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ジャンル ドラマ
オススメ度 ★★

結婚式に“招かれざる客=妹”参上!
人間味あふれる家族ドラマ

Rachel Getting Married
Rating : R
◎主演 | アン・ハサウェイ、ローズマリー・デウィット、
    デボラ・ウィンガー、他
◎監督 | ジョナサン・デミ

© Sony Pictures Classics

(2008年11月1日号掲載)
最近パッとした作品がなく、ご無沙汰していた『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ監督の新作。今年のベニス映画祭でワールドプレミア上映され、『プラダを着た悪魔』で一躍若手人気女優に躍り出たハサウェイが、薬物依存の問題児を演じ話題に。

ニューイングランド州の裕福な家庭に育ったレイチェル(デウィット)は愛する家族と友人に囲まれて、幸福な結婚式を挙げようとしている。緑が豊かな家の庭にはエキゾチックなテントが建てられ、パーティーの準備も着々と進む。そこへ、薬物依存でリハビリ中の妹キム(ハサウェイ)が、姉の結婚式に参加するため、久し振りに我が家を訪れる。一見キムを温かく迎える家族や友人だが、皆どこか彼女に対して距離を置く。ウエディングディナーの席を1番端に用意され、お祝いのスピーチでは、おめでたくないことばかりを口にしてしまうキム。家族はそんな彼女に対して、まるで腫れ物に触るかのように接する。

キムはかつて交通事故で弟を死なせてから、その罪悪感から逃れられずにいる。キムは思わず、薬物依存の自分になぜ弟のお守りを任せたのか? と母親をなじる。レイチェルは、妹をずっと支えようと努力してきたが、人生を悲観し、ひねくれている妹に堪忍袋の緒を切らして、厄介者呼ばわりする。めでたいセレモニーも、キムの登場で暗雲が立ち込めるが、それでも淡々とウエディングの準備は進行する。

好きか嫌いかが分かれる作品だろう。最初から最後まで手持ちカメラで撮影された映像に気分が悪くなったし、常に言い争いをしている主人公たちにも途中からうんざりしてきた。例えて言うなら、家庭用カメラで撮った友人のウエディングの一部始終を、延々と見せられた感じ。

バラバラになった家族が、結婚式をきっかけにその絆を再生させるドラマ、とありがちな内容だが、評価する点もある。たいてい結婚式をテーマにした映画は紆余曲折があろうとも、明るいフィールグッド映画として描かれるが、本作はそういった型にはまらない。まるで、脚本なしで役者全員がアドリブで演じているような、“生身の人間”のリアルなドラマが描かれる。

家族のぶつかり合いや、いがみ合いも、ホームビデオで撮ったありのままの映像かのように、私たちの心に訴えかける。「こんなことになるなら、レイチェルの結婚式に招待されなければ良かった…」と、重い気分になるほどだ。

特に印象に残ったのが、ウィンガーだ。身勝手な母親をさりげない演技で巧みに見せる。この一家が崩壊したのは、この女のせいでは? と思ってしまうくらい無責任な母親なのだが、それをあからさまに態度、セリフで表現するのではなく、ニュアンスで伝える。ハサウェイは、トレードマークの大きな口を開けて満面の笑みを浮かべるいつもの役柄から、今回は暗い影のある役を演じたが、やはりその美しさと魅力はスクリーンで輝いていた。

【 文:MAMIKO KAWAMOTO
【文:MAMIKO KAWAMOTO
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