グローバル社会で最も大切な資質

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船津 徹(TLC for Kids代表)

私は日本とアメリカで世界中の家庭の子育てを見てきました。それぞれの国にはそれぞれの伝統的な子育てがあり、その特徴が子どもに継承されていきます。
同じアジアを見ても、日本、韓国、中国の子育ては少しずつ異なることに気付きます。ですから各国それぞれ、子どもたちにも特徴があります。
しかし一方でグローバル化の進行によって国家や地域の特異性は少しずつ薄れ、国際的に共通する理念、グローバルスタンダードが叫ばれるようになりました。
世界で共通する子育ての目標の一つに「社会に貢献できる人材の育成」があります。グローバル社会で活躍できる子どもを育てるには、慣習的な子育てに加えて、世界標準の子育ての知恵が必要です。

子育ては自信育て!

グローバル化は「競争の激化」を意味します。スポーツ、芸術、教育、ビジネスなどあらゆる分野において国境を越えて人々が競い合うようになります。競争社会で生き残るには「自信」を大きく育てることが何よりも大切です。
グローバル先進国アメリカの子育てを見ると「自信育て」を重視していることが分かります。子どもが「自分でできた!」という成功体験を積ませるために、親はもちろん、周囲の大人も、子どもへの声がけなどの環境作りに配慮しています。
成功体験の積み重ねが、環境の変化を恐れず、挫折もバネにできるメンタルタフネスにつながることをアメリカ人は知っているのです。自信が育てば勉強もスポーツも人間関係も、積極的で、チャレンジを恐れない勇気と根性に満ち溢れた子どもになるのです。

自信が育ちにくい日本

大切な自信ですが、集団の秩序を重んじる日本では育ちにくい面があります。自信は子どもが自分の意志でものごとに取り組んだ時に「自分でできた!」という成功体験に基づいて生まれるものです。
しかし「人へ迷惑をかけないこと」を重視する日本の子育てでは、子どものやりたいことを自由にやらせるよりも、子どもの行動を制限しようとする場面が多いのではないでしょうか。
子どもの行動をコントロールできる親が「良い親」であり、集団のルールを守れる子が「良い子」である。そんな風潮があり、親子に無言のプレッシャーを与え続けているのです。
もちろん、社会のルールを教えることは大切です。しかし、親が過剰に周囲の目を気にして「ダメ、ダメ」と子どもの行動を制限していると、子どもの自信がいまいち育たない結果を招くことになります。

自主性育む仕掛けが大切

デパートで「触っちゃダメ!」「そっちに行っちゃダメ!」と、子どもの後を追いかける親がいます。子どもからすれば、デパートには見たこともない魅力的なモノが溢れています。そんなモノを見れば触ってみたくなるのが人間の本性。
でも親は「お店に迷惑をかけないように」と子どもの行動を監視します。「あっちはダメ!」「そっちはダメ!」と繰り返しダメ出しをされ続ければ、子どもの自己肯定感は育つはずがありません。
子どもを放任しなさいということではありません。自分の家、祖父母の家、近所の公園など、子どもが自由に行動できる環境で、「できた!」という成功体験が積める仕掛け作りをするように、もっと配慮してください。

自由と制限にバランスを

自信を育てるためには子どもの自主性を尊重して自由に行動させなければなりません。一方で、子どもに社会のルールを教えるためには、行動を制限することも必要です。自由と制限のバランスが自信育てでは大切なのです。あくまで私の経験ですが、子どもの全行動のうち、自由にさせる部分を75%、制限する部分を25%にするくらいがちょうど良いバランス。「ダメ」1回につき「よくできたね」を3回言うように意識してください。
 
(2017年6月1日号掲載)

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