アメリカでの交通事故と違反

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アメリカでの主な移動手段は車。交通事故は遭いたいものではありません。万が一、事故を起こしたり、巻き込まれたりした場合に備え、対処法を知っておきましょう。事故の対処法、駐車違反や飲酒運転などの違反について解説します。
 
※このページは「ライトハウス 2023年春夏の増刊号」掲載の情報を基に作成・更新しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

事故後は専門家に相談、的確な処理を

日本ではどんな交通事故でも警察官が事故現場に来ますが、アメリカ、特に大都市ではケガ人がいない、飲酒運転でない場合などは当事者たちのみで情報を交換し、後は保険会社や弁護士に任せる場合がほとんどです。
 
ケガ人がいる場合はすぐ警察に連絡し、救急車を手配することが先決ですが、それ以外の場合は、交通を妨げない場所に車を移動し、相手と情報交換を行います。名前、住所、電話番号はもちろん、免許証番号、車のナンバープレート、メーカー名、車種、そして保険会社の名前とポリシー番号などを控えておく必要があります。相手の免許証、車の保険証、レジストレーションカードの写真を撮っておくと良いでしょう。同乗者がいる場合は氏名や人数を確認、目撃者がいれば、その人の名前と連絡先をメモしておくこと。また、事故直後の道路の様子、車の損傷状態なども撮影しておくことが大切です。
 
事故の中でも特に気を付けてほしいのは、交差点での衝突事故。どんな場合も、左折車より直進車の方が優先です。左折する車は、赤信号ギリギリで直進してくる対向車に十分注意しましょう。
 
警察官が来た場合は、現場で両者の話を聞きながらポリスレポートを作成します。これが後で保険請求を行う時の資料になります。事故後の処理を少し間違えただけで、大きな損害を負うケースも多いため、保険会社か保険代理店に連絡する前に、日本語の分かる交通事故専門の弁護士などに相談するのも一つの方法です。納得がいくまで無料で相談に乗ってくれるところもあり、弁護士に正式に依頼したとしても、通常被害者側からの依頼は成功報酬で弁護を請け負ってくれることが多いので、その場合は、初期費用を払う必要はありません。
 
保険会社や保険代理店に事故報告を行うと、担当調査員が事故の責任がどちらにあるかを調べ、車の損害に対し、賠償金の割合などを相手方の調査員と交渉しながら最終決定を行います。車の修理は保険会社の鑑定員が事故車の損害を確認し、修理費用の見積もりの算出を待ちましょう。
 
なお、事故後、ソーシャルメディア(SNS)に投稿する内容が慰謝料や裁判の審理で不利に働く可能性があるので注意しましょう。事故やケガ、自分の気分や感情、活動的な生活内容について投稿しないようにするのが賢明です。

交通違反のチケットを切る警官には素直に従うこと

次に交通違反チケットを切られた場合の対処法です。
 
駐車違反の場合は、車のフロントガラスに置かれたチケットに記載された罰金額のチェックを郵送するか、クレジットカードで支払います。
 
警察官によってMoving Violation(走行中の交通違反)として止められた場合、その場でチケットを切られます。パトカーから停止の指示を受けた場合は、速やかに右の路肩に駐車し、車内で指示を待ちましょう。この時、車から降りないのが原則です。違反に納得できない場合でもチケットに署名し、警察官に直接反論しないこと。
 
後日、所轄の裁判所から裁判を希望するか、違反を認め罰金を支払うかを問う手紙が届きます。届かない場合でも、裁判所のウェブサイトで自分の違反のケースを検索し、罰金を払うか裁判所に出廷するかを選択します。違反チケットに記されている日付までにこれらのアクションを自ら起こさないと、強制的に出廷し、当初の罰金額より多額の罰金を支払う羽目になることもありますので注意が必要です。

多くの州で飲酒運転は交通違反でなく犯罪

カリフォルニア州をはじめ、多くの州で飲酒や薬物影響下での運転(DUI)は交通違反ではなく刑法違反に当たります。DUIの疑いがあると警察官に判断された場合は、現場で呼気テストなどを受けます。多くの州で血中アルコール濃度が0.08%以上検出されれば違法となり、現行犯逮捕され、拘置所へと連行されます。なお、コロラド州などいくつかの州では、この水準以下でも「酩酊運転」とみなされ、取り締まりを受けることがあります。DUIでは保釈金を払い、その日か翌日には拘置所を出られますが、最高12カ月まで拘置されることもあります。
 
裁判では最初の出廷後、60日以内に罪状が確定します。有罪判決が下された場合、罰金と社会奉仕活動が科せられたり、90日間から1年間の免許停止になることもあります。トラフィックスクールに1年間通わなければならない場合もあります。裁判は手続きが複雑で専門用語も多いため、弁護士に依頼するのが無難でしょう。有罪判決が下された場合、罰金のみならず、裁判費用、手続料などが発生し、軽犯罪としての記録が10年間残ります。さらに、飲酒運転で何度も捕まった場合には、重犯罪扱いになり、保険料も大幅に上がることも頭に入れておきましょう。
 
違反は通常、スピード違反と信号無視が1ポイントで、飲酒運転やひき逃げは2ポイント以上。小さな違反の場合、DMVで課せられたポイントは3年間で消え、8時間の講習受講やオンラインのトラフィックスクールで合格すれば、ポイントはゼロに戻されます(ただし、18カ月に1度のみ)。保険料への影響は小さな違反は3年間、飲酒運転は7年間消えません。
 
監修/The Law Office of WILLIAMS & WILLIAMS ・ Julien Willimas 弁護士 (☎310-740-3247/日本語直通)

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