2018年のアドミッション動向

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アメリカの大学進学をとりまく環境は、日々変化しています。2018年は、一昨年のSATリニューアルや新出願システム導入のような劇的な動きはありませんが、変化は続いています。2018年に予想されるアドミッションのトレンドをご紹介します。

 

①早期出願の人気上昇

近年、早期締切でアプライする学生が増えており、このトレンドが今後も続くことが予想されます。
 
アメリカの大学の出願時期は11月から1月が一般的です。締切には、通常締切(Regular Deadlines)と早期締切(Early Deadlines)があり、通常締切のみを採用する大学と、両方を併用する大学があります。
 
早期締切には、Early Decision(ED)とEarly Action(EA)の2種類があります。どちらも締切が早く、結果も早く分かる点は同じですが、EDには「合格したら必ず進学する」という制約があります。これに対して、EAでは実際に進学するかどうかは、通常締切で受けた大学の結果が出揃った後に決められます。
 
2017~2018年度のアドミッションでは、ペンシルベニア大学にEDでアプライした学生は6731人で、前年度よりも9.5%増えています。イェール大学にEAでアプライした学生は5733人で、こちらは前年比13%増です。
 
早期締切でアプライする学生の増加はアイビーリーグのような超難関校に限らず、多くの大学で起こっている現象です。そのため、新たに早期締切を追加する大学も出てきました。例えばカリフォルニア州のチャップマン大学は、2017~2018年度のアドミッションから、それまでEAのみだった早期締切にEDを追加しました。同様にバージニア州のリッチモンド大学は、EDのみだった早期締切に、EAを新たに追加しました。EA導入効果で、今年同大学を受けた学生は、早期締切だけで5700人を超えました。
 
EDは、アドミッションを有利に進めたい学生と、確実に入学する学生を増やしたい大学の思惑が一致するため、特に人気の高い大学でEDでアプライする学生が増えると想定されていましたが、EAでアプライする学生も増えていることは非常に興味深いです。計画的に進学準備を進めて、早期締切に間に合うように進学準備を行う学生が増えていると考えられます。

 

②双方向アドミッション

受験生とアドミッション担当者が、アプリケーション提出前から連絡を取り合うことは、決して珍しいことではありません。学生がキャンパスツアーに参加したり、アドミッションに質問のメールを送ったりすれば、双方向のコミュニケーションが始まります。この双方向コミュニケーションが、今後アドミッションで今まで以上に積極的に活用されることが予想されます。
 
アプリケーションの中身だけで受験生の将来性を見極めるのはアドミッションにとって難しい作業ですが、時間をかけてコミュニケーションをとることで、学生の成長の過程が把握でき、評価しやすくなります。2016年秋から導入された新出願システムのコアリション・アプリケーションでは、「コラボレーションスペース」というシステムを通じて双方向コミュニケーションを促しています。学生は9年生からアドミッションとやり取りでき、成長を評価してもらったり、適宜アドバイスを受けたりできるようになります。
 
700校以上の大学が出願システムとして採用しているコモン・アプリケーションも、双方向アドミッションへの対応を進めています。アドミッション担当者は、自分の大学をアカウントに追加した学生、つまり自分の大学に興味を持っている学生に対して、メールでコンタクトをして、双方向コミュニケーションを促せるようになりました。

 

③ダイバーシティーの促進

多様な学生の受け入れは、アメリカの大学にとって重要な使命であり、その流れはトランプ政権になって以降さらに加速していると感じます。
 
アドミッションでは、人種構成バランスを考慮することに加えて、低所得や低学歴の家庭で育った学生、特殊な家庭環境で育ち、困難を乗り越えてきた学生などにもしっかり目を向けています。そして与えられた環境の中で、どのように成長したのかをきちんと評価しようとしています。
 
外国人留学生の受け入れでは、単に留学生数を増やすだけでなく、中国やインドなど特定の国からの留学生に特化しないようバランスを重視したPR活動を行う大学が増えてきました。ダイバーシティー重視は、日本のバックグラウンドを持つ学生にとって好ましい傾向と言えるでしょう。
 
(2018年1月16日号掲載)

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