エンターテイメント

今週のオススメシネマ

ジャンル ドラマ
オススメ度 ★★

ヨーロッパ映画の香りがする
ハリウッドの恋愛ドラマ

Two Lovers
出演 | ホアキン・フェニックス、グウィネス・パルトロー、
   バネッサ・ショウ、他
監督 | ジェームス・グレイ
ホアキン・フェニックスの引退作とされる本作は、彼の最後の演技が光りまくっている。『Walk the Line』でカントリー歌手を演じ、ゴールデングローブ賞の主演男優賞とグラミー賞をダブル受賞して、すっかり歌にハマってしまったのか、昨年彼は、俳優業を辞めてミュージシャンの道を進むと電撃引退宣言をした。彼の兄である、俳優のリバー・フェニックスは、ドラッグで早死をして映画界から散っていったが、ホアキンも去ってしまうのは実に惜しい。いわゆる長身、ブロンド、ブルーアイズの二枚目ではないが、演技力の高さはアラフォー世代の俳優の中でも抜きん出ているからだ。

婚約者に裏切られ、心に傷を負ったレナード(ホアキン)は、ニューヨーク、ブルックリンにある実家に戻ってくる。早速、父親は息子が稼業のクリーニング店で働けるように配慮し、母親(イザベラ・ロッセリーニ)は、かいがいしく身の回りの世話をする。

ほどなくレナードは、2人のまったく違うタイプの女性と出会う。父の友人の娘サンドラ(ショウ)は、クリーニング店で働くレナードをたまたま見かけてひと目ぼれ、家族同士の夕食にかこつけてさり気なく彼に近付く。またある日、レナードは地味でおとなしそうなサンドラとは対照的な、ブロンドで長身の美人ミッシェル(パルトロー)とアパートの廊下で出会う。彼女は最近、このアパートに引っ越してきたのだ。

思いやりにあふれるサンドラと付き合い出すものの、レナードは奔放でミステリアスな雰囲気を持つミッシェルに強烈に惹かれる。ミッシェルは、妻子持ちの男との満たされない恋に悩み、レナードを心の友と慕う。レナードの心の傷を受け入れて、丸ごとレナードを愛そうとする愛情深いサンドラ。自分の感情のままに振る舞い、レナードを振り回すミッシェル。レナードはどちらの愛を取るのか?

ハリウッド映画とは思えないほどシンプルで、過剰な演出がなく、音楽も邦画を思わせるほど控え目にしか使われていない。悪く言えばよくある恋愛物語なのだが、よく言えば観客の誰もが身に覚えのある等身大の恋愛映画だ。ホアキンの名演が、最初から最後まで観客をグイグイと惹き付けてまったく飽きさせない。

実生活でも「そうやって男を手玉に取って好き勝手をするんだろう!」と、怒鳴ってやりたくなるほどの嫌な女っぷり見せるパルトローも、あっぱれ! どうしても好きになれない女優だが、ハマリ役だ。

出番は少ないが確実に見せ場を作ったのが、イザベラ・ロッセリーニ。ランコムの化粧品の広告塔をしていた頃の美しさはどこに…? と思うほど、皺々な顔を隠すこともなく、少々過保護だが息子を愛して止まない母親を見事に演じている。歳を取ったとは言え、彼女が登場すると画面が華やぐから不思議だ。これが本物の映画女優の輝きなのだろう。



©Magnolia Pictures


【 文:MAMIKO KAWAMOTO
【文:MAMIKO KAWAMOTO
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