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正義の女神が映画をジャッジ | テミス裁きの神殿
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歴史の授業で習った“草原の猛者”が
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スーパーヒーローものやシリーズものの続編に独占された感があるアメリカで、久しぶりに大画面での鑑賞に値する大作を観た気がする。製作費50億円、4年の製作期間をかけた本作は、壮大なスケールの音楽、リアルで迫力満点の戦闘シーンなど、大画面でじっくり観てほしい秀作だ。
舞台は12世紀のモンゴル。後にモンゴルを統一し、チンギス・ハーンと呼ばれるようになる9歳のテムジン(浅野)が、将来の花嫁ボルテ(チュルン)を選びに行くところから始まる。その帰路、部族の頭領である父親は敵の部族に毒殺され、テムジンはまんまと父の部下に次の頭領の地位を奪われ、命を狙われる身となる。死にかけたテムジンを、別の部族の勇敢な少年シャムカ(ホンレイ)が救い、2人は兄弟の誓いを交わす。成人となったテムジンはボルテと結婚するが、幸せも束の間、敵の部族に妻を略奪される。だが、シャムカの力を借りて見事ボルテを奪還する。 武力で支配するシャムカとは違い、下の身分の者にも公平で寛大なテムジンの統制力に惹かれ、シャムカの部下数人がテムジンの元へと移ったことから、2人の兄弟関係はギクシャクし始める。やがて2人のうち、どちらがモンゴルの真の支配者となるかを決める、世紀の合戦へと突入する…。 “草原の猛者”といった荒々しく、やや野蛮なイメージのチンギス・ハーンを、『コーカサスの虜』『ベアーズ・キス』のセルゲイ・ボドロフ監督は、モンゴルに秩序と統一をもたらした賢明な勇者として、また1人の女性を愛し抜く情熱的な男として描いている。あまりに“完璧なヒーロー像”として美化し過ぎ? とも思うが、全編を通してハーンは“神話的英雄”として描かれているので、その辺はうまくまとまっている。 全編をモンゴル語のセリフでこなし、“内に秘めた静の勇者”を演じる浅野忠信の抑えた演技も光るが、『セブンソード』『初恋のきた道』に出演した中国人俳優スン・ホンレイが演じるシャムカは、敵役でありながらも雄々しい野生的魅力に溢れ、ほれぼれする。奴隷として売り飛ばされ、異国の地で幽閉された夫を、まさに身体を張って救出し、モンゴル統一を果たす内助の功となる妻のボルテ。彼女も、運命に翻弄されるだけではなく、自分で運命を切り開く、モンゴルの大地のようにたくましい女性として描かれ、実にチャーミングだ。 特に大画面で堪能してほしいのは、合戦のシーンだ。壮大なモンゴルの草原を騎馬隊が駆け抜け、巧妙な戦術で繰り広げられる戦闘シーンは、日本の戦国時代の合戦シーンを連想させ、何だか懐かしい気分にさえなる。どうも最近の戦闘シーンは“いかにもCG”といった、スケールは大きくても迫力に欠けるものが多いが、本作はその“いかにも感”をほとんど感じさせない。 全編に流れる重厚な音楽も素晴らしい。惜しくも受賞は逃したが、今年の第80回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたのも納得の出来だ。 【 文:MAMIKO KAWAMOTO】 |
【文:MAMIKO KAWAMOTO】
スーパーヒーローものやシリーズものの続編に独占された感があるアメリカで、久しぶりに大画面での鑑賞に値する大作を観た気がする。製作費50億円、4年の製作期間をかけた本作は、壮大なスケールの音楽、リアルで迫力満点の戦闘シーンなど、大画面でじっくり観てほしい秀作だ。


