田中凛太郎 / アメリカン・ヴィンテージ愛好家

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毎年、世界中から3000人ものヴィンテージファンをLAに集める古着の祭典「Inspiration」。主催者である日本人、田中凛太郎さんに、古着へのこだわりや今年で第6回を迎える同イベントの見どころなどをうかがいました。

Rin Tanaka◎1970年神奈川県生まれ。大学在学時、黒人音楽の評論家デビュー。1994年〜1998年、広告代理店に務めた後、98年、アメリカの古着文化を研究すべく、サンクレメンテに移住。以後、2003年〜12年に計10冊、自費出版で発行した写真集『My Freedamn!』シリーズではロックンロールやライダースジャケット、50’s〜80’sの古着文化などをテーマに取り上げ、世界中で計10万部以上を売る。2010年より古着・ヴィンテージの祭典、「Inspiration」を主催。

―古着を中心とするアメリカのヴィンテージ文化を研究すべく、28歳のときに会社を辞めてサンクレメンテに移住されました。大きな決断だったと思いますが、なぜそこまでアメリカのヴィンテージに傾倒されたのでしょう?

田中凛太郎さん(以下田中) :中高時代からジャズやロック、ブルースなどのアメリカ音楽にハマりまして。マイルス・デイビスとかジミヘンとか、ジェームス・ブラウンとか。それで、彼らのファッションにも自然と興味が湧いて…という感じです。サラリーマン時代は仕事をしながら革ジャンの研究をしていたんですが、日本では見られる古着の数も限られるし。もっと現地で深く研究し、本にしたい気持ちが強くなり、渡米しました。

1冊300ページにも及ぶ『My Freedamn!』シリーズ。取材、撮影、日本語と英語両方での執筆など、全て田中さん一人によるものというから驚き。アート性、資料性共に高く、世界中にファンがいるのもうなずけます

―なぜサンクレメンテだったのでしょう?

田中:南部音楽が身近なオースティンと迷いました。でも、サーフィンが趣味だったこともあって、当時のサーフィン界のトップ、デイル・ベルジーが住むサンクレメンテを選びました。

―渡米後は、どのような活動をされたのでしょうか?

田中:カリフォルニアをはじめ、ニューヨークやデトロイトなど全米を飛び回って古着屋やスワップミート、古着コレクターを訪ね、取材、撮影を続けました。それで、まずは革ジャンやライダースジャケットの本を何冊か出しましたね。

―そして2003年、代表作である古着の写真集シリーズ『My Freedamn!』第1弾の発行に至ります。12年までに計10冊、どれも世界中で合計1万部以上売れましたが、ここまで支持されたのはなぜでしょう?

田中:シリーズ通してのテーマは「ロックンロール=I love you, too!」。アメリカの精神を象徴する言葉だと思うんですが、これが勢いよく全面に出ていて、いいバイブとなって伝わったんでしょうかね。あと、同じ古着でもタグとか細部にこだわって撮影したり文章にしたりと、日本人のオタク的ミクロな視点が出ているのも認められたポイントかもしれません。

―10年には古着の祭典「Inspiration」を初開催されましたが、そのきっかけは?

田中:『My Freedamn!』最後の10冊目発行に合わせて、世界中の古着友達を集めてパーティーをやろうと思ったのがスタート。でも、2千人くらい参加しそうでパーティーのレベルを超えていたので、参加者にブースを出してもらって参加費をもらって、イベントとしてやることに。すごく楽しかったんですが、大赤字で、二度とやりたくなかった(笑)。でも、センスのある人たちが、皆すごくかっこいいブースを作るんですよ。こんな良い場はないな…と。それで2回めをやってみたら少しだけ黒字になった。それで続けることにして、今に至ります。

―最後に、2月開催、第6回の見所を教えてください。

田中:今回立てたテーマは「Happinessis…」。景気も良くない昨今、「幸せって何?」って考えてほしいなと。あとはとにかく「イイ感じ」のバイブを体感してほしいです。ビジネス面も考えつつ「感じ良く」やるってホント難しいんです(笑)。あと、「ロックンロール=I love you, too!」はずっと変わらない僕の人生のテーマなので、そんな雰囲気もお楽しみに!

INSPIRATION Vol.06 “HAPPINESS IS…”

開催日◎2/6(金)12:00pm-9:00pm、2/7(土)10:00am-5:00pm
会場◎The Reef(1933 S.Broadway St.,Los Angeles)
料金◎Friday Night Ticket:$40、Saturday “All-Day” Ticket:$20、 Saturday”Afternoon”Ticket:$10など。詳細はウェブサイトを参照
ウェブ◎http://inspirationla.com
 
(2015年2月1日号掲載)

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