サーフワックスのリーディングブランド「スティッキー・バンプス」

ライトハウス電子版アプリ、始めました

ライトハウス・サンディエゴ版編集長、吉田聡子が、サンディエゴ生まれのブランドを訪問。世界に羽ばたいた物から、ローカルにこだわる物まで、名品の背景にある物語を探ります。

Sticky Bumps / スティッキー・バンプス

アリッサと

終始笑顔で質問に答えてくれた創業者ジョンの娘、アリッサ(右)と吉田

Sticky Bumpsはサーフボードの滑り止めとして使う、いわゆるサーフワックスのブランド名だ。製造している会社はWax Research, Inc.だが、Sticky Bumpsというブランド名の方が知られている。産業としてはマイナーであるが、世界に50以上の販売代理店がある、世界的ブランドである。私は日本でサーフィンを始めた時からSticky Bumpsを愛用していたので、サンディエゴで作られていると知った時はうれしかった。
 
この会社の創業者は、自身、サーファーであり、スキーヤーであるジョン・ダール。彼がサーフィンを始めた1950年代は、サーフワックスと言えば、ロウソクの材料、パラフィンで作ったものであった。そのパフォーマンスに納得していなかったジョンは自らワックスの研究開発に没頭。それが71年の会社の立ち上げにつながった。

オフィスの入口

オフィスの入口には新旧さまざまなブランドのサーフワックスが展示されている

Sticky Bumpsの歴史で特筆すべきは92年、粘着力がずば抜けた革新的なサーフワックスを世に送り出したことだ。従来のワックスに炭酸カルシウムを含む鉱物を添加したのは業界初。この手法は、以後、業界のスタンダードとなった。サーフワックスの新時代到来である。
 
エンシニータスで始まった会社はカールスバッドを経て、今はビスタにある。物作りの工程を見せてもらいたくて取材を依頼したら、スタッフのケイト、リンゼイ、そしてジョンの娘であり、グローバルセールス&マーケティングの責任者でもあるアリッサが満面の笑みで出迎えてくれた。オフィスにはサーフボードが飾られており、仕事場と思えないほど居心地がいい。

クオリティーチェックをするテストルーム

製品の開発実験やクオリティーチェックをするテストルーム。この日は、スノーボードなどで使うスノーワックスのテストをしていた
ロウを溶かす釜

ロウを溶かす釜。省エネになるよう熱源は水蒸気を採用。ワックスは年間で400万個製造される

ワックス製造の過程はとてもシンプルだった。水蒸気の熱でベースとなるロウを溶かし、必要成分を添加して専用のケースに流し入れ固めたら箱詰めして完了。ひとつひとつの工程が手作業で、出荷前の製品テストも人の手で行われる。
 
ファクトリーの片隅には、ジョンが研究に勤しむスペースもあった。「父は昔から常にずっとワックス作りに情熱を傾けているの。〝ワックスマン〞ね」とアリッサが笑う。2階にはジョンの乗るサーフボードがたくさん置かれているそうだ。

スタッフ

歓迎ムードで対応してくれたスタッフ。左から3番目が創業者のジョン

最後に「記事のために写真を撮らせて」とお願いしたら、スタッフがたくさん集まってきた。
 
「この先もこんな感じの家族経営を維持し続けるのが私の目標ね」とアリッサ。
 
昔、雑誌で見て憧れたカリフォルニアのサーフカルチャー。その空気感がここにあった。

 

Sticky Bumps

◎ Sticky Bumps/スティッキー・バンプス
1212 Distribution Way, Vista
☎ 760-607-0850
▶ 営業時間:月曜日~金曜日 7:30am~4pm
※他、コロナド、インペリアルビーチにもあり
▶ Webサイト:http://stickybumps.com

 
(ライトハウス・サンディエゴ版 2017年3月号掲載)
 
※このページは「ライトハウス・サンディエゴ版 2017年3月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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