エンターテイメント

今週のオススメシネマ

ジャンル アクション
オススメ度 ★★

日本の鬼才・三池崇史による
マカロニならぬ、スキヤキ・ウエスタン

Sukiyaki Western Django
Rating : R
◎主演 | 伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、他
◎監督 | 三池崇史

© First Look Studios

(2008年10月16日号掲載)
素直に面白かった。少々尺が長いが、オリジナル性に富んだ、エンターテインメント性の高い映画だ。“何でもあり”の三池ワールドにエキゾチックさが加わって、ますます訳がわからないのだが(英語のセリフが聞き取りづらいせいもあるが)、そこがたまらなく面白い。冒頭からクエンティン・タランティーノがスキヤキをつついているし、黒澤明の描く強烈な色彩感覚を思わせるセット美術に目を奪われ、過激なバイオレンスと血しぶきを楽しみ、シメに北島三郎が歌う『ジャンゴ〜さすらい〜』が流れるにいたるまで、グイッとこの不思議な世界に惹き込まれた。

壇ノ浦の合戦から数百年後、平家の落人はユタという村にひっそりと暮らしていた。その付近には平家の埋蔵金が隠されており、それを巡って平清盛(佐藤)率いる平家ギャング・赤軍と、源義経(伊勢谷)率いる源氏ギャング・白軍による争奪戦が起こる。村人は無残に殺され、村は無秩序状態になるのだが、そんな時1人の凄腕のガンマン(伊藤)が現れる。両軍は彼を味方にしようとするが、彼は不遇な人生を生きる美女・静(木村佳乃)と、その息子・平八(内田流果)を守るべく、両軍を敵にまわす。

日本のオールスターが勢揃いして全編英語のセリフを演じるのだが、やはりこれはキツイ。『ブラインドネス』に出演した伊勢谷と木村の英語には問題はないが、そのほかの役者の英語を一生懸命聞こうとして疲れた気がする。それでも、ハッとする映像美と趣向をこらしたガンファイトで、最後まで飽きさせない。

ビビットな赤と白のコントラスト、架空の村、ギャングメンバー1人1人の衣装にいたるまで、緻密に作り上げられた世界観が素晴らしい。ガンファイトも、アン・リーの『グリーン・デスティニー』とかチャン・イーモウの『HERO』に通じる、スタイリッシュなアクションを追求していて、アメリカでも十分通用する気がする。三池作品にしてはバイオレンス描写はマイルドだが、しっかりとした見せ場が随所にあり、コメディー要素もうまく活かされている。

また、全編でたった2人だけの女性キャストである木村と桃井かおりが、強烈な印象を残す。「こんなにいい女だったんだ」と、ドキッとさせるセクシーさで木村が悲劇のヒロインを演じれば、桃井は、「やっぱりただのばあさんの役じゃないな」という存在感たっぷりの女ガンマンを演じる。

“イイ男総結集”とも言える、伊藤、伊勢谷、小栗旬、安藤政信など、イケメン俳優も目の保養。“保毛尾田保毛男”を彷彿させる、とんねるずの石橋貴明、常にもう1人の自分に話しかけている二重人格? の香川照之のキャラクターも笑える。しかし、どんな役を演じても、ハズレのない香川の演技力には驚かされる。英語の長セリフも、難なく自分のものにしてしまうのは、彼ならではだ。しかしそれ以上に、これだけの俳優が揃えられる三池崇史という監督の才能とカリスマ性にも改めてビックリ。

【 文:MAMIKO KAWAMOTO
【文:MAMIKO KAWAMOTO
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