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今週のオススメシネマ

ジャンル コメディー
オススメ度 ★★

ダウンタウン、松ちゃんの監督第1作
奇想天外コメディー、待望のUS公開!

Big Man Japan
◎出演 |松本人志、竹内力、UA、他
◎監督 |松本人志
手持ちカメラで、インタビュアーがひたすら追いかけ続ける謎の男。おかっぱ頭で、常に折り畳み傘を携帯する大佐藤大(松本)という男。口数の少ない無愛想な男は、インタビュアーの唐突な質問に戸惑いながらも言葉を選んで答えていく。人目をはばかって、24時間常に出動可能な状態でなければならぬ特殊任務を背負った、どうやらただならぬ人物らしい…。

オープニングから、観客を謎めいた人物像に惹き込むように、台詞の端々にヒントを散りばめ、巧妙な伏線を張った、監督のよく練られた脚本が光る。そして、観客が大佐藤さんの素性についてわかりかけてきたなと思った矢先に、もの凄い正体を見せ付けられ、同時進行で、小市民的な彼の

日常を淡々と描き続ける。最近のハリウッドで描かれるアメコミの主人公たちにも似た、 必ずしも万人受けせず、無敵でもなく、失敗もすれば間違いも犯す、 等身大のヒーローを描いていて親近感が持てる。ヒーローも突き詰めれば人間。その能力にも限界があり、葛藤を感じているという『Batman』『Hellboy』『X-men』にも共通するアンチヒーローが、 大佐藤さんなのだ。

大佐藤大は、ある特殊な家系に育ち、地球を守るという任務を背負っている。それは、先祖代々継がれた由緒正しい職業で、特殊能力を持つ大佐藤さん一家だからこそできる技だ。しかし、その家族ビジネスも岐路に立たされる。大佐藤さんのおじいさんは、かつては国宝級の待遇を受けていたが、今ではボケが進んで老人ホーム暮らし。一方、大佐藤さんは、疎遠になっている妻と娘との破綻した関係を修復しようと一生懸命。地球を守りながら、家庭も両立させようとする大佐藤さん。そんな現在に生きるアンチヒーローの物語が、『大日本人』だ。次から次へとやって来る困難な敵に、大佐藤さんは今日も向かっていく!

デビュー監督作で、すっとぼけた様で、すべてを計算づくでやっている鬼才感を醸し出しているところが、松本人志のただならぬところだろう。企画、監督、主演と、まさに松本人志の“お笑いの世界感”が結集した様な本作は、2007年のカンヌ国際映画祭、監督週間部門で上映され、国際的にも話題を呼んだ。日本で公開されるやいなや、ロングランのヒットとなった。最後のオチは賛否両論だが、「こんなのあり?!?」という映画の常識を打ち破った演出には、三池崇史が1999年に監督した『DEAD OR ALIVE 犯罪者』を見た時の衝撃に似たものを感じた。既に監督第2作目『シンボル』が完成した松本人志だが、その魅力が詰まった監督デビュー作『大日本人』をまだ見ていない人は、ぜひこの機会に劇場に足を運んで見てもらいたい。



【 文:Mamiko Kawamoto
【文:Mamiko Kawamoto
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