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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

幼児の日本語教育にTVやビデオの活用法紹介

幼児の日本語教育にTVやビデオは必要?活用法は?

松本輝彦(INFOE代表)

家庭での日本語と日本文化の環境作りに活用

日本語の環境作りに

幼児に日本語のテレビやビデオを見せるのは、家庭内に日本語環境を作る点から大変有効だと思います。

ただし、「テレビをベビーシッターの代わりにしない!」という言葉をお忘れなく。

まずは、私の体験談から。

体験的活用法

20年ほど前、ロサンゼルスではローカル放送局で日本語テレビ番組が週に2、3回、数時間だけ放送されていました。日本の親戚が録画したビデオが日本からの貴重な土産になった、そんな時代の話です。

アメリカで生まれ育った我が家の3人娘は、そんな時代にLAで幼児期を過ごし、読み書きの立派にできるバイリンガルに育ちました。少し時代が違いますが、子供たちの日本語力の向上にテレビとビデオが役立った体験をお話しましょう。

◆『あいうえお』
次女が4歳くらいの時です。NHKの『あいうえお』という番組の一部を録画したビデオテープを、友人が日本からお土産で持ってきてくれました。その番組は、助詞(「は・に・を」など)の使い方を教える15分程度の幼児向けの番組でした。

このビデオに次女が「はまって」しまいました。テレビの真ん前で、ビデオのコントローラーを手にしたまま、母親の「いい加減にしたら」という言葉も聞かず、一言もしゃべらずに、本当に何度も、何度もじっと見入っていました。

数日後、突然、見るのを止めました。しかし、その後、それまでの日本語での日常会話で少し苦労をしていた次女の助詞の使い方が正確になり、表現も豊かになって、日本語力が飛躍的に向上しました。まさにビデオ視聴のおかげです。

その当時、私はあさひ学園で教員をしていましたから、小学校低学年の先生に次女の話をして、補習校にある『あいうえお』のテープの家庭への貸し出しを強くすすめたくらいです。

◆『日本昔話』
我が家の子供たちは、『日本昔話』で育ちました。

当時、週に1回だけの貴重な『日本昔話』のテレビ放送を家族全員で見ました。皆さんもよくご存知だと思いますが、この番組は、たった2人の声優が出演する15分程度のすごくシンプルなアニメですが、日本の昔話を題材にし、子供(大人も)が楽しみながら、日本の文化や伝統に触れることのできる優れたものです。

この番組に夢中になった子供たちは、「きこり」「鬼婆」などの新しい言葉や、その背景となっている日本の風景や生活を、この番組から学びました。

その後、『日本昔話』はテレビから絵本に移り、母親の毎日の「読み聞かせ」の本の1冊になっていきました。それが、子供たちの日本語での読書習慣の基礎となり、バイリンガルに発展したことは、間違いありません。

家族そろって、テレビ?

我が奥様は、昔も今も大のテレビ嫌いです。
 
ですから、子供たちも自分たちが見たい番組の放送時間しかテレビのスイッチを入れさせてもらえませんでした(私がいる時は例外でした)。そんな貴重な機会ですから、子供たちは、その番組を3人(時には家族全員)そろって、一生懸命見ることになります。

見終わった後は、子供たちがその放送の中で出てきた『日本昔話』の主人公の「口真似」や「身振り」をしたり、ストーリーを振り返って、しばらく家族だんらんの時間を過ごします。

このだんらんの時間に、日頃の家庭生活では見聞きすることのない日本の習慣や言葉を、子供たちが身に付けていきました。たった1回しか見たことのない『日本昔話』の放送内容ですが、30歳近くになった今日でも、3人娘がそのストーリーを思い出し、楽しく語り合っています。

長時間のテレビやビデオの視聴、特に子供だけで見せる「ベビーシッター代わりのテレビ・ビデオ」は、決しておすすめしません。しかし、付き合い方によってテレビ・ビデオは、お子さんが日本語や日本の文化を身に付けるのに、大変有効です。クリスマス・お正月と続くこれから、小さなお子さんを膝に、家族そろってテレビ・ビデオ鑑賞はいかがですか?

今日は、私の思い出話が中心になってしまいました。年の瀬が近付く時期だからでしょうか?それとも、私の歳のせい?今年最後のコラムになってしまいました。1年間のご愛読に感謝いたします。ありがとうございました。


(2009年12月16日号掲載)