様の質問とその会社でH-1Bビザおよび永住権を申請している人の数、その人たちが現在もまだ働いているかなどを聞かれることもあります。上司が不在の場合は、電話で回答しても構いません。その後、調査員はオフィス内の簡単な見学をします。
 
調査の結果、もしビザの申請書類の内容と実際の仕事、給与に違いがあると認められた場合、移民局から「Notice to Intent to Revoke(剥奪意思の通知)」が届きます。通知には、サイトビジットの結果、ビザの申請書類の内容と実際の仕事や給与に違いがあることが記載されており、それに対して妥当な説明、証拠があるのであれば提出するように言われます。申請者は30日以内に通知に対する回答を行わなければなりません。もし剥奪された場合は、その決定に対する申し立ても可能ですが、申し立て中、ビザは失効し、申し立てが認可されない場合、ビザの失効期間は不法滞在となりますので、申し立てをするかどうかは、よく弁護士と話し合ってください。

サイトビジットが会社に来たらどんなことに気を付けたらいい?

吉原 今日子 弁護士

Q:H-1Bビザの「サイトビジット」(Administrative Site Visit and Verification Program)が行われていると聞きました。会社として、従業員として気を付けなければならないことを教えてください。

A:国土安全保障省が、調査員をH-1Bビザ・スポンサー企業に派遣し、H-1Bビザ申請の内容と実際の仕事に違いがないかを調査するというプログラムを開始しました。
 
サイトビジットは不審なケースを抽出して調べているのではなく、無作為に実施されています。前もってサイトビジットが行われるという通知はありません。今年の傾向として、数年前と比べて、件数は減っているようですが、現在も行われています。
 
サイトビジットはビザの申請、延長などが認可されてから数カ月後に職場に来るケースが一番多いようです。サイトビジットに来る人は移民局の審査官ではなく、移民局より委託を受けた人たちです。彼らは、決められた質問をし、その返答を用紙に記入して移民局にレポートします。そのレポートを元に、移民局が申請書の内容と異なる点がないかどうか審査します。サイトビジットでは、ビザの申請者本人とHR、または担当の上司の2名が質問されます。

本人に対する質問事項

・現在の役職名
・どのくらいの期間この会社で働いているか
・年収(または時給)
・勤務時間(週何時間ではなく、何時から何時まで)
・スーパーバイザーは誰か
・学歴について
・仕事内容について
 
本人に対しこれらの質問がされた後、スーパーバイザーと話すことになっているようです。スーパーバイザーには本人に対してと同様の質問と、その会社でH-1Bビザ、グリーンカード(永住権)を申請している人の数、その人たちが現在もまだ働いているかなどを聞かれます。スーパーバイザーがその場にいない場合は、電話でも構いません。
 
本人が提出しなければならない物に、「過去4回分のPaystub」「直近のW-2」「Driver’s License」(番号を控えるかコピーを取る)が挙げられます。PaystubとW-2はその場にない場合、後日郵送するよう指示が入るようです。勤務時間に関しては、フルタイムかパートタイムかという質問ではなく、1日の勤務時間を聞かれるので、パートタイムでH-1Bビザの申請をしている人は、「何時から何時まで」と答える必要があります。その後、調査員はオフィス内の簡単な見学をします。その時に、「ビザ申請者の机を見せなさい」と言われる場合もあります。また、オフィス内の写真を撮られることもあります。
 
ほとんどのケースは、この流れに沿ったものになっています。また、調査員の態度は丁重ですので、脅威を感じることはありません。

サイトビジットを想定し書類と正しい返答の準備を

以上の質問に答えられるように、H-1Bビザの申請書類を会社に保管しておくことが望ましいでしょう。準備をしておけば、突然の訪問においても冷静に対応することができます。
 
個別の面接を求められた際には落ち着いて調査員を個室に案内し、そこで5~10分程待ってもらい、ビザの申請内容などの確認をすると良いでしょう。もちろん調査員の質問には、正直に答えてください。社員の数、会社の概要についての質問に関してですが、正確な数でなく、おおよその回答でも構わないことがほとんどです。また、正確な数字を要求された場合には、調査員に調べる必要があることを伝えてください。質問に答えられないような場合は、調査員に一旦待ってもらい、顧問の移民法弁護士に連絡を取ることも可能です。
 
調査員が会社に来た場合、調査員からビジネスカードをもらうようおすすめします。調査の意図を明確にするためにも、調査員がどこの調査員なのかを確認する必要があります。また、調査員の連絡先を聞くことによって、実際にその調査員が政府機関に派遣されて会社の調査に来たのか確認することができるからです。また、個別面接の時には、弁護士と相談できるように、何を聞かれたかをメモに取ってください。もし申請書類と実際の仕事に違いがあると認められた場合、H-1Bビザの認可を、移民局から取り消される可能性もあります。事前にそれに気付いた場合には、会社から申請変更の申請をするか、申請の取り下げをしなければなりません。
 
サイトビジットが行われた時のために、十分な準備をしておくことをおすすめします。

H-1Bビザ申請に実地監査が導入監査の際に気を付けることは?

吉原 今日子 弁護士

Q:H-1Bスポンサー企業へのサイトビジット(実地監査)が行われていると聞きました。どうしてでしょうか?また、会社として、従業員として、気を付けなければならないことを教えてください。

A:2009年8月より国土安全保障省は、調査員をH-1Bスポンサー企業に派遣し、H-1Bビザ申請の内容と実際に従事している職務に違いがないか調査するというプログラムを開始しました。監査は不審なケースを対象に行っているのではなく、無作為に実施されています。また、事前通告なしに行われます。この監査に対して特に心配する必要はありませんが、このようなプログラムが開始されたことを知っておくことは大切です。
 
今まで行われた監査の中で頻繁に聞かれている質問は、会社の概要についてです。つまり従業員の人数、就業時間、所在地、事業内容や現在H-1Bビザを保持する従業員の数などです。この質問は、通常H-1Bビザ申請書にサインをした人、または人事担当者にされます。
 
次に、調査員はH-1Bビザ保持者との個別の面接を求め、ポジション、給与、職務内容などについて基本的な説明をするよう求められます。通常、この個別の面接は10~15分程度です。同様に、会社の管理者にもH-1Bビザ申請者についての質問が、個別になされる場合もあります。
 
監査が入った場合に以上の質問に答えられるよう、H-1Bビザの申請書類を会社に保管しておくことが望ましいでしょう。そうすれば、調査員の突然の訪問においても、準備をすることができます。個別の面接を求められた際には、落ち着いて調査員を個室に案内し、そこで5~10分程待ってもらい、申請内容などの確認をすると良いでしょう。調査員の質問には、もちろん正直に答えてください。なお、従業員数、会社の概要についての質問に関しては、正確な数や具体的な内容でなく、おおよその回答でも構わないことがほとんどです。
 
質問に答えられないような場合は、調査員にいったん待ってもらい、顧問の移民法弁護士に連絡を取ることも可能です。弁護士を同席させることに対してペナルティーはありません。先に述べたように、調査員の訪問は突然ですので、顧問弁護士と連絡が付かない場合もあります。ですから、監査について、事前に話し合われておくことをおすすめします。また、個別面接の際には、調査員から何を聞かれたか弁護士と相談できるよう、メモを取ってください。
 
調査員の訪問を受けた場合、名刺をもらっておくと良いでしょう。このような調査を行う機関としては、USCIS(移民局)、ICE、USCIS U Department of Labor’s Wage、Hour Division などが考えられます。調査の意図を明確にするためにも、どの機関に所属する調査員が訪問しているのか確認する必要があります。また、調査員の連絡先を聞くことによって、実際にその調査員が、政府機関から派遣されて調査に来たのか確認することもできるからです。
 
もし、H-1Bビザ申請書類と実際の職務に違いがあると判断された場合、認可されたH-1Bビザが、移民局によって取り消される可能性もあります。また現在別のビザで就労し、H-1Bを申請中の場合は、スポンサー企業から申請内容変更の申請を行うか、ビザ申請自体を取り下げなければなりません。

労働局審査に「iCert」導入申請は早めに始めること

2011年度新規H-1Bビザ申請についてです。安全に進めるには、4月1日の受付開始と同時に申請すべきでしょう。受付開始と同時に申請書が殺到し、早々と受け付けが締め切られた上に抽選という結果になった2007/2008 年に比べ、2009 年は申請数も激減し、12月20日まで申請を受け付けていました。今年も昨年のようになるかは、わかりません。やはり3月31日に申請書を送付するのが安全だと思います。
 
2009 年7月以降、LCA(労働局の審査)に「iCert」というシステムが導入されました。LCA が労働局で認可されなければ、H-1Bビザの申請はできません。iCert が導入され、会社のFIN(Federal Identification Number)の確認などが行われています。認可を取るのに1~2週間、もしくはそれ以上かかる場合もあります。ですから、H-1Bビザ申請を行う予定であれば、できるだけ早く準備をするようおすすめします。
 
(2010年2月16日号掲載)

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