アメリカでの研修を目的としたビザ「H-3ビザ」とは?

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「J-1ビザ」を使った後、「H-3ビザ」を使うことはできる?

瀧 恵之 弁護士

Q:私は現在、ある日本の会社でグラフィックデザインの仕事をしており、今回、アメリカで2~3年ほど仕事をしたいと思っています。大学を卒業しておらず「H-1Bビザ」を申請する資格はなく、「J-1ビザ」の1年半では少し短過ぎます。そこで、「H-3ビザ」というものがあると聞きましたが、この申請は可能でしょうか。また、「J-1ビザ」を使った後、さらに、「H-3ビザ」を使うこともできますか。

A:「H-3ビザ」は、米国においての研修を目的としたビザです。申請は、米国にある雇用主によって移民局を通して行われます。このH-3ビザは、「H-1Bビザ」(専門職ビザ)のように、学士号あるいはそれと同等の経験を保持していることを証明する必要はありません。ただし、雇用主は次のことを証明しなければなりません。
 
①その研修が、母国では得られないということ(言い換えると日本にない技術の修得であること)
②米国内で受けた研修が、米国以外においてその職種を遂行するのに役立つものであること
③研修生を雇うことが、米国人労働者に取って代わるものではないこと
④その研修は、あくまでも研修生をトレーニングするものであり、生産性を伴うものではないということ
 
また、その研修プログラムは、すでに確立されたものであることを示す必要があり、研修の構成、詳細、研修期間、報酬、なぜその研修は母国ではなく米国にて行われなければならないかということを、明確にする必要があります。例えば、建築に関してハンディキャップの人のためのスロープやエレベーターのデザインなど、日本における建築物に見られず、日本では学ぶことのできない内容を学ぶプログラムが典型的な例として挙げられます。
 
移民局によって、研修を受ける者がすでにその研修分野における知識を十分に有していると判断された場合や、研修で身に付けたことが米国外においては不必要であると判断された場合、また雇用主が研修後、その研修生を米国内にて雇う目的で研修を行うと判断された場合、そしてその研修が単に米国での滞在期間を延長する目的であると判断された場合等は、「H-3ビザ」の申請は却下されます。

「H-3ビザ」申請で事細かにチェックされること

具体的には、以下の内容を事細かに問われることがしばしばあります。
①トレーニングの種類、およびどのような形で監督が行われるのか。また、トレーニング・プログラムの構成
②上記のトレーニング・プログラムの時間配分、および生産性のある就労に従事する時間
③クラスルームにおいてトレーニングを受ける具体的な時間数、および実際の職場においてトレーニングを受ける具体的な時間数
④当該トレーニングを受けるに当たって、母国において準備してきた内容
⑤トレーニングが母国で受けられない理由、および当該トレーニングを米国で受けなければならない理由
⑥トレーニングを受ける者が受ける報酬、および会社がトレーニングを行うことによって受ける利益の説明
 
また、トレーニング内容が次のような場合は、申請却下の対象となります。
①スケジュールが一般的で、目的や評価の手段が備えられていない場合
②トレーニングを行う会社と関連性が薄い場合
③内容がトレーニングを受ける者がすでに修得しているであろう技術についてである場合
④将来的にその会社における雇用を考えているであろうと考えられるような内容の場合
⑤トレーニングを行うのに十分な施設や監督者などがないような場合
⑥プラクティカルトレーニングの期間を延ばすために行われているであろうと考えられる場合

「H-3ビザ」申請で注意したいこと

「H-3ビザ」は、最長で2年間まで取得することができ、また、「H-3ビザ」保持者の配偶者と21歳未満の子供は、「H-4ビザ」を取得して米国に滞在できます。
 
「H-3ビザ」の申請は、以前に比べて極めて厳しくなっていますので、申請するか否かを決める際に、その条件をよく吟味する必要があります。あなたの場合、最も重要なことは、スポンサーとなる会社でのトレーニングの内容が、日本では学ぶことができないものであるということを証明することです。
 
また、OPT終了後や「J-1ビザ」終了後に「H-3ビザ」を申請しようとした場合、明確な理由を要求され、厳しい審査の対象となる可能性があります。従って、いずれの場合であっても、トレーニングの内容を前記の条件と照らし合わせて、よく吟味して申請することをおすすめします。
 
(2013年6月1日号掲載)

米国で研修するための H-3ビザとは?

瀧 恵之 弁護士

Q:日本でグラフィックデザインの仕事をしており、米国にて2~3年仕事をしたいと思います。私は、4年制大学を卒業していないので、「H-1B」ビザを申請する資格はないのですが、「J-1」ビザでの1年半の滞在では短過ぎます。「H-3」ビザというものがあると聞きましたが、私は申請することができるのでしょうか?

A:H-3ビザは米国においての研修を目的としたビザです。H-3 ビザ取得は、以前に比べて極めて厳しくなっています。ですので、申請するか否かを決める際、取得のための条件をよく吟味する必要があります。
 
申請は、米国にある雇用主によって移民局を通して行われます。H-3ビザは、H-1B(専門職)ビザのように、学士号、あるいはそれと同等の経験を保持していることを証明する必要はありません。
 
ただし、このH-3ビザの申請において、雇用主は次のことを証明しなければなりません。
① 米国での研修が、母国では得られないということ(言い換えると、日本にはない技術の修得であること )
② 研修を受けた者にとって、米国内で受けた研修が、研修後に米国外において、その職種を遂行するのに役立つものであること
③ 研修生を雇うことが、米国人労働者にとって代わるものではないこと
④ 研修は、あくまでも研修生をトレー ニングするものであり、生産性を伴うものではないということ
 
また、研修プログラムが、既に確立されたものであることを示す必要があります。また、研修の構成、 詳細、 期間、報酬、そして、なぜその研修が母国ではなく、米国内で行わなければならないかということも、明確にする必要が あります。これは、建築分野で、ハン ディキャップの人のためのスロープや エレベーターのデザインなど、日本の建築では見られず、従って日本では学べない内容を修得するプログラムなどが、典型的な例として挙げられます。
 
そして、①研修を受ける者が、既にその研修分野において十分な知識を有 していると、移民局が判断した場合、 ②研修で身に付けた知識や技術が、米国外において不必要であると判断された場合、③研修後に雇用主が、研修生を米国内にて雇う目的で研修を行うと判断された場合、④その研修が、単に米国での滞在期間を延長する目的であると判断された場合には、H-3ビザの申請は却下されます。
 
H-3ビザは、最高で2年まで取得することができ、ビザ保持者の配偶者、 および21歳未満の子供は、H-4ビザを取得し、米国に滞在することができ ます。
 
あなたの場合最も重要なことは、スポンサー企業でのトレーニング内容が、日本では学ぶことができないものであることを証明することです。ト レーニングの内容を前記の条件と照らし合わせ、よく吟味してから申請することをおすすめします。
 
(2010年12月1日号掲載)

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