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ジャンル ドラマ
オススメ度 ★★

誰にも言えない秘密の恋
彼女を救えるのは自分だけ

The Reader
出演 | ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、
   デヴィッド・クロス、他
監督 | スティーヴン・ダルドリー
“ナチスドイツ時代の話”と聞き、重く暗そうだと観るのをためらっていたが、ウィンスレットがアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、イギリス版アカデミー賞にあたるBAFTAなどで主演女優賞を総なめ。そこまでの熱演ならと、観に行った。

中年にさしかかったハンナ(ウィンスレット)が、15歳の少年マイケル(クロス)と恋仲に。2人が裸で戯れる姿は、官能的で美しく、芸術の匂いが立ちのぼるロマンスが描かれている。ヨーロッパ女優の自然体の美にはうっとりする。

ヌードのことばかり書くと、エロスが売りの映画だと勘違いされそうだが、短くも情熱的な恋に落ちた2人が、時を経て思わぬ状況で再会、青年となった男は、かつて愛した女性を守ることができず、その良心の呵責に思い悩む…。2人の悲劇的な運命を描いた物語でもあるのだ。

物語は、マイケル・バーグ(ファインズ)が昔を回顧する形で描かれる。1950年代のドイツ、路面電車の切符切りをしているハンナ・シュミッツ(ウィンスレット)は、ある日彼女のアパートの入り口で気分を悪くしたマイケル(クロス)を家へ送り届ける。お礼に訪れたマイケルは、ハンナの虜になり、また彼女も彼を誘う。こうしてマイケルは、年上の美女と情事を重ねる。ハンナはマイケルに、セックスの前に彼女に本を読んで聞かせることを義務付ける。古典文学に目を輝かせて聞き入るハンナ。幸せもつかの間、ある日彼女はこつ然と姿を消す。

1966年。大学で法律を学ぶマイケルは、法廷での裁判を聴講する。何とその裁判の被告人の1人はハンナだ。ヒトラーの親衛隊として監視役をしていたハンナは、ユダヤ人虐殺への関与を問われている。囚人を収容した教会が火事になった際、看守役の女性たちはドアを開けずに、囚人を皆殺しにした。ほかの女性看守たちが罪を否定するなか、「ドアを開ければ囚人が逃げてしまう。私は囚人の監視役で、自分の役目を果たしただけ」と、まったく悪気のない様子で答える。ハンナが事件の報告書を書いた主犯だと追及されるが、マイケルは彼女が自分に本の朗読をさせていたことから、ハンナが文盲だと気付く。この窮地から彼女を救えるのはマイケルだけだが…。

年若い青年にためらいなく迫る一途な情熱や、法廷で直答する純粋無垢な幼さが、ハンナの1番の魅力であり、また人生を暗転させた1番の要因だ。そんなハンナの魅力をウィンスレットは文字通り体当たりで演じた。元々、ニコール・キッドマンがこの役に決定していたが、妊娠のため降板。背が高く、冷たい印象の強いキッドマンよりも、美人だが庶民的な魅力のウィンスレットの方がしっくりくる。オスカー受賞も納得の演技だ。

後半やや重苦しく感じられるが、前半に若き日々の2人の関係がみずみずしく描かれ、全体のトーンアップに成功。映画初出演のドイツ人俳優クロスの魅力も◎。

©Weinstein Company

【 文:MAMIKO KAWAMOTO
【文:MAMIKO KAWAMOTO
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