エンターテイメント

今週のオススメシネマ

ジャンル ドラマ
オススメ度 ★★★

ヨーロッパの香り高い
ウディ・アレンの恋愛コメディー

Vicky Christina, Barcelona
Rating : PG-13
◎主演 | スカーレット・ヨハンソン、レベッカ・ホール、
    ハビエル・バルデム、他
◎監督 | ウディ・アレン

© Weinstein Company

(2008年9月16日号掲載)
今まで、ウディ・アレンの作品にこれといった興味がなかった。やたらと喋りまくり「頼むから黙ってくれ!」と言いたくなる、彼が演じる独特のキャラクターに、今ひとつ親近感を覚えられずにいたのだ。

しかし、彼が監督・脚本業に徹した本作は、絶妙な出来! 『Match Point』『Scoop』に続き、今まで撮り続けてきたニューヨークから、設定をヨーロッパに移して撮影した第3弾。舞台はロンドンからスペインのバルセロナに移り、よりヨーロッパ色の強いウディ・アレン作品が誕生。ヨーロッパの官能美が、洗練された品の良いセクシーさで、コミカルに描かれる。

夏休みをバルセロナで過ごそうとやって来た2人の魅惑的なアメリカ人女性、ヴィッキー(ホール)とクリスティーナ(ヨハンソン)。夏休みが終わったら婚約者との結婚を控えたヴィッキーは、大学の卒業論文制作のためカタルニア地方についてのリサーチに忙しい。一方、自由奔放なクリスティーナは、映画監督になるのを夢見ながら、常に何か刺激を探している。

映画の冒頭から、バルデム演じるスペイン人画家ホアンが、2人をセクシーに誘惑。その口説き文句に爆笑。出会ったばかりの2人に、週末に3人で小旅行に出かけ、ワインを飲んで、セックスをして、愛を語り合おうと言うのだ。ヴィッキーはすかさず突っぱねるが、冒険好きのクリスティーナはその気に。

ヴィッキーは、思いがけずホアンに心を奪われるが、理性が邪魔して前へ進めない。一方、クリスティーナは、さっそく彼の家に住みつく。しかし、熱い生活も束の間。精神不安定な元妻(ペネロペ・クルス)が転がり込み、3人の奇妙な生活が始まる。

ウディ・アレンの新たなミューズとなったスカーレット・ヨハンソンのセクシーさもさることながら、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムら、スペイン語圏の俳優が醸し出す官能的な魅力にうっとり。愛し合っていながら、いつ爆発するかわからない不発弾のように、一触即発の関係を持つ夫婦。2人は、セクシーにじゃれ合ったかと思えば、次の瞬間には殴り合いのケンカになる。その微妙なバランスが、アメリカ人の思い憧れるヨーロッパ的自由奔放さとクレイジーさの象徴のように描かれる。

物語の主人公でありながらも、ヴィッキーとクリスティーナはある種の傍観者的に描かれ、彼女たちの目を通してさまざまな男女の恋愛が描き出される。単にバルデムとクルスのスペイン人カップルの恋愛関係を描くと、“よくある訳のわからないヨーロッパの恋愛映画”になってしまうが、ヴィッキーとクリスティーナの目を通すことによって、より私たち観客に身近な作品となっている。

画面に頻繁に映し出されるバルセロナを象徴する建築物や、スペインギターのなまめかしい演奏が実に心地いい。コメディーとしても、恋愛ドラマとしても最高に楽しめる作品だ。

【 文:MAMIKO KAWAMOTO
【文:MAMIKO KAWAMOTO
▲ページトップへ