APプログラムの概要と履修方法

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多くの高校では、一般のコースに加えて、より高度な学習ができるAP(アドバンスト・プレイスメント)コースが複数教科で提供されています。今回はAP(アドバンスト・プレイスメント)プログラムの概要と履修方法についてご説明します。

AP(アドバンスト・プレイスメント)プログラムの3つの役割

AP(アドバンスト・プレイスメント)は、高校生に大学レベルのカリキュラムや試験を提供するプログラムで、カレッジボードによって運営されています。主にアメリカとカナダの高校で実施されていますが、ヨーロッパやアジアの一部の高校でも採用されています。AP(アドバンスト・プレイスメント)コース履修者は5月初旬にAP(アドバンスト・プレイスメント)テストを受け、 5~1の5段階(5が最高)で評価されます。
 
AP(アドバンスト・プレイスメント)プログラムには、大きく分けて「入学審査」「単位認定」「学力判定」の3つの役割があります。高校生がAP(アドバンスト・プレイスメント)コースを履修する最大の動機付けは、大学進学をより有利に進めることにあります。アメリカの大学は、AP(アドバンスト・プレイスメント)のような負荷の大きいコースに挑戦する生徒を入学審査で高く評価するからです。
 
AP(アドバンスト・プレイスメント)テストの結果は、大学が受験生の成績を評価するのに大いに役立ちます。学力評価で最も重要視されるのは高校の成績ですが、成績のつけ方は学校ごとに多少異なるため、成績表から得られる情報には限界があります。AP(アドバンスト・プレイスメント)テストは全国共通なので、受験生の成績を横並びで評価できるのです。
 
多くの大学でAP(アドバンスト・プレイスメント)コースを大学の単位として認定していますが、その認定方法はさまざまです。AP(アドバンスト・プレイスメント)テストの結果が3以上の場合、単位として認定される可能性がありますが、学力評価を重視する大学では4以上を要求する場合が多く、中には5以外の成績は単位として認めない大学もあります。
 
一般的に、州立大学はAP(アドバンスト・プレイスメント)コースの単位認定の基準が緩い傾向にあります。難関校と言われるミシガン大学やジョージア工科大学でも、多くのAP(アドバンスト・プレイスメント)コースで4以上を単位認定しています。また、カリフォルニア大学各校では、原則として3以上を単位認定しています。これに対し、私立大学はAP(アドバンスト・プレイスメント)コースの単位認定の基準が厳しく、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学では、単位認定は5だけです。デューク大学やプリンストン大学、スタンフォード大学も、一部コースを除き、5のみを単位認定しています。
 
少人数制で質の高い教育の提供に特に力を入れている大学の中には、 AP(アドバンスト・プレイスメント)コースで認定する単位数を制限していたり、中には単位認定そのものをしない学校もあります。例えば、ミドルベリー・カレッジでは単位認定の上限は5コース、ポモナ・カレッジでは上限が2コースです。単位認定を一切行わない大学としては、アイビーリーグのダートマス・カレッジやブラウン大学、名門リベラルアーツ・カレッジのアマースト・カレッジやウィリアムス・カレッジ、理工系のハーベイマッド・カレッジやカリフォルニア工科大学等が挙げられます。いずれも、大学のクラスのレベルや質がAP(アドバンスト・プレイスメント)コースとは比較にならないことを、単位認定を行わない理由として挙げています。
 
州立大学の単位認定が緩い背景には、大学運営において一般教養コースに十分な教員を配置できないという、予算的な制約の大きい州立大学特有の問題があります。AP(アドバンスト・プレイスメント)コースを単位認定することにより大学の一般教養コースの学生数を抑えられることは、州立大学にとって大きなメリットです。
 
単位認定をしない大学でも、AP(アドバンスト・プレイスメント)コースの成績を学力判定に利用します。そのため、AP(アドバンスト・プレイスメント)コースの履修者には同等レベルのクラスを大学で履修せずに、上位クラスから履修を始めることを認めます。この場合、大学で履修する単位数が減るわけではありませんが、自分が取りたいクラスの履修に時間を割くことができるため、学生にとってはメリットがあります。

実現可能な範囲で挑戦を

AP(アドバンスト・プレイスメント)コースで良い結果を残せれば大学進学で有利になることは間違いありませんが、闇雲に取れば良いというものではありません。受験者数の多い英語や米国史のコースでは、4以上の成績を収められるテスト受験者は3割にも満たないのが実情です。せっかくAP(アドバンスト・プレイスメント)コースを履修しても、テストで結果を残せなければ、入学審査での評価にはつながりません。
 
そこで、自分の得意科目や将来の進路により役立つ科目のコースを優先的に取ることをお勧めします。一年間に履修するAP(アドバンスト・プレイスメント)の数も、よほど自信がある場合を除き2コース以内に抑えた方が無難でしょう。そして、AP(アドバンスト・プレイスメント)コースを履修する以上は、年度末のAP(アドバンスト・プレイスメント)テストで4以上が取れるように、しっかり準備してテストに臨みましょう。
 
(2016年4月16日号掲載)

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