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今週のオススメシネマ

ジャンル ドラマ
オススメ度 ★★

英国の文芸ドラマは難しそう?
実は優雅な気分で単純に楽しめる

Brideshead Revisited
Rating : PG-13
◎主演 | マシュー・グード、ベン・ウィショー、ヘイリー・アトウェル、他
◎監督 | ジュリアン・ジャロルド

©Miramax Films

(2008年9月1日号掲載)
最近面白かった文芸ドラマと言えば、悲劇的恋愛を描いた『Atonement』だ。わかりやすいストーリーと、キーラ・ナイトレイとジェームス・マカヴォイ主演という話題性も加わり、今年のアカデミー賞作曲賞、ゴールデン・グローブ賞の作品賞と作曲賞を受賞。ある青年の目を通して滅びゆく貴族の運命を描いた本作も、英国文学の香りがプンプンする華麗な恋愛ドラマだ。

第2次大戦中のイギリス。物語は、主人公のチャールズ・ライダー大尉(グード)が、かつて親友のセバスチャン(ウィショー)と奔放な青春時代を過ごした侯爵家に駐屯し、昔を懐かしむシーンから始まる。

中流階級の家庭に生まれた画家志望のチャールズは、オックスフォード大学へ進学。酔っぱらったセバスチャンが、チャールズの寮の窓から室内に吐き、衝撃的な出会いを迎える。お詫びにランチに招待されたチャールズはセバスチャンと意気投合、彼の実家へと招待される。広大な英国庭園を走り回ったり、シャンペンを片手に敷地の池の畔で戯れたりと、自然美を背景に、まさに“華麗なる一族”の生活が描かれる。

2人が“ロマンティックな関係”に発展するかと思った途端、セバスチャンの美しい姉ジュリア(アトウェル)が現れ、チャールズは彼女に夢中に。失恋のショックと、厳格な母親(エマ・トンプソン)に監視される家庭に息が詰まり、セバスチャンは徐々にアルコール依存症になっていく。ジュリアもまた、敬虔なカトリックの家庭に嫌気が差して逃げ出したい。チャールズは、どんなに彼女が好きでも、自分はプロテスタントで彼女の家族に歓迎されていないとウダウダしている間に、彼女は結婚してしまう。時が経ち、2人は船上で再会するが…。

夫にも逃げられた暴君的母親を、少ない出番ながらもトンプソンが印象的に演じる。物語の語り手であるチャールズを、イギリス人っぽいポーカーフェースで抑え目に演じるグードは、作曲家ベートーベンと彼の創作を支えた女性のドラマ『Copying Beethoven』や、ウディ・アレン監督のミステリー『マッチ・ポイント』に出演し、上り調子の俳優だ。『Perfume: The Story of a Murderer』で香水を完成させるため殺人を犯す主人公を演じたウィショーは、正統派の美少年ではないが、繊細で色っぽくセバスチャンを演じている。

監督のジャロルドは、コメディー『Kinky Boots』で注目され、『Becoming Jane』では、作家ジェーン・オースティンの恋愛を、スイートなラブロマンスに綴った。

イーヴリン・ウォーの小説を原作とした本作は、美少年恋愛もの『モーリス』(若かりし頃のヒュー・グラントが出ていて必見!)、高貴なラブロマンスを優雅に描いた『眺めのいい部屋』や『ハワーズ・エンド』など、80〜90年代に日本で一世を風靡した、ジェームズ・アイヴォリー監督作品を思い起こさせる作風。アクション、スーパーヒーローものに占拠された夏のラインナップの中で妙に新鮮な一作だ。

【 文:MAMIKO KAWAMOTO
【文:MAMIKO KAWAMOTO
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