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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

193)気持ちを動かそう

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。

「ブランド作り」の本当の意味は?


成功者はマーケの達人

成功者とは、自分のアイデアで、多くの人の気持ちを動かした人のことです。お金をたくさん稼いだとかいうのは結果であって、得るものは必ずしもお金とは限りません。ガンジーやマザーテレサは、お金ではなく、多くの人の気持ちを動かし、社会を動かしました。つまり、成功者とは、マーケティングの達人なのです。マーケティングは心理学です。マーケティングで成功するには、あなたのアイデア(製品・サービス)で、多くの人の気持ちを動かすことです。つまり、商品を売るのではなく、人の気持ちを動かすに足るあなたのアイデアを売るのです。


ブランドは期待を生む

アイデアを売る時、ブランドが立っていると大きく役立ちます。ブランドの大切さは、それが「期待」を呼び起こし、結果、「知覚」、つまり人間にとっての「事実」を生み出すからです。人間は知覚したものを事実ととらえます。氷を触れば冷たいというような、物理的な知覚ではありません。極めて主観的な知覚です。例を挙げましょう。


同じ液体なのに

日本のコンビニへ行くと、「太陽のマテ茶」という見慣れないソフトドリンクが棚にあります。「なんだろう?」と思って手に取ると、ラベルにCoca-Cola〞のブランドロゴが。「マテ茶って知らないけど、コカ・コーラの出す物だから、きっと新しい味の提案があるんだろうな。ちょっと飲んでみるか」。つまり、商品そのものではなく、「コカ・コーラが出している新製品」ということで、「期待」が私の心の中で呼び起こされています。

キャップを開け飲んでみます。「マテ茶」って何なんだろう?…おそるおそる。「あ。なかなかいけるじゃん。新しい風味だ(知覚)」。期待はそれに見合った知覚を生み出します。「コカ・コーラの出す新製品なのだから、きっと新しい味の提案に違いない」という期待が、「新しい風味」という知覚を生みました。

さて、仮に同じドリンクを手に取ってラベルを見たら「阪本食品」とあったとしたら。「阪本食品?知らないなあ…。大丈夫か?やめとこ。いつも飲んでるやつにしよう」。おそらく、棚からレジに持っていくことはありません。しかし、まかり間違って買ったとします。おそるおそる飲みます…。「うげ、これ何?こんな変な味、飲めたもんじゃないや!」。

ボトルの中身は同じマテ茶が入っているにもかかわらず、同じ人物が飲んだにもかかわらず、知覚がこんなにも違ってくる!


強いブランドの理由

つまり、私は「『コカ・コーラ』ブランドが約束してくれる期待」にお金を支払ったのであり、「期待」に見合った「知覚」を脳内に作り出したのです。強いブランドはみんな、その強さを「期待」「知覚」論で説明できます。

「アップルが新作発表!」というニュースを耳にした途端、「きっとすごい物が出るに違いない。今度はどんな物が!?」と「期待」が生まれます。そして、新製品を実際に手にした時、「やっぱりカッコいいし、使いやすいよ!」と「知覚」が生まれます。キーボードを触る指に、スクリーンを見る目に。現実はどうなのか、そんなこと関係ないのです(笑)。


期待と知覚を設計する

つまりこういうことです。あなたのお店(会社、NPO、ブランド…)は、人が名前を耳にした時、どんな「期待」をし、どんな「知覚」を生んでほしいのか。具体的に設計しましょう。それがブランド作りの一番手っ取り早い方法です。その「期待と知覚」がくっきりしていればいるほど、お客さんの脳内検索で一番上に出てきます。「皆でワイワイ騒ぐ宴会にしたい」「デートでいい雰囲気を味わいたい」「カジュアルな服のコーディネートを相談しながら買うなら」「BBQ の食材をいっぺんに揃えたい」…。

社内みんなで自社の期待と知覚について話し合いをしてみましょう。楽しくブランドを作る第一歩です。

阪本さんの新著書が発売中!
『ビジネスチャンスに気づく人の57の法則』(日経ビジネス人文庫)

(2012年8月1日号掲載)