不法滞在者に就労許可が出る新しい法律が施行

不法滞在者に就労許可が出る新しい法律が施行

瀧 恵之 弁護士

Q:10歳の時に両親に連れられてアメリカに来ました。その後、両親は離婚し、滞在ステータスのないまま、高校を卒業するまで母親に育てられました。現在、大学に通いながらアルバイトをし、何とか生活をしていますが、ソーシャルセキュリティー番号もなく、運転免許証を取ることもできません。しかし、私のような立場でも就労許可が取れる法律ができたと聞きました。それは、どのように申請すれば良いですか?

A:オバマ政権は2012年6月15日、幼少期にアメリカに入国した若い人たちに対して、一定の条件を満たせば、アメリカにおける合法的な就労資格、ソーシャルセキュリティーナンバー、運転免許証(州により認可されない所もあり。カリフォルニア州は可)が取得できる内容の法律を発表しました。この法律は、2012年8月15日に施行されました。これは、幼少期に、アメリカに不法入国、あるいは合法的に入国したものの、その後、不法滞在になってしまったアメリカ育ちの若者が、国外退去の恐怖から解放され、各々の才能をより良い形で用い、アメリカに貢献することを目的としています。
 
ただしこの法律では、就労許可、ソーシャルセキュリティーナンバー、運転免許証を取得することはできますが、その後、グリーンカードを取得することには、つながらないとされています。従って、この点においては、今後の新たな法律の制定が期待されます。

申請における条件と審査基準

この法律の適用を受け、就労許可の申請を行うには、以下の条件を満たしている必要があります。
 
2012年6月30日の時点で31歳未満であること
 
満16歳になる前にアメリカに入国していること
これを証明するものとしては、以下のものが挙げられます。
●パスポートに押された入国スタンプ
●I-94カード
●移民局が発行した書類で、入国日の記録のあるもの
●航空券
●アメリカの学校が発行する成績表、出欠票など学校名と在籍期間のわかる書類
●病院が発行する書類で、病院、あるいは医師の名前と治療日の記載のある書類
●教会などの宗教法人の発行する書類で、日付のあるもの(例:洗礼式、結婚式など)
 
2007年6月15日から現在まで、継続してアメリカに居住していること
*ここで言う「継続」に関しては、2012年8月15日以前であり、また、短期間であれば国外へ出国したことがあっても良いとされています。
 
2012年6月15日の時点、および本申請を移民局に行う時点でアメリカ国内にいること
これを証明する書類としては、以下のものが挙げられます。
 
●領収証
●光熱費等の請求書
●雇用を証明する書類( 例:W-2、Pay stub、Tax Return など、申請者、および雇用主の名前、および日付の記載のあるもの)
●アメリカ軍に属したことがあれば、その書類
●②で述べたアメリカの学校、病院、あるいは宗教法人の発行する書類で日付のあるもの
 
2012年6月15日以前にアメリカに不法入国しているか、その時点で不法滞在となっていること
 
現時点で在学中であるか、高校卒業(修了)済み。または、大学入学検定試験をパスしているか、沿岸警備隊、あるいは軍隊での勤務経験があり、規定の任務を終了していること
*これは、学校の成績証明書、出席票、卒業証明書などによって証明します。
 
重犯罪、過度な軽犯罪、あるいは軽犯罪を3つ以上犯していないこと
 
申請は、I-821 D、I-765、およびI-765 WS(Worksheet)の3つの書式により行います。申請料は、就労許可申請に必要な385 ドルに指紋採取の85ドルを加えた、合計465ドルです。
 
この申請において、移民局がどの程度の規制を行い、認可、あるいは却下の基準を設定するかは、現段階では不明な点があります。しかしながら、一般的に言えることは、移民局はこれから審査を行うなかで、その世論の反応を考慮しながら、規制、および判断基準を決めていきます。従って、申請の最初の段階は認可されやすいと考えられます。あなたがもし申請を考えているのならば、早目に行うことをおすすめします。
 
(2012年9月1日号掲載)

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