エンターテイメント

今週のオススメシネマ

ジャンル コメディー
オススメ度 ★★

コーエン兄弟が贈る
知的な、おバカコメディー

Burn After Reading
Rating : R
◎主演 | ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、
    フランシス・マクドーマンド、他
◎監督 | イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン

© Focus Features

(2008年10月1日号掲載)
演技派キャストがおバカを大熱演! 何でもないくだらない出来事が、おバカな人間の手によって、バカみたいに大げさな結果になり、それをチャンチャン! って終わらせてしまうアメリカ政府。究極の皮肉が含まれた、大人向けコメディー。一見軽〜いノリだけど、実は奥が深いのでは?とも勘ぐってしまうのは、『ファーゴ』『ノーカントリー』でアカデミー賞を受賞したコーエン兄弟作ならでは。

舞台はワシントン。CIAアナリストのオズボーン・コックス(ジョン・マルコビッチ)は、アルコール依存を理由にクビを宣告される。ハリー(クルーニー)と不倫関係にあるコックスの妻ケイティー(ティルダ・スウィントン)は、自伝を執筆するという夫にさらに嫌気がさして、いよいよ離婚を考える。財務省に勤めるハリーは、児童書作家の妻がいるにもかかわらず、浮気癖が直らない。一方、スポーツジムに勤める中年女性リンダ(マクドーマンド)は、全身の美容整形をして若返りを図り、オンラインで理想の男性と巡り会おうと必死だ。

そんなある日、ジムの能天気なインストラクターのチャド(ピット)が、女子更衣室に置き忘れられた1枚のディスクの中に、CIAの機密情報が入っている! と大騒動を起こす。コンピューターオタクの友人の力を借りて、チャドはディスクの持ち主を探り当てる…。コックスだ。美容整形代が欲しいリンダに言われるがまま、チャドはコックスに「ディスクを返す代わりに謝礼をよこせ」と脅迫電話をかける。コックスがこれに逆切れすると、リンダは強硬手段に出て、ディスクをロシア大使館に持って行く。また同時に、リンダはオンラインで知り合ったハリーと不倫を始める。お気楽なプレイボーイのハリーだが、最近誰かに監視されているという不安を感じている。そんななか、チャドが行方不明に。

ディスクを巡って、何かとんでもない危険がそれぞれの身に迫っているのか? はたまたそれは、ただの妄想なのか? 些細な出来事が、ちょっとしたきっかけで思いがけない結末を迎える、というコーエン兄弟のいつもの作風を、思いっ切りバカバカしく仕上げたのが、本作。

そんなおバカ軍団の大将は、やはりマルコビッチだろう。ただ突っ立っているだけで笑いを誘うのは彼だけだ。イイ男なのに“もしかしたら本当にちょっと足りない?”と思わせるピットも、またハマリ役。おバカだけど、リンダに尽くすお茶目な役を好演している。本作の主役とも言えるマクドーマンドは、演技しているとは思えないほどの自然なコミカルさでストーリーを牽引する。彼女の豪快な笑い声に、観客も思わず爆笑。情けないプレイボーイを演じるクルーニーは、どうやってもイイ男は隠せないが、愛嬌たっぷりに三枚目を演じる。

“アカデミー賞を取った作り手が、コメディーやるとこうなるぞ”といった感じの、大人の知的な笑いが満載のコメディー・スリラーだ。


【 文:MAMIKO KAWAMOTO
【文:MAMIKO KAWAMOTO
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