アメリカで大学進学後に進路に迷った場合の選択肢

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大学進学後に進路でつまずくケースは少なくありません。アメリカの4年制大学では、入学後6年以内に卒業する学生はわずか6割です。残りの4割の学生は、途中で大学を辞めたり、学習を一時中断したりするなど、進路に何らかの問題を抱えています。
その原因はさまざまですが、大学選びの際に、自分との相性をしっかり見極めずに知名度だけで選んだために、満足のいく大学生活が送れなかったという学生は非常に多いです。また、4年間の厳しい学業を乗り切れるだけの学習意欲を持たずに進学したために、途中で息切れしてしまった例も少なくありません。
進学した大学で学習を続けることが困難になった場合は、新たな進路を探す必要があります。その際に考えられる選択肢をいくつかご紹介します。

①他の大学へのトランスファー

アメリカの大学は、同じ大学に4年間在籍することで、大学で得られるサービスを最大限に活用できます。そのため、在学中に大学を変えるのは積極的にお勧めできる方法ではありません。しかし、自分に合わない大学に長く居続けることで、結果的にさらなる成績の悪化を招くよりは、自分に適した環境で心機一転やり直す方が得策です。
問題の多くは、入学してから1年以内に発生します。他の大学にトランスファーすることで解決できる問題であれば、転学先で少しでも長く学べるように、速やかに準備を始めると良いでしょう。
カリフォルニアの州立大学のように、一般教養科目の履修がほぼ終了した3年生からのトランスファーしか認めない大学は極めて例外的で、全米のほとんどの大学では、1学期でも他の大学で学んだ学生はトランスファー・アドミッションの対象となります。
トランスファー・アドミッションでは、大学で履修済みの単位数によって、高校の成績表や、SAT、ACTのスコア提出の要不要など、アドミッションの条件が異なります。自分にとって有利なトランスファーのタイミングを見極めることも重要です。

②ギャップイヤーをとる

ギャップイヤーは、高校卒業後すぐに大学進学せず、半年から1年学校から離れて新たな経験を積む際によく利用されますが、大学進学後にギャップイヤーをとることも可能です。
多くの高校生は、高校卒業後すぐに大学に進学して大学卒業を目指しますが、その選択が必ずしも全ての学生にとってベストとは限りません。大学進学後に学習に行き詰まった原因が、将来の進路への迷いや学習意欲の低下にあるとしたら、慌てて他の大学にトランスファーしても問題の解決にはなりません。それよりも、いったん学校生活から離れて自分自身を見つめ直す時間をとることの方が賢い選択かもしれません。
アメリカの大学には、日本のように入学後何年以内に卒業しなければならないという縛りがないので、ギャップイヤーをとっても卒業へのリスクはありません。ギャップイヤーの間にアルバイトやボランティア活動に専念することで、自分が大学で学ぶ意義を再認識し、大学に復帰してから見違えるような成果を挙げるケースは往々にしてあることです。

③日本の大学に進学する

将来日本でキャリアを積んでいくことも視野に入れるなら、日本の大学も候補となるかもしれません。アメリカの大学でつまずいてしまった学生も、日本にとっては、次世代のグローバル化を支えてくれる金の卵です。少子高齢化が進み国内市場が飽和する日本において、企業が生き残るためにはグローバル化が不可欠です。しかし、そのグローバル化を支える人材がなかなか育たないことに、日本の産業界は危機感を持っています。
日本の各大学は教育のグローバル化を理念に掲げ、グローバル人材の育成のための取り組みを進めていますが、中でも注目されているのが、帰国生や新二世と言われる、海外で育った日本の学生の受け入れです。
日米2つの言語を操り、2つの文化に当たり前のように接してきた学生は、無意識のうちに国際感覚を身に付け、国際社会へ目を向けています。このような、将来日本の社会や経済を支えるポテンシャルを有する学生を積極的に受け入れたい大学は増えているのです。
近年は、海外の大学で履修した学生をトランスファー学生として受け入れ、履修単位の認定を行う大学も増えてきました。自分の学習目的に合致する日本の大学が見つかれば、進学を検討する価値は大いにあると言えます。
 
(2017年5月16日号掲載)

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